第71回カンヌ国際映画祭にて監督賞を受賞したパヴェウ・パヴリコフスキ監督の最新作で、冷戦下の時代に翻弄される恋人たちの姿を美しいモノクロ映像と名歌で描き出したラブストーリー『COLD WAR あの歌、2つの心』が、6月28日より公開される。このほど、本作の予告編とポスタービジュアルがお披露目となった。
本作は、ポーランドの民族合唱舞踏団で出会ったピアニストのヴィクトルと歌手志望の女性ズーラが、1950年の冷戦という時代に、15年間にわたって「西側」「東側」の間で揺れ動く姿を描いた、別れと再会を繰り返し続ける二人の愛と特異な運命の物語。監督は、前作『イーダ』で第87回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したポーランドのパヴェウ・パヴリコフスキが務める。
ポーランド、ベルリン、ユーゴスラビア、そしてパリを舞台に、美しいモノクロ映像によって、極力情報量を排除した画面や物語の構成も特徴的な本作。パヴリコフスキ監督は、「つまらないシーンや会話で物語を進めたくない」「物語を体感し、自分で理解して欲しい」と語り、劇中ではジャズ、民族音楽、伝統民謡などの多種多様な音楽が流れ、地域や時代などで使用する音楽の種類を必要に応じて巧みに使い分けることで、二人の存在する「時代」「場所」「想い」などを表現。その手腕と映像美は、アレキサンダー・ペインなど世界の映画監督たちからも羨望の眼差しを浴びている。
本作は、2018年のカンヌ国際映画祭にて監督賞を受賞、ヨーロッパ映画賞では5部門(最優秀作品賞、最優秀監督賞、最優秀脚本賞、最優秀女優賞、最優秀編集賞)を受賞したほか、ナショナル・ボード・オブ・レビューやニューヨーク批評家協会賞では最優秀外国語映画賞を受賞。さらに、2月25日(日本時間)に授賞式が行われる第91回アカデミー賞では3部門(監督賞、撮影賞、外国語映画賞)にノミネートされ、先日、アカデミー賞の前哨戦となるアメリカ撮影監督組合賞では撮影賞を受賞。ゴヤ賞、ガウディ賞でも最優秀ヨーロッパ映画賞を受賞。また、フランスのアカデミー賞こと、セザール賞の外国語映画賞にもノミネートされた。
予告編は、ズーラ(ヨアンナ・クーリク)がポーランド語で歌うジャズナンバーから始まる。この楽曲「Dwa serduzka ドゥヴァセルドゥシカ(Two Hearts)」は、ポーランドの伝統音楽と舞踏を継承する実在の楽団“マゾフシェ”が長く歌い繋いできたスタンダードナンバーを「この楽団の音楽の変遷自体が当時のポーランド社会で何が起こっていたのかを示す重要な存在になる」と考えた監督が、本作のために美しいジャズナンバーへとアレンジ。ポーランドからパリに渡ったあと、美しい歌手へと変貌を遂げたズーラとその時代の変化を、より象徴的に表すシーンとなっている。そのほか、現在ではとても珍しいフォーマットである「ほぼ正方形の画面比率」と「モノクロ」で撮影されたことも話題の本作。ポーランド、ベルリン、ユーゴスラビア、パリなど様々な時代と場所を巡り、そこで繰り広げられていく2人の関係性と空気感がモノクロのコントラストによってダイナミックかつ誠実に切りとられ、瞬きするのも惜しいほどの美しい映像となっている。
『COLD WAR あの歌、2つの心』
6月28日(金)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
監督・脚本:パヴェウ・パヴリコフスキ
脚本:ヤナッシュ・クヲウァツキ ピヨトル・バルコフスキ
撮影:ウカシュ・ジャル
出演:ヨアンナ・クーリグ トマシュ・コット アガタ・クレシャ ボリス・シィツ ジャンヌ・バリバール セドリック・カーン
配給:キノフィルムズ 木下グループ
【ストーリー】 ピアニストのヴィクトル(トマシュ・コット)と歌手志望のズーラ(ヨアンナ・クーリグ)はポーランドの音楽舞踏学校で出会い、愛し合うようになる。冷戦中、ヴィクトルは政府に監視されるようになり、ベルリンでの公演時、パリに亡命する。歌手になったズーラは公演活動で訪れたパリやユーゴスラビアでヴィクトルと再会する。ズーラは彼とパリに住み始めるが、やがてポーランドに戻ってしまい、ヴィクトルも後を追う。二人の愛は結ばれるのだろうか…。
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