松重豊、北川景子との年の差に愕然「二回りも違う!夫婦に見える?見える?」

作家のヒキタクニオが自らの体験を基に、不妊治療に取り組む夫妻の姿をユーモアあふれる語り口で書き上げたエッセイを、主演に松重豊、共演に北川景子を迎えて実写映画化する『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』が、10月4日より公開される。このほど、9月10日に丸の内ピカデリーにて完成披露上映会が行われ、キャストの松重豊、北川景子、濱田岳、山中崇、伊東四朗、そして細川徹監督が登壇した。

本作が自身初の映画主演作という松重は、「この年まで俳優をやっていると“初主演”という響きに気恥ずかしいものがあり、役を演じているには脇役だろうが変わらないわけですが、しかも男の妊活やアラフィフといったテーマで、刑事ものなどはこれまでもやってきましたけど、本当に知らないことが多くて、勉強にもなる映画だと思う」と照れ笑いを浮かべた。

過去に親子役や上司と部下など何度か松重とは共演してきた北川。今回は初の夫婦役での共演となるが、かなりの年の差夫婦だ。北川は「(年の差を)松重さんは気にされていると聞きましたけど、自分は全然気になっていなくて」と笑顔。松重は「ウィキペディアで調べたら二回り違うんですよ!愕然としました。『全然夫婦に見えないじゃないか』と言われたらどうしよう…と」と当時の不安を語ると、細川監督は「衣装合わせや撮影初日にも「(夫婦に)見える?見える?」と心配されてましたよね」と暴露した。そんな不安げな松重とは対照的に、北川は「打ち合わせとかはせず、初日から夫婦の空気感が作れたと思います」と語り、監督も「カットをかけないでいると自然にアドリブが続いてくんですよね。その時にこの二人は夫婦に見えるって確信したのを覚えてます」と二人の生み出す夫婦役への太鼓判を押した。

また、松重、北川と今まで共演作品の多かった濱田は、本作では松重演じるヒキタの担当編集者を演じている。「こんなに松重さんと近い距離感で台詞のキャッチボールが出来たのは初めて。サウナのシーンも松重さんと一緒に調べたり、楽しい時間でした」と口にすると、松重が「いつもは僕が上司役で怒鳴ったりする役なので…あれ?岳どこいった?」、濱田「いるよ!!」と身長差でいじるなど見事な掛け合いを見せ、会場の笑いを誘った。

続いて、ヒキタ夫妻の担当医を演じた山中は、「ハートフルなお話の裏で、“妊活や不妊治療の現実”もしっかりとリアルに描かれています」と話し、サチの厳格な父親を演じた伊東は「劇中の中でも色々きつい言葉を投げていたけど、いまだに彼(松重)には、いい感情を持ってません!憎らしい男だねぇ」と最愛の娘を嫁に出した男親の複雑な感情を舞台上でも再現。この愛溢れる婿いびりに、松重も「先輩、いじめないでくださいよ~(笑)」とタジタジだった。

実際は年の差がありながら、二人三脚で進んでいくヒキタ夫婦は、現代の夫婦の理想の姿かもしれない。「10個以上も年下のサチがしっかりして、夫を支えているように見えるんですけど、笑ってドーンとして構えているのが頼れる夫の姿だと思いましたね。暗い雰囲気を作らずニュートラル。ずーっと変わらないところが男性としても夫としても素敵だと思います。現場での松重さんもニュートラルで、ヒキタさんの共通点かなと思いますね」と北川。それを受けた松重は「僕の中にも年下の女性に怒られたいっていう願望があったんだなと(笑)。撮影現場でも北川さんがいらっしゃるときはとても雰囲気が良くて。彼女が一日早くクランクアップしたんですが、その翌日は朝から一気に怒号が飛ぶ現場になって…。我々はそれをサチロスと呼んでました(笑)」と思わぬエピソードを明かした。

さらに、長年奥さんと連れ添う松重と伊東は、“良い夫婦でいるためのルール”について、松重は「言葉のキャッチボール、くだらない会話でいいんです。会話をする、キャッチボールを続けている関係かどうかではないでしょうか」、伊東は「当たり前だと思わないこと。ご飯をつくってくれるのも、掃除洗濯してくれるのも、妻がそこにいてくれるのも当たり前のことではない。元々は赤の他人だったという、すごい“縁”という接着剤があったんです。それを忘れないこと」と語った。その答えを受けた北川は「この映画の中も、松重さんも伊東さんも、それぞれの夫婦の空気感があるんだと思います。私はまだ(結婚して)3年半と少しくらいなんですけど、まだ探り合っているところがあるかと思うので、これからも細く長くで続けていけたらいいなと思いました」とコメントし、観客も深くうなずいていた。

最後に、松重は「子供を作ろうと思った人は世の中にはいっぱいいると思いますし、でも不妊治療まで踏み込んだ人は少ないかもしれません。この映画をやって、実は僕も私もという声をすごく聞きました。みんなに悩みを打ち明けることもなく閉ざしている人もいるかもしれませんけど、身近な問題だなとこの映画をやってわかりました。この映画は不妊がテーマだといって難しいものでもないし、観た人がどう思ってどう感じているかがすごく面白い映画です」と語り、温かい空気の中イベントは幕を閉じた。

『ヒキタさん! ご懐妊ですよ』
10月4日(金)より全国ロードショー
監督・脚本:細川徹
原作:ヒキタクニオ「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」(光文社刊)
出演:松重豊 北川景子 山中崇 濱田岳 伊東四朗
配給:東急レクリエーション

【ストーリー】 ヒキタクニオ(松重豊)、49歳。職業、作家。二回り近く年の離れた愛する妻・サチ(北川景子)と仲良く二人で暮らしている。サウナとビールが大好きで、ジム通いのおかげでいたって健康体。子どもは好きだけど、自分たちの子どもは作らずに二人だけで生きていくと決めていたが、ある日「ヒキタさんの子どもに会いたい」と妻は言った。その一言がきっかけで妊活を始めるも、なかなか結果は出ず…クリニックでの検査の結果、不妊の原因はヒキタ自身にあることが判明。そこからヒキタ夫妻の悲喜こもごもの妊活の日々が始まる。

©2019「ヒキタさん! ご懐妊ですよ」製作委員会