『悪人』、『怒り』など多数の著書が映像化されるベストセラー作家・吉田修一による傑作短編集「犯罪小説集」を、主演に綾野剛、共演に杉咲花、佐藤浩市を迎えて『64-ロクヨン-』の瀬々敬久監督が映画化した『楽園』が10月18日より公開される。このほど、9月5日にＴＯＨＯシネマズ 六本木ヒルズにて完成披露イベントが実施され、キャストの綾野剛、杉咲花、佐藤浩市、片岡礼子、瀬々敬久監督が出席した。

ある地方都市で起きた少女失踪事件。家族と周辺住民に深い影を落とした出来事をきっかけに、孤独な青年・豪士と、失踪した少女の親友だった紡が知り合う。それぞれの不遇に共感し合うふたりだが、事件から12年後に再び同じY字の分かれ道で少女が姿を消して、事態は急変する。

ベネチア国際映画祭にて上映が行われたという本作。孤独な青年・豪士役を演じた綾野は「素直に嬉しい」とし、「映画祭はいろいろな国の映画が集まって、そこから発信されていく。日本の作品を世界に持っていきたいという思いが強かったので、映画祭という場がもっと豊かになっていけば」と夢を語った。

失踪した少女の親友・紡役の杉咲も「すごく嬉しいし、長野でのお祭りのシーンも出てくるので、日本の文化を海外の方にも楽しんでいただけるんじゃないか」とコメントした。

綾野は杉咲との共演について聞かれると「ずっとご一緒したかった」そうで、過去にもドラマのワンシーンで共演したそうだが、「ちゃんとお芝居を、感情を通して向き合うのは初めてだったので、願いが叶った」と笑顔で語った。

そんな綾野に対して杉咲は「きっと綾野さんは役柄に入り込む方で、現場で話すことはない」と思い込んでいたようだが、「撮影の合間、近づかないようにフラフラ歩いてたら、『花、おいでよ！ 横に座りなよ』って言ってくださって。映画と関係ない楽しい話をいっぱいしてくださいました」と綾野の気さくさを知らしめるエピソードを披露。また、「撮休の日は美味しいご飯に連れて行ってくれて、誕生日にはお祝いしてくださって、プレゼントを２つもくださって（笑）。本当に優しくしていただきました（笑）」と男前・綾野剛を絶賛した。

照れ笑いを浮かべる綾野は「違うんです（笑）。プレゼントが選べなかったんですよ…。どっちも良いなと思って。本人に選んでもらうのが一番いいなと思ったんですけど、『どちらか悩みます』と言うんで、『じゃあどっちも！』っていう（笑）」とプレゼントが2つになった経緯を説明。「こういう作品だからこそ、母体になる僕たちが心を豊かにしておくことが大事だと思ったので、そういう時間が良かった」と撮影時の思い出を振り返っていた。

『楽園』
10月18日（金）全国公開
監督・脚本：瀬々敬久
原作：吉田修一「犯罪小説集」（KADOKAWA刊）
出演：綾野剛　杉咲花　村上虹郎　片岡礼子　黒沢あすか　石橋静河　根岸季衣　柄本明　佐藤浩市
配給：KADOKAWA

【ストーリー】　ある地方都市で起きた少女失踪事件。家族と周辺住民に深い影を落とした出来事をきっかけに知り合った孤独な青年・豪士（綾野剛）と、失踪した少女の親友だった紡（杉咲花）。不幸な生い立ち、過去に受けた心の傷、それぞれの不遇に共感し合うふたり。だが、事件から12年後に再び同じY字の分かれ道で少女が姿を消して、事態は急変する。一方、その場所にほど近い集落で暮らす善次郎（佐藤浩市）は、亡くした妻の忘れ形見である愛犬と穏やかな日々を過ごしていた。だが、ある行き違いから周辺住民といさかいとなり、孤立を深める。次第に正気は失われ、誰もが想像もつかなかった事件に発展する。2つの事件、3つの運命、その陰に隠される真実とは。“楽園”を求め、戻ることができない道を進んだ者の運命とは…。

© 2019「楽園」製作委員会