黒木華、樹木希林らが京都・建仁寺に着物姿で登場!『日日是好日』完成披露イベント レポート

エッセイストの森下典子が、約25年にわたって通い続けた茶道教室の日々を綴ったエッセイを、黒木華、樹木希林、多部未華子の初共演で映画化した『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)が、10月13日より公開となる。このほど、7月31日に京都・禅寺建仁寺にて完成披露イベント(献茶式、記者会見)が行われ、キャストの黒木華、樹木希林、大森立嗣監督、原作者の森下典子が登壇した。

京都最古の禅寺である建仁寺を開山した栄西禅師は、日本に禅を伝え、中国から茶種を持ち帰って、日本で栽培することを奨励し、喫茶の法を普及した“茶祖”としても知られている。今回、その建仁寺にて行われた完成披露イベントには、4人が着物姿で勢揃い、中でも黒木の、大正時代の旧宮家から拝領された絽綴れ(ろつづれ)に手刺繍の金魚の帯、それに合わせた大正時代の絽の振袖は、ひときわ目をひく格式高い豪華な装いだ。まず、史上初の茶道のお稽古を描く本作の完成を記念し、建仁寺内「方丈」にて献茶式を執り行った。建仁寺の和尚から、最初に森下典子が、お茶が入った茶碗を受け取り、栄西禅師を描いた掛け軸のもとにある焼香台の前で茶碗を回す。和尚に茶碗を戻し一礼。茶碗は4月20日の栄西禅師の誕生日に使用する天目茶碗を今回使用している。続いて黒木、樹木、大森監督の順で同様に献茶、最後の大森監督の合掌と一緒に、映画関係者も合掌。その後、和尚がお経を唱え、厳かな雰囲気の中、終了した。

次に、「大書院」での記者会見に応じた。映画が完成してここ京都で完成披露イベントをすることについて、大森監督は「着物を着てお経をきいて心が洗われた。映画の公開に身が引き締まる気がした」、黒木は「建仁寺で会見をさせていただき嬉しいです。背筋が伸びます」、そして樹木が「私以外の3人は独身です。また新たな出会いがあればいいなと並ばせていただきました」と早速笑いをとった。京都で大学時代を過ごした黒木は、「京都で舞台挨拶をする機会があまりないので嬉しいですしなつかしい気持ちになりました」と喜びのコメントを重ねた。原作者の森下は、映画化されることを聞いたときの気持ちを、「60歳になったばかりで、盆と正月が一緒に来たというのはこういうことなんだと。神様から還暦祝いをいただいたのだと思いました」と振り返った。

本作で欠かせぬお茶の稽古については、黒木が「順番を覚えるのが大変でした」、先生役の樹木は「先生の役だから、やらなくちゃやらなくちゃと、ずっと負担でした。一夜漬け、先延ばしでいたら、プロデューサーが一緒にやりましょうと。えらい出来の悪い先生になりました」と冗談交じりでコメント、「千利休は辛抱強い人だったんだ」と実感したという。それでも森下からは、お点前が実際の武田先生に似ていることがあったと言われ、樹木は「ただ年を取っているだけ…」と笑って返した。4人が揃って着物姿で登壇し、黒木が「鷺が飛んでいてそれがポイントです。刺繍もすごくきれいです。お見合い写真でも撮っておこうかな」とつぶやくと、樹木が「この色合いは古くからのものならでは。素敵」と称賛しながらも、「お見合い写真を撮らなくては来ないようでは」とキツイ突っ込みも。また、お茶を通して幸せだなと感じたことについては、大森監督が「お茶室を出たときの爽快感。ビールがおいしい!」、黒木が「おいしいご飯をたべて、最後に飲むお茶が幸せ」、樹木が「縁があってまた地球上に生まれてくることがあれば、今度は小さな茶室を建てて夫と静かに向き合う人生を送りたい、と思いました」、森下は「五感が研ぎ澄まされます。季節を感じられることが幸せです」と語った。

黒木演じる典子は20歳でお茶をはじめ、就職に失敗したり、周りと自分を比べて悩みながら青春を送るが、いつもお茶が寄り添い、乗りこえてきた。20代女性へのメッセージとして、「典子にとってのお茶がみなさんにあると思います」と熱く思いを語る。最後に、樹木の健康について質問が及ぶと「やっと(質問が)来たわね。(昨年末の撮影時から)10キロ痩せて、7センチ縮んで、人間ってこんなに縮むんだと面白くみております。みなさん、お気をつけて」とユーモアを交えて話した。終始なごやかな雰囲気で質疑応答が進められ、樹木のヒネリのきいた答えは、会場を沸かせた。最後に栄西禅師の功績を讃えて建立された庭の茶碑の前でフォトセッションに応じ、完成披露イベントは終了した。

『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)
10月13日(土)、シネスイッチ銀座、新宿ピカデリー、イオンシネマほか全国ロードショー
監督・脚本:大森立嗣
原作:森下典子『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』(新潮文庫刊)
出演:黒木華 樹木希林 多部未華子 鶴見辰吾 鶴田真由 山下美月
配給:東京テアトル、ヨアケ

【ストーリー】 たちまち過ぎていく大学生活、二十歳の典子(黒木華)は自分が「本当にやりたいこと」を見つけられずにいた。ある日、タダモノではないと噂の“武田のおばさん”(樹木希林)の正体が「お茶」の先生だったと聞かされる。そこで「お茶」を習ってはどうかと勧める母に気のない返事をしていた典子だが、その話を聞いてすっかり乗り気になったいとこの美智子(多部未華子)に誘われるまま、なんとなく茶道教室へ通い始めることに。そこで二人を待ち受けていたのは、今まで見たことも聞いたこともない、おかしな「決まりごと」だらけの世界だった―。

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