伊藤健太郎「大丈夫っす!ちゃんとやります!」焦る井口昇監督に頼もしい一言!『惡の華』重要シーン舞台裏

累計発行部数300万部を記録した押見修造の人気コミックを、メインキャストに伊藤健太郎、玉城ティナ、秋田汐梨、飯豊まりえを迎えて実写映画化する『惡の華』が、9月27日より公開中。このほど、伊藤、玉城、飯豊が波打ち際ではしゃぐシーンの場面写真とその撮影裏話が披露された。

場面写真は、主人公・春日(伊藤健太郎)が中学時代、自身に多大なる影響を与えた孤高の存在・仲村(玉城ティナ)に、高校で出会った常磐(飯豊まりえ)と共に会いに行くシーンを切り取ったもの。中学時代の暗い記憶から春日が解放され、これからも続いていく人生に小さな希望を見出す、本作にとって重要な1シーンだ。

爽やかな場面であるが、井口監督は「これまで僕は波打ち際で男女が戯れる場面と、高校生が自転車で二人乗りする場面だけは絶対に撮るまいと決めていたんです。誰が撮ってもよく撮れてしまうから。でも今回は原作にも登場するので、やるんだったら徹底的に丁寧に撮って最高のシーンにしようと思って臨んだら、皆さんから褒めていただいて。こんなことならもっと早くから撮っておけばよかったって、ちょっと後悔してます(笑)」と話す。玉城は、「海のシーンは大事なシーンで、中学生のままで人生が終わるわけではなく、高校生になって、大学生になるかもしれないし、働くかもしれない、そういう将来とか未来への道みたいなものがあのシーンには詰まっているのかなと思っています」とこの場面に込められた想いを語る。

また、本シーンは日没までの2時間半で撮るしかない状況だったため、スタッフのセッティング中に伊藤、玉城、飯豊の3名が自発的にセリフ合わせをし、テストを割愛して「勢いでやろう!」と本番へ。焦りから「何を言ってるかわかりません!」と言われるほど早口の井口監督を、伊藤が「大丈夫っす!ちゃんとやります!」と頼もしい言葉で落ち着かせる一幕も。刻一刻と日没が迫り、海に入ってしまったらもうやり直せないという緊迫した状況で、本当の感情が弾けたことで感動的な瞬間が生まれた。無事にこのシーンを撮り終えたとき、感極まった監督は、海水でずぶ濡れの伊藤と抱き合ったというエピソードも。波打ち際ではしゃぐ3人の姿は楽しげで、瑞々しく、希望をも感じさせる。

『惡の華』
9月27日(金)より、TOHOシネマズ 日比谷ほかにて全国ロードショー中
監督:井口昇
原作:押見修造「惡の華」
脚本:岡田麿里
主題歌:リーガルリリー「ハナヒカリ」
出演:伊藤健太郎 玉城ティナ 秋田汐梨 飯豊まりえ 北川美穂 佐久本宝 田中偉登 松本若菜 黒沢あすか 高橋和也 佐々木すみ江 坂井真紀 鶴見辰吾
配給:ファントム・フィルム

【ストーリ―】 山々に囲まれた閉塞感に満ちた地方都市。中学2年の春日高男(伊藤健太郎)は、ボードレールの詩集「惡の華」を心の拠り所に、息苦しい毎日をなんとかやり過ごしていた。ある放課後、春日は教室で憧れのクラスメイト・佐伯奈々子(秋田汐梨)の体操着を見つける。衝動のままに春日は体操着を掴み、その場から逃げ出してしまう。その一部始終を目撃したクラスの問題児・仲村佐和(玉城ティナ)は、そのことを秘密にする代わりに、春日にある“契約”を持ちかける。こうして仲村と春日の悪夢のような主従関係が始まった…。仲村に支配された春日は、仲村からの変態的な要求に翻弄されるうちに、アイデンティティが崩壊し、絶望を知る。そして、「惡の華」への憧れと同じような魅力を仲村にも感じ始めた頃、二人は夏祭りの夜に大事件を起こしてしまう…。

©押見修造/講談社 ©2019 映画『惡の華』製作委員会