斎藤工「世界市場に向けてアジアから映画を発信し、日本映画にとってもモデルケースとなる作品」『家族のレシピ』キュリナリーシネマイベント レポート

シンガポールと日本の外交関係樹立50周年をきっかけに、シンガポール・日本・フランス合同で製作された、斎藤工主演、松田聖子共演で贈るエリック・クー監督作『家族のレシピ』が、3月9日より公開される。このほど、2月2日にPLUS TOKYOにて、実食会を含むスペシャルイベント「キュリナリーシネマイベント」が開催され、斎藤工、ジネット・アウ、シシド・カフカ、エリック・クー監督が登壇した。

映画の料理監修をしている竹田敬介率いるチームケイスケが調理し、映画の中で、斎藤工演じる主人公、真人が家族の絆を取り戻すために作った「ラーメン・テー」。斎藤工の「いただきます!」を合図に会場にいる観客と試食が行われた。

斎藤工:今日出てきたラーメン・テーは絶妙な美味しさです!ラーメン・テーは、バクテーにただ麺を入れるだけでは成立しない。竹田敬介さん(「家族のレシピ」料理監修)のスープ加減は絶妙で、これは、日本でさらにバクテーが進化するきっかけになると思います。この映画を通して、また新たに料理に興味を持ちました。バクテーも自分で作っていて、これは得意料理の一つになりました。この映画は、エリック監督が、ラーメンとバクテーを融合させて、きちんと一つの料理として完成してから、映画作りを始めた、このプロセスは監督ならではだと思います。映画の撮影では、スタッフ、キャストのみんなが家族のような関係になりました。一番感動したのは、監督が撮影最終日にチキンスープを作ってきてくれて、その想いや煮込む時間をかけてくれたことに感動して号泣してしまいました。本当に美味しくて、家族を見つけた味、というか。僕にとってはドキュメンタリーのような感覚です。この映画はベルリン国際映画祭キュリナリー部門に出てから30~40ヶ国で配給が決まりました。世界市場に向けてアジアから映画を発信する、日本映画にとってもモデルケースとなる作品。そしてお腹が減る一本です。映画と食を味わう体験を、ぜひ日本の方にもして頂きたいです。

ジネット・アウ:日本で食べるラーメン・テーは、シンガポールとは違うおいしさ。日本とシンガポールの良いところが一緒になった味ですね。撮影でお世話になった高崎で食べた、ちごもちが私にとっての忘れらない家族の味です。高崎の菓子職人の方にレシピも学びました。新鮮なフルーツを薄皮のおもちで包んだ贅沢な一品です。

シシド・カフカ:ラーメン・テーは初めて食べました。想像を見事に満たしてくれる味!シンプルなのにピリッと辛いところが好きです。家族のレシピは、メキシコ料理のケサディア。幼い時メキシコで過ごしていて、その時に朝食で母がよく出してくれてました。

エリック・クー監督:ラーメン・テーは素晴らしい!シンガポールで食べるより美味しいと感じるのはなぜでしょう?ケイスケさんは天才!日本のポークはクオリティが高いからシンガポールのバクテーが更に美味しくなる!家族のレシピは、半熟卵のダークソイソースがけ。毎朝母が作ってくれた味です。ダークソイソースをかけて食べるのがシンガポール流です。この映画で工や日本のキャスト、クルーと一緒に過ごして見つけたのは友情、慈愛、慈しみの心です。この友情はどんどん大きくなっています。

■ゲストが紹介した「家族のレシピ」
松田聖子のレシピ「がめ煮(筑前煮)」
「子供の頃から、お正月などのおめでたい時に、松田家で必ず食卓に出てきた、一番思い出深い品」

伊原剛志のレシピ「伊原家の牛丼」
「しゃぶしゃぶを食べた後に、翌日残ったお肉を使って牛丼を作ったら子供が大絶賛。それ以来、しゃぶしゃぶのお肉は残すという習慣がついた」

別所哲也のレシピ「別所家のピーマンの肉詰め」
「母が良く作ってくれた1品で、お弁当にも良く入っていた思い出の味」

シシド・カフカのレシピ「ケサディア」
「生まれた国、メキシコの家庭料理“ケサディア”」

エリック監督レシピ「半熟卵のダークソースがけ」

『家族のレシピ』
3月9日(土)より、シネマート新宿ほか全国公開
監督:エリック・クー
主題歌:シシド・カフカ「Hold my Hand」
出演:斎藤工 マーク・リー ジネット・アウ 伊原剛志 別所哲也 ビートリス・チャン 松田聖子
配給:エレファントハウス

【ストーリー】 日本でラーメン屋を営む真人(斎藤工)は、急死した父の遺品の中に、幼いころ亡くしたシンガポール人の母が書いた日記帳を見つける。それは料理のレシピや写真など、様々な思い出が詰まっていた。両親の足跡を追ってシンガポールへ渡った真人は、叔父や祖母と出会い、初めて知る家族の過去と向き合うこととなる。日本料理の板前だった父と、街の食堂の娘だった母を結びつけたバクテーはどんな味だったのか?そして母が叶えたかった願いとは…?シンガポールと日本、バラバラになった家族を再び一つにするため、真人は家族の想いを融合させたある料理を完成させていく。

(C)Wild Orange Artists/Zhao Wei Films/Comme des Cinemas/Version Originale