是枝裕和監督、西川美和監督が立ち上げた制作者集団「分福」が満を持して送り出す新人監督、広瀬奈々子のデビュー作『夜明け』が、1月18日に公開初日を迎えた。このほど、1月19日に新宿ピカデリーにて公開記念舞台挨拶が行われ、柳楽優弥、小林薫、YOUNG DAIS、鈴木常吉、高木美嘉、広瀬奈々子監督が登壇した。
■柳楽優弥 コメント
今日はたくさんの方にお越し頂きありがとうございます。是枝監督の「誰も知らない」で俳優デビューして、一周回って、この「夜明け」で是枝監督のお弟子さんの初監督作に出演したことを光栄に思っています。最近は「ディストラクション・ベイビーズ」や「銀魂」など個性的なキャラクターを演じることが多かったけれど、この「夜明け」では、抱えているものはあるけれどいたって普通の青年を演じています。こういう役は、自分をさらけ出さないといけない。まるで舞台で裸にされているような(笑)。現場では、広瀬監督を信頼して、現場の中で生まれたものを大事にしようと心がけました。小林さんとの共演は、以前、大河ドラマで共演させて頂いたこともあり親しみやすかった。僕自身もしっかり付いていかなきゃと思いますし、おこがましいですが「負けたくない!」と思って、引っ張って頂いたと思います。
■小林薫 コメント
普段はあまり「ありがとう」とお礼を言わない男なんですが、今日は心からお礼を言います、ありがとう!現場では、演者の方で固まりすぎてると、それを崩すのが大変なので、現場では穏やかに化学反応が起こるように、と心がけました。
■広瀬奈々子監督 コメント
本日は本当にありがとうございます。私の監督デビュー作で、こんなに広い劇場で公開して頂いたことを幸せに思っています。この「夜明け」では、言葉の少ない作品ですが、言葉に頼らずに人物を描写して作ろう、と私自身の挑戦でもありました。キャストの皆さんの繊細な演技に、本当に支えて頂いたと感謝しています。この作品は、私自身が、この「夜明け」の主人公と同じくらい若いころに悩んでいた時期に書いた脚本で、同世代の若い方にも見て頂きたいですが、上の世代の方にもきっと共感して頂けると思います。柳楽さん演じる主人公の若者、または、小林さん演じる親世代の目線、いろんな見方がありますので、ぜひ双方の視点から見比べて頂けると深く感じてもらえるのではないかと思います。
Q:今年は平成最後・新元号の元年でまさに「夜明け」の年、お二人の「2019年、私の『夜明け』(チャレンジしたいこと等)宣言」は?
柳楽:役者としては、2019年は主演映画や舞台が多いので今までとはまた違ったかたちで向き合えたらいいなと思っています。僕のデビュー作は、是枝裕和監督の『誰も知らない』という作品、平成の最後のタイミングでお弟子さんの監督デビュー作に主演として参加させて頂けたことが、この作品が僕にとっても“夜明け”になる、と思っています。ここで得たものをしっかりと次の作品にも活かし、常に上を目指して頑張りたいです。
小林:一年のはじめに抱負やチャレンジを書きとめたりしようと思ったことがなく、成り行きで生きてきましたが(笑)、強いていえば、子どもに「飼いたい」と言われて、昨年の秋に犬がうちに来て世話をすることになりよく散歩をしています。ママ友みたんなイヌ友なんかもできたりして(笑)。犬種は、アメリカンコッカースパニエルとプードルを掛け合わせた「コッカープー」という、ふざけた名前の犬です(笑)。その犬を連れ今年1年も散歩に出ようと思います。
『夜明け』
1月18日(金)より新宿ピカデリーほか全国ロードショー
監督・脚本:広瀬奈々子
出演:柳楽優弥 YOUNG DAIS 鈴木常吉 堀内敬子 芹川藍 高木美嘉 清水葉月 竹井亮介 飯田芳 岩崎う大(かもめんたる) 小林薫
配給:マジックアワー
【ストーリー】 地方の町で木工所を営む哲郎(小林薫)は、ある日河辺で倒れていた見知らぬ青年(柳楽優弥)を助け、自宅で介抱する。「シンイチ」と名乗った青年に、わずかに動揺する哲郎。偶然にもそれは、哲郎の亡くなった息子と同じ名前だった。シンイチはそのまま哲郎の家に住み着き、彼が経営する木工所で働くようになる。木工所の家庭的な温かさに触れ、寡黙だったシンイチは徐々に心を開きはじめる。シンイチに父親のような感情を抱き始める哲郎。互いに何かを埋め合うように、ふたりは親子のような関係を築いていく。だがその頃、彼らの周りで、数年前に町で起きた事件にまつわる噂が流れ始める―。
(C)2019「夜明け」製作委員会