見た者は1週間後に呪い殺されるという呪いのビデオの恐怖を描いた鈴木光司のホラー小説を、中田秀夫監督が映画化した『リング』(1998)。そのシリーズ最新作で、中田秀夫監督が再びメガホンをとり、主演に池田エライザを迎えた映画『貞子』が、5月24日より公開されることが決定した。
ビデオテープを介して呪いが拡散されていくという衝撃的な設定が観る者の恐怖を掻き立て、興行収入20億円を超える大ヒットを記録、社会現象を巻き起こし、のちに続くJホラーブームの火付け役となった『リング』。また、『リング』と同時上映された『らせん』に続き、『リング2』(1999)は興行収入42億円を記録、さらに、原作エピソードに映画独自の設定を盛り込んだシリーズ3作目『リング0 バースデイ』(2000)が公開され、日本ホラー映画の金字塔を打ち立てるとともに、映画に登場する怨霊・貞子は“恐怖の象徴”として知られるようになった。2012年以降は、それまでブラウン管テレビから這い出ていた貞子が世の中のデジタル変革に適合した現代版貞子として蘇り、3Dとなってスクリーンから飛び出す『貞子3D』(2012)、ユーザーのスマホと本編を連動させた『貞子3D2』(2013)、配給会社を越え2大ホラーキャラクターが奇跡の共演・対決を果たした『貞子vs伽椰子』(2016)と、時代の変化と共に恐怖の形状を変えながら、常に日本のホラー映画界を牽引してきた。そして、“井戸やテレビから這い出る、白い服を着た髪の長い少女”という貞子のキャラクター像は、映画の枠を超え、“日本で最も有名な怨霊”として全世代に圧倒的な認知と人気を誇る存在となった。
本作で新ヒロインに抜擢されたのは、映画『みんな!エスパーだよ!』以降、『ルームロンダリング』、『SUNNY 強い気持ち・強い愛』、『億男』などの話題作に立て続けに出演し、若手実力派女優として躍進著しい池田エライザ。松嶋菜々子(『リング』)、中谷美紀(『らせん』)、仲間由紀恵(『リング0 バースデイ』)、石原さとみ(『貞子3D』)など、錚々たる女優が代々演じてきた本シリーズのヒロインのバトンを受け継ぐ。
監督を務めるのは、『女優霊』、『リング』、『仄暗い水の底から』と日本映画界にホラー旋風を巻き起こし、最近では『スマホを落としただけなのに』の大ヒットも記憶に新しい中田秀夫。同シリーズでメガホンをとるのは、ハリウッド版『ザ・リング2』以来、14年ぶりとなる。
キャスト&スタッフ コメント
■池田エライザ(秋川茉優役)
お話をいただいた時は、日本にとどまらず世界に衝撃を与えた作品に携わることへの喜びとともに『貞子』というタイトルを私が背負っていいものか不安な気持ちになりました。ですが監督の熱のこもった言葉達に救われて、この作品に身を投じることを決意いたしました。平穏な世界にじわじわと迫り来る恐怖…。現場は穏やかに見えて、いつも何処か張り詰めていました。生唾を飲んで、身を硬直させ、冷や汗をかき…最後にはそこが映画館である。ということに安堵していただける…のかな。保証はできませんが、1つ言えるのはこの映画、容赦ないです。どうか楽しみに待っていてください。
■中田秀夫監督
『リング』では「この映画で世に出たい」の一心でありったけの情熱を注いだし、アメリカの『ザ・リング2』では、ハリウッドのスタジオ映画を指揮するという、胸踊る体験も得た。時を経て、今回の『貞子』では、今、純粋に私自身が「イケてる」と思うホラー表現をシンプルに、がむしゃらに追求したつもりだ。『リング』を同時代で観てくれた世代にとっては、「そうそう!」と肯いてもらえるものを、観てはなくとも貞子の風貌、動きは知っているティーンたちには、「今度の貞子はここが違う、スゴい!」と驚愕してもらえるものを目指した。ヒロイン、池田エライザさんには、弱きものを思う優しさと貞子に立ち向かう逞しさを喜怒哀楽十二分に表現してもらった。新時代のスクリーミング・ヒロイン誕生だと自負している。
■今安玲子プロデューサー
小説、そして映画『リング』からうまれた悲しみのヒロイン・山村貞子は、今や黒髪ロングヘアと白いワンピースの誰もが知るアイコンに成長しました。そんな今だからこそ、貞子の原点に触れる物語を描きたいと原作者・鈴木光司氏、中田秀夫監督に新作製作をご相談しました。新時代の若者たちをも阿鼻叫喚させる恐怖とは何か、中田監督をはじめとしたスタッフの皆様と議論を重ね、製作に挑みました。完全新作ストーリーとして、現代社会ならではのSNSや動画サイト投稿の気軽さの先にある恐怖がありつつも貞子が背負う宿命と怨念の深さに触れる内容になっています。主演の池田エライザさんは、発せられる言葉や立ち居振る舞いに芯の強さがあり、彼女を通して観客が一緒に怖がりつつも格好良く立ち向かう姿に惚れ惚れするようなヒロイン像を期待できると信じ、起用しました。歴代のヒロインが演じてきた大切な人を守りぬく強さと、自分自身が抱える繊細な弱さの両局面がある女性を体当たりで演じてくれました。初めてこのシリーズを観てくれる方が楽しめるのはもちろんのこと、これまでのシリーズを観てきた方も喜んでもらえるような仕掛けもございます。どんな『貞子』に出会えるかは、是非劇場でお確かめ下さい。恐怖の貞子ワールドをお楽しみに。
『貞子』
5月24日(金)全国ロードショー
監督:中田秀夫
原作:鈴木光司「タイド」(角川ホラー文庫刊)
脚本:杉原憲明
出演:池田エライザ
配給:KADOKAWA
【ストーリー】 病院で心理カウンセラーとして働く茉優(池田エライザ)は、公団住宅にある自宅が火事になり、警察によって保護されたひとりの少女を担当する。一切の記憶をなくし、自分の名前すら言えない少女と向き合う茉優だったが、次第に彼女のまわりで奇妙な出来事が起こり始める―。
©2019「貞子」製作委員会