【全起こし】松坂桃李、木村文乃との5度目の共演に「心配のない関係性」 映画『居眠り磐音』プレミアイベントレポート 全文掲載

MC:ぜひ、先生からもご来場の方にメッセージをいただければと思います。

佐伯:私なりにやらせていただきます。映画における、原作者の立場は、実に曖昧でありまして微妙です。スタッフの一員のようでもあり、そうでもない。私の場合、原作を皆さんにお預けしたら、それで終わりです、基本的には。そんな私が盛大な拍手でこの場に迎えられた。本日の登壇者の中で、ただ一人後期高齢者(笑)。きっとスタッフの方が年寄りに花を持たせよう…、いえ、気遣いをみせていただいたのではないかと勝手に解釈しております。あの日以来、本来必要でなかった膨大な作業にスタッフの皆さんは今も時間を費やされています。今回の事件を受けて、一部のマスメディアでは「一出演者と作品は別のもの」という意見がしきりに取り沙汰されております。映画の制作にはそれぞれ作品ごとに異なった作風があります。もろもろの要因を鑑みて、個々の判断があって然るべきだと私は考えております。出演者とスタッフの熱意と努力で映画『居眠り磐音』は、ほぼ完成しております。松坂桃李くんの主人公、坂崎磐音に新たなる解釈。この男、切ないほどに強く優しい。新鮮な演技で挑戦してくれた。ところが、ひとりの反社会的な行動によって、製作が頓挫した。いや、しかけた。そんな『居眠り磐音』の前途に光明も見えてきました。宍戸文六役を奥田瑛二氏が快く受けていただいたことも前進の一歩でしょう。また、スタッフ一同が再結束し、和気あいあいとしたスタッフとキャスト。この人たちが、この難関を乗り越えて、『居眠り磐音』の完成へと再び力を振り絞る姿を見て、私は必ず良い作品に仕上がると確信しました。私は今回の『居眠り磐音』製作委員会の勇気ある差し替え、再撮影の決断と、スタッフの再挑戦を全面的に支持するものです。この考えを行動で示そうと、このプレミアイベントに参加させていただき、今この場に立っております。皆さん、産みの苦しみを必ずや乗り越えるはずの本木克英監督作品。松坂桃李くん主演の、『居眠り磐音』をどうか劇場にてご覧になってください。原作者の私からもお願い申し上げます。

MC:ありがとうございます。松坂さん、いかがでしたか?

松坂:はい。原作から映画化するにあたって、原作者の方に観てもらって、こうやって直接なにかを言われるのは本当に演じさせていただいた者としては、緊張といいますか…。不安要素の方がむしろ大きい部分はあるんですけど、今の先生の言葉を聞いて改めて勇気といいますか、強い気持ちが湧き上がってきたなという思いはすごく感じました。本当にありがとうございます。

MC:ありがとうございます。本木監督はいかがだったでしょうか。

本木:本当にもったいない言葉をありがとうございます。まさか自分が佐伯泰英先生のあれだけのベストセラーの作品を監督して映画化できるとは思っておりませんでしたので、今ここで横で立っていても、夢のような気分がしておりますが、今、スピーチをお聞きして勇気100倍、スタッフキャスト併せて、作品をさらにアップグレードすべく頑張りたいと思います。

MC:改めまして、佐伯先生、本当にありがとうございました。そして本日、ご来場のお客様に初めてお話するビッグニュースがございます! なんと佐伯先生から「居眠り磐音」の読者の皆様、そして映画を楽しみにしてくださっている全国のお客様へのプレゼントとしまして、描き下ろしの小説をご執筆いただき、その小説などを収録しました、豪華特別文庫「居眠り磐音 劇場版00」が入場者特典として、5月17日より全国の上映劇場で数量限定で配布されることが決定しました!

松坂:え!? エピソード0ってことですか!? ど、どういう内容なんですか!?

佐伯:京都に行って、君の演技を見ていた時に、ふと頭の中に浮かんだんです。僕は半世紀ぐらい前にスペインにいて、闘牛ばかりを取材して歩いていた人間です。その時の体験と、闘牛士と牛の戦いと、もろもろをなんとなく君に重ね合わせたんですよ。その虚構を短い小説ですけど…、「闘牛士トオリ」。

松坂:え…? 闘牛士…?

佐伯:この短編を書いてます。

松坂:ありがとうございます! え、闘牛士の話ですか?

佐伯:小説も映画もそうじゃないですか。現実かうつつか。まあ、読んで(笑)。

松坂:はい、分かりました! すごい楽しみです。

MC:楽しみにしたいと思います。ありがとうございます。それでは皆さんを代表して、最後に松坂さんからメッセージをお願いします。

松坂:皆さん、本日は本当にありがとうございました。改めて、今日皆さんが集まっていただいたおかげで、このようなイベントを開催することができました。映画というものはたくさんの人の応援や、支えによって成り立っているんだということを今日、改めて実感しております。映画『居眠り磐音』は、久しく見なかった時代劇の真ん中を行った極上の時代劇エンターテイメントとなっております。なので時代劇はちょっと敷居が高いなと思っている方も、すごく観やすいですし、時代劇がもともとお好きな方でも、すごく楽しめる作品になっていると思いますので、もともと原作のファンの皆さんでも、しっかりと楽しめるような内容になっているはずです。少しでも多くの方に観ていただきたいという願いを込め、この思いを改めて託したいなと思います。本日は本当にありがとうございました。

MC:ありがとうございました!

『居眠り磐音』
5月17日(金)より全国ロードショー
監督:本木克英
原作:佐伯泰英「居眠り磐音 決定版」(文春文庫刊)
脚本:藤本有紀
音楽:髙見優
主題歌:MISIA「LOVED」
出演:松坂桃李 木村文乃 芳根京子 柄本佑 杉野遥亮 佐々木蔵之介 陣内孝則 谷原章介 中村梅雀 柄本明
配給:松竹

【ストーリー】 主人公・坂崎磐音(松坂桃李)は、故郷・豊後関前藩で起きた、ある哀しい事件により、二人の幼馴染を失い、祝言を間近に控えた許嫁の奈緒(芳根京子)を残して脱藩。すべてを失い、浪人の身となった―。江戸で長屋暮らしを始めた磐音は、長屋の大家・金兵衛(中村梅雀)の紹介もあり、昼間はうなぎ屋、夜は両替屋・今津屋の用心棒として働き始める。春風のように穏やかで、誰に対しても礼節を重んじる優しい人柄に加え、剣も立つ磐音は次第に周囲から信頼され、金兵衛の娘・おこん(木村文乃)からも好意を持たれるように。そんな折、幕府が流通させた新貨幣をめぐる陰謀に巻き込まれ、磐音は江戸で出会った大切な人たちを守るため、哀しみを胸に悪に立ち向かう―。

©2019映画「居眠り磐音」製作委員会