あらいぴろよによるベストセラーコミックを、主演に佐久間由衣、共演に村上虹郎、大後寿々花、森山未來を迎え、三木康一郎監督が映画化する『“隠れビッチ”やってました。』が、2019年に公開されることが決定した。
異性からモテ続ける事で「認められたい欲求」を満たしてきた主人公・ひろみ。自分は傷つかずに、相手の気持ちだけを弄びながら恋愛を楽しみ、その計算しつくした仕草と会話で男性を落とすハンターぶりから、友人から“隠れビッチ”と名付けられる。そんなある日、同じ職場に気になる相手が現れ、ひろみは初めて自分の本音と向き合うようになる。
タイトルになっている“隠れビッチ”とは、メイクはシンプル、髪色は暗め、肌の露出も15%程、戦略的に「隙」と「タイミング」を演出しながら、男性を次々とハントしていく女性を指す。彼女たちは従来の“肉食系女子”のようにハンティング意欲が旺盛である事は周囲に悟られず、一見ごく普通の女性と見せかけて、あらゆる種類の思わせぶりな態度をとりながら男性の心を揺さぶる。本作は、そんな“隠れビッチ”のモテ戦術を面白可笑しく披露しつつも、その裏に潜む現代女性の心の隙間や歪みに寄り添う。
主人公・荒井ひろみには、NHK連続テレビ小説「ひよっこ」に出演し、本作が映画初主演となる佐久間由衣。ひろみたちと一緒にシェアハウスをしているバイセクシャルの晃に、映画『ナミヤ雑貨店の奇蹟』やドラマ「この世界の片隅に」の村上虹郎。ひろみと晃とともにシェアハウスで暮らし、自信のなさから駄目な恋愛を繰り返す女性・彩に、『桐島、部活やめるってよ』、『悼む人』の大後寿々花。そして、ひろみを見守る男性・三沢役に、『怒り』、大河ドラマ「いだてん ~東京オリムピック噺~」の森山未來と、新進俳優から実力派まで異色のキャストが揃った。監督は、『植物図鑑 運命の恋、ひろいました』、『旅猫リポート』の三木康一郎が務める。
キャスト&スタッフ コメント
■佐久間由衣(荒井ひろみ役)
この作品は、主人公の恋愛模様を描きながらも、そこだけに留まらず「ちょっとした寂しさを抱えて生きる現代の大人の成長物語」だと台本を読んで感じました。私自身、今回が映画初主演という事もあり、監督や共演者の皆さんといった沢山の方に、役柄同様に支えられながら、新たな経験を積ませて頂きました。主人公・ひろみは、色々な戦略で男性を翻弄する役柄ですが、演じる時には、愛したい。でも愛し方がわからない主人公の寂しさやコンプレックス、彼女の感情の深い心の穴である部分を理解しようと精一杯努めました。原作者であり、主人公のモデルにもなった、あらいぴろよさんの話も参考にさせて頂きながら、全てのシーンを大切にそして思い切り演じさせて頂きました。私にとって既にとても大切な作品です。
■村上虹郎(小島晃役)
“隠れビッチ”というキャラクターを知り、女性って怖いなと(笑)!でも悪意があって男性を翻弄しているわけではなく、日常の寂しさや心の穴を埋めようとする女性や、自信が持てない女性たちの普遍的な物語だと思います。僕は、主人公・ひろみとその友人・彩とシェアハウスをしている、バイセクシャルの晃役なのですが、みんなの食事の支度から、駄目な恋愛を繰り返す女子2人の心のケアまでお世話する、“お母さん”みたいな役割を楽しんで演じました。
■大後寿々花(木村彩役)
私が演じた主人公の友人・彩は、外向きは仕事もプライベートも充実しているように見えて、実は自分に自信がなくて、気になる相手には嫌われないために体を許してしまうような恋愛を繰り返してしまう女性です。“隠れビッチ”とは真逆で、純粋に恋愛をしたいのに上手くいかないタイプ。ひろみや、彩の恋愛模様を見ていると「2人共、素直に自分の気持ちを伝えたらいいのに」と思うかもしれませんが、自分は気持ちを人に伝えられているだろうか…と振り返る事につながると思います。佐久間さんや村上さんとは初共演でしたが、和気あいあいとした雰囲気の中で撮影を終える事ができました。
■森山未來(三沢光昭役)
セントラルアーツのプロデューサーである黒澤満さんの作品に、こうやってまた関わらせていただけたことを光栄に思います。これは“もし佐久間由衣ちゃんがナチュラルに隠れビッチをやっていたとしたら誰も太刀打ちできないでしょ”、という映画です。僕も彼女に打ち砕かれた死屍累々の一人です。
■三木康一郎監督
「“隠れビッチ”やってました。」原作を目にした時、タイトルからどれだけブッとんだ女性の話だろうかと思ったら、読んでみると、行動や発言はめちゃくちゃなんですが、何か身近なものを感じたのです。主人公、ひろみの感情は、実は誰でも心の奥に秘めているものなのでは?と思ったのです。今回、映画化するにあたって、そんな誰でも持っている、心の奥に秘めた部分を丁寧に描きました。強い部分もあれば、弱い部分もある。正しい人間でもあれば、ビッチな人間でもある。誰もが心の奥に隠している黒い部分を針で突くような作品、そして、そんな自分を理解し前に少しでも向いて歩こうと思えるような作品になればと思って作りました。主人公のひろみを誰に託すかと考えた時、新鮮さが重要だと思ったのです。どこかで見たようなキャラクターにしたくない。なので、まだ、あまり色のない、未知数な人物を求めたのです。彼女はぴったりでした。初々しくて、新鮮で、ぎこちなくて、力強い。彼女の、新鮮で、見たことのない演技に注目してください。
■あらいぴろよ(原作者)
はじめまして、あらいぴろよです!原作は愛に飢えて寂しくてどうしようもなかった自分自身の経験を描いたものでした。この映画もきっと、そんな苦しい寂しさを抱えた人に寄り添う映画になると思います。個人的には原作とは違う空気をまとっているなぁと感じますので、映画ならではの寄り添い方がどんなものか…私も一愛飢え子として、楽しみたいと思います。
『“隠れビッチ”やってました。』
2019年 公開
監督:三木康一郎
原作:あらいぴろよ「“隠れビッチ”やってました。」(発刊:光文社)
出演:佐久間由衣 村上虹郎 大後寿々花 森山未來
配給:キノフィルムズ
【ストーリー】 異性からモテ続ける事で、「認められたい欲求」を満たしてきた主人公・ひろみ(佐久間由衣)。自分が傷つかずに、相手の気持ちだけを弄びながら、恋愛の美味しい所だけを楽しみ、体の関係は断る―というゲームのようなやり口に、ひろみのシェアハウス仲間であるバイセクシャルの晃(村上虹郎)と恋愛に失敗してばかりの彩(大後寿々花)は驚いていた。服の露出は少な目、鎖骨がちらりとのぞく透け感のあるワンピースが戦闘服。どこにでもいる女性に見えるのに、計算しつくした仕草と会話で、男性を落とすハンターぶりから、彩は「あんたは“隠れビッチ”ね!」と名付ける。そんなある日、同じ職場に気になる相手が現れ、ひろみは初めて自分の本音と向き合う。「男に頼ってばかりではだめ。人間になりなさい」そんな晃からの叱咤を受け、ひろみは<自分に必要なもの>を探しはじめるが…。
©『“隠れビッチ”やってました。』フィルムパートナーズ/光文社