MC:監督、今までオリジナルの作品を撮られていたことが多いじゃないですか。今回、角田さんの原作ものということで、原作を映画にする経緯ですとか、そのうえで気をつけたことがあれば伺いたいのですが、いかがでしょうか?
今泉:お話をいただいた時点では(原作を)読んでいなくて、自分はあまり小説を数読むほうではないので、もちろん角田さんは知っていましたし、角田さんの作品の映画化ってどれもおもしろくなっているというのはあったので、改めてこの作品を読んだ時に、自分に話がきたのがすごくわかる部分と、これは大変だ!と原作のおもしろさがって。それは、自分が作ってきた恋愛映画は温度が低かったり、例えばキスもしなかったりみたいな距離感を描いていたんですけど、今回は片思いかもしれないけど熱量が高い人たちがたくさんいる話だったので、そこはチャレンジングだなと思っていました。原作ものって何本かやらせていただいた時、基本、撮影前に原作者の方に会うことってあるんですけど、角田さんって結構おまかせの方で、会ったのが初号試写、完成してみんなが観る場所で初めてお会いして、その時に角田さんがおもしろがってくださって、それこそツイッターとかに感想を書いてくださったりとか、取材でお会いした時に聞いてすごく嬉しかったのが、「初号を観てすごいおもしろくて、自分の家に帰って『愛がなんだ』を読み直そうと思って、探そうと思ったら部屋になくて、買いに走った」って言ってて(笑)。
(会場爆笑)
今泉:そんな嬉しい感想ある!?と思って。「このシーンのこの台詞が本当によくて、すごく刺さった!」って言ってて、「それ、原作にあります!」って(笑)。「それ、オリジナルじゃないです。角田さん、書いてますから!」みたいな(笑)。それで「原作読んだらあったの」って言ってて。本自体は2003年とか2006年とか前の本なので、それを今こうやってやれて、しかも原作者が、最初のゼロから生み出した方がおもしがってくれたのは幸せでした。
MC:嬉しい感想ですよね。成田さん、マモちゃんは女性から見て本当にダメな人だなぁ、なんで自分を好きって言ってくれている人に「次に好きな人ができたら紹介しちゃうんだろ」とか…あまりネタバレはできないので予告にあるぐらいで言うと、この人、なんでこんなにダメなのに憎めないんだろうという、悔しいけど大好きみたいなキャラクターになっていました。ご自身はマモちゃんに対してどう思っていましたか?
成田:そうなるように頑張ったんですよね。普通にやっちゃったら嫌われちゃうところをすっごい丁寧に、今までで一番丁寧にやったかもしれないです。マモちゃんって…本当に細かいんです。一個一個、「このパターンとこのパターンとこのパターンありますけど、どれにしますか?とりあえずやってみて!」って話してという感じで、一個も間違えられないお芝居だったので、緻密にやっていきました。
MC:監督としてはあまりかっこよく見せたくないというところはあったんですよね。
今泉:そうですね。原作の設定が、好きになる要素はあまりないけれども好きになってしまうみたいな部分もある話だったので、成田さんと、もちろん見た目の魅力とか人の魅力もあるけど、ある種、ちょっと残念な人が言うことだったり、今の自分に満足してなくて何かに憧れているけどそこに届かない人というふうにしたいなと思っていたので、そこに自分を好いてくれている人に甘えたりとか、その距離感はみんなで作って言った部分はあります。
MC:もちろん台詞とかでそういったところはあったと思いますが、成田さん、かっこよく見せないためにやったことはありますか?
成田:僕としてというか、マモちゃん自体の持っている無意識な、絶対モテないであろう要素をいっぱい詰めた感じですね。ここだけの話、映画を観終わった後、編集しているぐらいのタイミングで監督に「秘密にしてたことがあって」と言って…。大した秘密じゃないんですけど。
今泉:それ、言っちゃってもいいんじゃない?
成田:ずっとテルちゃんを車道側に歩かせてたっていう。
会場:あぁ~…。
MC:今、女性陣の残念そうな…(笑)。
成田:普段は絶対車道側を歩きますからね!
(会場爆笑)
成田:絶対歩きますから…!そういうマモちゃん的、無意識的モテない要素みたいなところを、口を開けてものを食うとか、その笑い方腹立つなとか、ちょっとイラッとするような気持ちになるようなことを要所要所に入れて。
MC:岸井さん、車道側を歩かされていたんですね。
岸井:それは気づかなかったですよね~。
成田:それが全てですよね(笑)。
岸井:お互い全然自分たちのことを…付き合ってないんだよね。それがよかったのかもしれないね。
成田:お互いをお互いに投影できないというか、鈍感力というか。それで成り立ってるのかなという。
MC:二人とも猪突猛進というか、自分のことで精一杯だったりするんでしょうかね。
成田:視野が狭くて…。
岸井:でも、すっごい優しくて、成田くん。初日においしいお菓子をくれたりしました。
MC:差し入れですか?
岸井:しかも、すごいおいしいやつ!(笑)。
成田:それはそれは…。
岸井:突然のサプライズで。
成田:ケーキとかね。
岸井:そう。ケーキですよ!?普通じゃないですよね。
今泉:岸井さんだけ?みんなに?
成田:だけ。岸井さんとメイク部。
岸井:「これはマモちゃん、モテるぞー!」と思って(笑)。やばい、やばい!(笑)。
今泉:やばい、やばい!(笑)。マモちゃんじゃない!
岸井:「成田くんだったら大丈夫」と思って、おいしくいただきました。
MC:初日にっていうのは、これからマモちゃんがひどいことをするからよろしくね、みたいなことだったんですかね?
岸井:結構初めのほうだった。
成田:初めのほうだったか…全然覚えてない…。取材の時に言われて思い出した。そういえばそうだなと思って。あとはホットアイマスクとか。自分で言ったら恥ずかしいかな(笑)。バブとかね。
岸井:あと一緒に縄跳びしたね。
成田:縄跳びとかして。
MC:二人でですか?
岸井:はまってたみたいで。
成田:はまっていまだにやってるんですけど、縄跳びが体にいいって聞いてからバカみたいにやってます(笑)。合間に。
MC:撮影現場でもやっていたと。やっぱりマモちゃんとは違って成田さんは優しかった。
岸井:優しかったです。