吉川:そんなことないよ、君たちが動いているもん。こっちは動いてないけど。
上地:六兵衛はね。
吉川:だから君たちの中の…
上地:だから、これから言うから!
(会場爆笑)
吉川:(笑)、ちょっと下がってよ。
MC:吉川さんがお下がりになってしましましたが…(笑)。
上地:「しゃべれ」って言ったり、いきなり割り込んだり(笑)。その中で、六兵衛の周りの人間の心が動いていくんですね。その中で、僕に通じるものがあるなとか、あの子に言いたい言葉だったりするなとかがたくさん散りばめられているので、観終わったら、あっという間のドラマだと思います。僕も観たんですけど、あっという間にドラマが終わってしまったので、時間を忘れるぐらい動かない中にいろいろな心の動きがあって、すごく楽しいドラマになっていると思います。
MC:こんなふうに六兵衛が奥のほうにお隠れになってしまうんですけど(笑)。お戻りいただいて(笑)。
吉川:まあまあだったよ。
上地:「まあまあ」!?
MC:(笑)。時代劇の魅力というのも。
吉川:今の時代に合わせちゃうと、なんか滑稽に映ったり、不可解だったり、偏屈に見えたりとか。例えばハードボイルドもそうだと思うんですけど、今見るとハードボイルドって不思議な生き方に映っちゃうと思うんですけど、時代を変える、背景を変えること。未来とか過去に舞台を変えることで、ばっちりハマったりすることってあると思うんですよね。だからこの作品もそうだと思うんですけど、時代劇だからこそ、しなやかに流れていってくれるというか。今じゃないいつか、ここじゃないどこかっていうことが、それだけでワクワクしてくるようなものに変えられるように思いますね。時代劇のほうが僕は好きなんですよ。現代的な生き方はできないですしね…。なんか、笑っていただきたいところだったんですけど(笑)。
(会場爆笑)
吉川:真剣に受け止められると、困っちゃうんだけど(笑)。
MC:上地さんはいかがですか?
上地:僕も何回か出させていただいている中で、吉川さんも本当に大先輩なんですけど、音楽をやっていて、音楽があるから言える言葉とか、音楽があるからこそ、出てくる言葉があって、自分の表現とか。時代劇だからこそ出てくる表現だったり、感情だったりする部分もありますし、時代劇だから違和感なく見ていただける、受け止めていただける映像だったりセリフだったりすると思うので、だからこそ音楽に通じるというか、時代劇っていろいろな感情を助けてくれると思います。
MC:本作の役を演じられたことで、なにかご自身の中で変わったことはありますか?
吉川:時代が変わっていっても、残すべき美しいものは残さなければいけない。なんでもかんでも全て変わっていけばいいというものではないしね。明治維新と言われる革命児に六兵衛は周りの皆んなに問うたんだと思うんですよ。「武士道ってなんだと思う?君たち。俺はこうだと思う」というのが六兵衛の行動だったし。小笠原流礼法を習った時も、いちいちトイレに立つのだってエライことになるんですよ。動きが。これは、いつ戦に出ても大丈夫なように、日々の生活の中で課せられているんだなと。これができれば、すぐに戦に出られる。それが武士の本分ですからね。なおかつそれが、なんともしなやかで美しいんですね。楽な方向に行くと、失うものも大きいなあと、改めて感じましたね。しなやかであることは音楽でも、芝居でもすべてにおいていちばん大事なことだと思っていて、それにはやっぱり体幹を鍛えなきゃとか、改めて思いましたね。
MC:上地さんは加倉井という役、もしくはこの作品に出る前と後でなにか変わったことはありますか?
上地:どんな長セリフでも怖くなくなりました。
吉川:言っちゃったな?絶対、長セリフの仕事が来ますよ。
上地:いや、大丈夫です(笑)。
吉川:できちゃったんだもん。これから大変だよ?しゃべる役ばっかり来るよ。いやあ、良かった。俺、しゃべらない役で。
上地:俺、勉強が嫌いだからこの世界に入ったんですけど(笑)。
吉川:いやいや。もう遅い。
上地:いや、もう大丈夫です。でも怖いものは少し減ったかなと思います。
吉川:民放局の皆さん、長セリフの役があったら、ぜひ上地に(笑)。
上地:六兵衛みたいな役をよろしくお願いいたします(笑)。
吉川:楽みたいな言い方したじゃん。
上地:いや、違います、違います(笑)。