上地:すごい難しいんですよ。絶対吉川さんしかできないと思いました。
吉川:いやいや。でも流鏑馬はなんとかやれたので良かった。
上地:流鏑馬を本人がやるなんて、普通ありえないですから。
吉川:俺はやるって言っちゃうからな(笑)。ダメなんですよ、人にやってもらったら、その役の芝居じゃないと思うので。人にやってもらうなら、最初からやらない。どっちかしかないんです。
上地:本番が終わったあとも、吉川さんはそこにいて、ずっと練習して。
吉川:流鏑馬とか礼法をね。(上地は)飲みに行ってましたから。
上地:行ってないですよ!? その間、ずっとセリフをやってましたよ! やめてくださいよ(笑)。せっかく褒めたのに(笑)。
吉川:でもね、自分たちはどこかでアスリート出身なんですけど、多くを語らなくても馬が合うというか、テンポとかリズムが合って。僕は勝手に馬が合うなと思っていたんですよ。すごいやりやすかったし。
上地:僕もそう思ったんですけど、「流鏑馬」の後に、「馬が合う」だったんで、オヤジギャグに聞こえちゃって(笑)。
吉川:こうやってすべての話の腰を折るんですよ。
上地:いや、本当に、いつもお世話になっております。
吉川:キャッチャーは女房役じゃないの?
上地:女房役です。全部受け止めているじゃないですか。
吉川:全然受けてないじゃん。
上地:受けてますよ!たまに変なボールを投げてくるけど、しっかり受け止めてます。
MC:これから皆さんに第一話をご覧いただきますが、お二人のシーンで印象に残っているシーンはありますか?
吉川:僕は最後ですかね。そこで、なんとなくやれたんじゃんないかなという確信を持てましたし、まあ最終回ですけど。
上地:僕もそうです。忘れられないですよね、あのシーンは。いろんな感情がこみ上げてきた思いもありますし、思い入れもありますし。
吉川:常に高い緊張感と集中力で、撮影できていましたからね。原作の浅田次郎さんと対談させていただいた時に、反戦小説でもあるわけですよ。幕末を舞台にした。「今の時代、もしかしたら僕たちは戦前の人になってしまうかもしれない」という話になって、それはいつ戦争が起こるか分からないということですよね。そういう流れの中で戦前の人にならないためにも。六兵衛はエンターテイメントとしても面白い要素が満載ですし、だから今、ここにあったんだなと、きっちり抱いて立っている存在になるんだと思います。これを観た時に、僕はボブ・ディランだと思ったんですけど、風の中に答えはある。要するにひとつの答えではないんですよ。人それぞれに出す答えが、おそらく違うんですよ。時には腹を抱えて、時にはグチャグチャの顔で泣きながら観ていただいて、最後に「ああ、なるほどね。こういう問いかけがあるんだな」となった時に、皆さんそれぞれが答えを出していただければ、それが我々の未来につながっていくんだと思って。ナイスなタイミングなんですよ。このご時世を踏まえた上で。以上です。
上地:すごい、いい。
吉川:なんか言ってみろよ。
上地:「なんか言ってみろ」!?(笑)。やっぱ時代劇ですけど、ファンタジーに通じるものがあって、それぞれ感じ方も感じるポイントも違うと思うのですが、その中で自分の生きる力になるきっかけみたいなものがいっぱい散りばめられているので、ドラマ自体そんなに動くような、紆余曲折があったり、どんでん返しがあるドラマでもないんですけど…。