在宅医療のスペシャリストであり実際に尼崎市で在宅医として活躍している長尾和宏のベストセラー「痛くない死に方」「痛い在宅医」を、『禅』『赤い玉、』などの問題作を発表し続ける巨匠・高橋伴明監督が柄本佑主演で映画化した『痛くない死に方』が、2020年夏に公開されることが決定し、現場での撮影風景写真が披露された。
在宅医師・河田仁の新たな患者は、娘・智美の意向で、痛みを伴いながらも延命治療を続ける入院ではなく、「痛くない在宅医」を選択した、末期の肺がん患者・井上敏夫。しかし結局、敏夫は苦しみ続けてそのまま死んでしまう。智美は、それならあのまま病院にいさせた方が良かったのか、病院から自宅に連れ戻した自分が殺したことになるのかと、自分を責める。在宅医の先輩・長野浩平に相談した河田が突きつけられた現実とは…。
「病院」か「在宅」か。命あるものには必ず死が訪れ、それを誰も止めることは出来ない。少子高齢化と核家族化に歯止めが効かなくなっている現代日本。高い経済成長を遂げ、あらゆる分野において世界トップクラスの裕福な国になった今もなお、意外にも人は自分の死に場所や死に方を自由に決めることは出来ないのではないか。医学の進歩に伴い、「延命治療」が可能になったが、そこにはかつてあった自然な死は最早存在しない。昔の日本は死に方を選べなかった。生き方も同様かもしれない。しかし、選択肢が広がったはずの今も、人は死に方を選べないジレンマ、アイロニーを抱えてはいないだろうか。本作は、この一見矛盾するように思える事実と向き合っていく。
主人公の在宅医師・河田仁を演じるのは、『火口のふたり』『アルキメデスの大戦』など話題作に出演する柄本佑。監督は、『禅』『赤い玉、』などの問題作を発表し続ける巨匠・高橋伴明が務める。本作は8月8日にクランクインした。
■高橋伴明(監督) コメント
65歳を過ぎた頃から「死」というものを意識し始めました。自分はどのように死にたいのか…。そんな時「在宅医療」という言葉に出会い、心にヒットしました。この映画は私の「死に方の提案」です。ローバジェットながら理想のスタッフ、キャストが集結してくれました。重いテーマですが、楽しく観て、深く考えていただければ幸いです。この作品が遺作だと思って頑張ります。
『痛くない死に方』
2020年夏公開
監督・脚本:高橋伴明
出演:柄本佑
配給:渋谷プロダクション
【ストーリー】 在宅医師の河田仁(柄本佑)の新たな患者は、末期の肺がん患者・井上敏夫。娘の智美の意向で、痛みを伴いながらも延命治療を続ける入院ではなく、「痛くない在宅医」を選択したとのこと。しかし結局、敏夫は苦しみ続けてそのまま死んでしまう。智美は河田に、「痛くない在宅医」を選んだはずなのに、結局「痛い在宅医」だった。それならあのまま病院にいさせた方が良かったのか、病院から自宅に連れ戻した自分が殺したことになるのかと、自分を責める。河田には突き刺さる言葉だった。在宅医の先輩である長野浩平に相談した河田が突きつけられた現実とは…。
©「痛くない死に方」製作委員会