昨年5月に開催された第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて最高賞のパルムドールを受賞し、3月17日時点で動員数380万人、興行収入46億円を突破した是枝裕和監督の長編14作目『万引き家族』。このほど、現地時間3月17日に開催された第13回アジア・フィルム・アワードにて、作品賞、音楽賞(細野晴臣)を受賞した。日本映画での作品賞受賞は、黒沢清監督作『トウキョウソナタ』以来10年ぶり、日本映画での音楽賞受賞は、久石譲の『崖の上のポニョ』以来10年ぶりとなる。
現地時間3月17日に行われた、“アジア全域のアカデミー賞”と呼ばれるアジア・フィルム・アワードにて、作品賞、監督賞(是枝裕和)、主演女優賞(安藤サクラ)、助演女優賞(松岡茉優)、作曲賞(細野晴臣)、美術賞(三ツ松けいこ)の6部門でノミネートされた本作。
受賞を受けて是枝監督は、「謝謝(シェイシェイ)ありがとうございます。アジア・フィルム・アワードは賞の結果よりは本当に尊敬するアジアの映画人たちと再会をして交流を深めて、そういう時間が一番の目的だと本当に思ってこの場に来ているんですけれどもやはり賞をもらうと嬉しいものですね。ここに来られなかったスタッフとキャスト、昨年の9月に亡くなられた樹木希林さん、希林さんと最初に映画祭に参加したのがこの香港の映画祭だったという思い出があって、このことをさっき思い出してました。戻ったらお墓まいりをしてこの賞を報告したいと思います。ありがとうございました」と口にし、細野は、「ありがとうございます、驚いています。ここにいられてとても嬉しいです。万引き家族の音楽はそれほど多く作曲したわけではないですが、とてもシンプルなものなのに、万引き家族のおかげで僕の音楽を見つけてくれてとても幸運です。これからもいっそう頑張ります。謝謝(シェイシェイ)!」と喜びのコメントを寄せた。
当日は、是枝裕和監督、安藤サクラ、細野晴臣、三ツ松けいこの4名が映画祭に出席。授賞式の前にはレッドカーペットにも登場し、現地メディアから大量のフラッシュを、観客からは大きな歓声を浴び、アジア圏においても人気の高さを見せつけた。今回で第10回以来二度目の参加となる是枝監督は、「『万引き家族』は、アジア・フィルム・アワードで作品賞ほか6部門もノミネート頂き大変嬉しく思います。ノミネーションは勿論ですが、アジアを代表する尊敬するフィルムメーカーの皆さんと、短い時間ではありますが交流を育める貴重な機会が有難く、楽しみにしております」と語った。
次に、第4回以来二度目の参加となる安藤は、「2010年のアジア・フィルム・アワードに参加させていただいたことがあり、当時の映画の助演女優賞で参加させていただきました。私も20代前半でしたし、ただ会場の雰囲気に圧倒されてしまい、自分は場違いなように、その場所にマッチしていないように感じてしまい、ただすごい華やかなものを見たなという思い出があります。今日はそれから約10年経ちましたので、また違う気持ちで参加できるのかなと楽しみにしています。本当に華やかでなかなか味わえない場所なので楽しみたいと思っています。皆で海外に来れたのも嬉しいです」と心境を明かした。
また、音楽賞を受賞した、本アワードに初参加となる細野は、「日本アカデミー賞もいただいて、今度はアジアのアカデミー賞に招待いただきました。ノミネートされてとても光栄です。これも全て『万引き家族』のおかげなので、有難く思っています。香港はいつも遊びにくるところでしたが、昨年からライブを始めまして、仕事で来る場所になりました。本当は遊びたいんですけどね(笑)。美味しいもの食べてね…歩き回りたいんですよ。香港大好きなんです」とコメントし、同じく初参加となる三ツ松は「自分のことでないような気持ちです。『万引き家族』に連れてきてもらったという、ご褒美のような気持ちでいっぱいです。せっかくですので楽しく過ごさせていただき、一緒に頑張った美術のスタッフ、他のスタッフの方にも喜びを共有したいと思います」と語った。
さらに是枝監督は、現在日本でも公開中の『バーニング 劇場版』にて、本映画際最多8部門のノミネートを果たし、功労賞を受賞したイ・チャンドン監督のプレゼンターを、そして細野は、アジア新人賞を受賞した、日本でも人気の高い歌手・アーティストであるジェジュンのプレゼンターを務めるなどして注目を集めた。
『万引き家族』
2018年6月8日(金)より公開中
監督・脚本・編集:是枝裕和
音楽:細野晴臣(ビクターエンタテインメント)
出演:リリー・フランキー 安藤サクラ 松岡茉優 池松壮亮 城桧吏 佐々木みゆ 緒形直人 森口瑤子 山田裕貴 片山萌美 柄本明 高良健吾 池脇千鶴 樹木希林
配給:ギャガ
【ストーリー】 高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治(リリー・フランキー)と信代(安藤サクラ)の夫婦、息子の祥太(城桧吏)、信代の妹の亜紀(松岡茉優)の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝(樹木希林)の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく─。
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