『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督が、直木賞受賞作家の中島京子による同名小説を映画化する最新作『長いお別れ』が、5月に公開されることが決定し、このほど、蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山﨑努が出演することが発表された。併せて、特報映像とポスタービジュアルがお披露目となった。
本作は、認知症の父と過ごす7年間の日々を、時に泣き、笑い、悩みながら前に進んでいく“東(ひがし)家”の物語。父、昇平の70歳の誕生日会で、久しぶりに集まった娘たちに告げられたのは、厳格な父が認知症になったという事実だった。日に日に記憶を失っていく昇平の様子に戸惑いながらも、向き合うことで自分自身を見つめ直していく家族たち。そしてある日、家族の誰もが忘れかけていた“愛しい思い出”が昇平の中に今も息づいていることを知る。
認知症になった父を取り巻く東家の次女で、カフェを開く夢も恋愛もうまくいかず思い悩んでいる芙美役には、『彼女がその名を知らない鳥たち』で第41回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞を受賞するなど、2017年度の主演女優賞を総なめにした蒼井優。夫の転勤で息子とアメリカに移り住み、慣れない生活に戸惑っている長女・麻里役には、日本アカデミー賞を4度受賞し、映画・ドラマ・舞台・CMと活躍、日本を代表する人気女優の竹内結子。結婚後、専業主婦として夫と娘たちを献身的に支えてきた母親・曜子役には、日活三人娘の一人として一世を風靡し、『ゆずの葉ゆれて』でソチ国際映画祭主演女優賞に輝いた松原智恵子。元中学校校長で、認知症を患う父親・昇平役には、紫綬褒章、旭日小綬章を受章した名優であり、『モリのいる場所』など現在も精力的に話題作に出演し続ける山﨑努。また、麻里の息子・崇役には、オーディションで蒲田優惟人が抜擢された。
ポスタービジュアルは、本作の印象的なシーンである遊園地のメリーゴーランド前にて、東家の記念写真を意識して撮り下ろされたもの。楽しそうな家族たちの中で、認知症により状況がわからずに一人しかめっ面をする父親が印象的な仕上がりになっている。
キャスト コメント
■蒼井優(東芙美役)
私が演じた芙美は、よしておけばいいのにと思うようなことをついやってしまう、でも笑えるほど不器用でもない、というちょっと不憫なタイプの女性です。そんな彼女が30歳を超えてもう一度家族から学ぶことの大きさが大切なのかなと思いながら演じました。東家の皆さんとの共演はとても光栄でした。お芝居とは何なのかを山﨑努さんの御本で学んで来た私にとって、まさか山﨑さんと同じ画面に入れる日が来るなんて思ってもいませんでした。今思い返しても夢のような時間で、感動の連続でした。松原智恵子さんと竹内結子さんは、お二方が家族でいて下さる事が心強く、毎日本当に助けていただいてばかりでした。言葉では言い表せないほど感謝しています。
■竹内結子(今村麻里役)
クランクインの前に監督が、一つの家族として始められるように、東家のリハーサル時間を設けてくださったので、安心して撮影に入る事ができました。姉妹の会話のシーンの撮影中、監督には「麻里さんがリズムを作ってほしい」と言われていました。私の今までのお芝居ではやったことのない、監督の独特のテンポを指示されたので、新しいものが見られるのでは、と完成を楽しみにしています。
■松原智恵子(東曜子役)
認知症という暗くなりがちな話を、あたたかでユーモラスに描いた作品です。曜子の優しさと明るさをどうすれば出せるかと悩んでいた私に、中野監督は「明るく軽やかに、段々良くなってきましたよ。もう一度やってみましょう」と何度も辛抱強くやさしく「叱咤激励」をしてくださいました。時々落ち込む私(曜子)に、認知症の夫は無言のあたたかな眼差しを、明るい娘達はそれぞれ色々な問題を抱えながらも包み込むようなハグを…私自身が介護されて支えられていた毎日でした。そんなやさしい、あたたかな撮影現場でした。
■山﨑努(東昇平役)
原作を読んでいる時、この役のオファーが来るのではないかとの変な予感がありました。その予感が当たり、不思議な心持がしています。中野監督のことは、前作や脚本に触れるにあたり、大変な才能だと思っておりました。実際に現場で一緒に仕事をしても、見事な演出で、感服致しました。認知症の家族を持つ友人がいるのですが、彼はとにかく「笑うことが大事」だと言います。この作品が何より素晴らしいのは、認知症という扱いにくい題材に対し、おかしみの要素をうまく取り入れてユーモアを失わずに作り上げたところだと思います。
『長いお別れ』
5月 全国ロードショー
監督・脚本:中野量太
原作:中島京子「長いお別れ」(文春文庫刊)
脚本:大野敏哉
出演:蒼井優 竹内結子 松原智恵子 山﨑努
配給:アスミック・エース
【ストーリー】 父、昇平(山﨑努)の70歳の誕生日会。久しぶりに集まった娘たち、芙美(蒼井優)と麻里(竹内結子)に告げられたのは、厳格な父が認知症になったという事実だった―。日に日に記憶を失っていく昇平の様子に戸惑いながらも、向き合うことで自分自身を見つめ直していく家族たち。そしてある日、家族の誰もが忘れかけていた“愛しい思い出”が昇平の中に今も息づいていることを知る…。
(C)2019『長いお別れ』製作委員会