『空中庭園』、『八日目の蝉』、『紙の月』など数々の著作が映画化されてきた直木賞作家の角田光代が2006年に発表した同名恋愛小説を、主演に岸井ゆきの、共演に成田凌を迎えて映画化した『愛がなんだ』が、4月19日に公開初日を迎えた。このほど、4月20日にテアトル新宿にて行われた公開記念舞台挨拶に、キャストの岸井ゆきの、成田凌、深川麻衣、若葉竜也、今泉力哉監督が登壇した。
本作は、仕事や友人、自身の生活全てを犠牲にしてもいいほどの“愛”を持ったテルコと、彼女を取り巻く様々な人物を描いた恋愛群像劇。28歳のOL・テルコは、一目ぼれしたマモルに自分の時間のすべてを捧げているが、ある日、マモルからの連絡が途絶えてしまう。3ヶ月が経ったころ、マモルから急に電話がかかってきて会いに行くテルコだったが、隣には年上の女性・すみれがいた。
上映後の舞台に登場したゲスト陣。監督の今泉は、昨日公開を迎えたことについて「公開を満席で迎えられて嬉しい。早速、反響を聞いていて、『刺さった』という方もいて、これから観る人の感想も楽しみ」と語った。
主人公テルコを演じた岸井。「原作を読んだんですけど、ぜんぜん違う女になっていて、『テルコがマモルのストーカーだとしたら、世の中の皆んなが見習ったほうが良い』みたいなことを言っていて(笑)。ちょっと考え方が違う」と、原作と映画で違う楽しみ方ができることをアピールした。
マモル役の成田は「皆さんの声を聞くと、(マモルは)良くない人。でも本当にヤバイのは岸井さんの役だよ、って僕は思う(笑)」と持論を展開。すると岸井も「よく考えると、テルコの方がおかしい(笑)」と笑顔で納得した。
印象に残ったシーンを聞かれた成田は「冷蔵庫の前でするキスシーンで、カットがかかった後に岸井さんが監督とこそこそ話していて。監督が僕のところに来て、『今のキスでは、岸井さんは芝居はできない』」とダメ出しされたことを告白。岸井が慌てて「ちょっと! 待って!」と誤解があると説明すると、今泉監督が「岸井さんから、『肉体として求められているのは分かるけど、肉体すらも求められていない感じがする」と言われたことを補足。続けて今泉は、「もう一回やったら、熱量のあるキスシーンになってしまって…、それはぜんぜん違うと(笑)。どれだけ熱量が上がっても下がっても、目だけは死んでいて欲しい」とお願いしたことを暴露すると、会場から笑いが起こっていた。
『愛がなんだ』
4月19日(金)、テアトル新宿ほか全国ロードショー
監督:今泉力哉
脚本:澤井香織 今泉力哉
出演:岸井ゆきの 成田凌 深川麻衣 若葉竜也 片岡礼子 筒井真理子 江口のりこ
配給:エレファントハウス
【ストーリー】 28歳のOLテルコ(岸井ゆきの)は、一目ぼれしたマモル(成田凌)に想いを寄せている。自分の時間のすべてをマモルに捧げ、その結果、仕事を失いかけても、親友に冷たい目で見られても、マモルがいてくれるならテルコはこの上なく幸せだと思っている。けれど、マモルにとって、テルコはただ都合のいい女でしかない。そのことをわかっているテルコは今の関係を保つことに必死で自分からは一切連絡をしないし、決して「好き」とは伝えない。しかし、そんなある日、マモルからの連絡が突然途絶えてしまう…。3ヶ月が経ったころ、マモルから急に電話がかかってきて、会いにいくと、彼の隣には年上の女性、すみれ(江口のりこ)がいた…。
©2019 映画「愛がなんだ」製作委員会