是枝監督、佐々木みゆからの手作りパルムドールに喜び!「本物はプロデューサーにあげて…」『万引き家族』公開記念舞台挨拶 レポート

今年5月に開催された第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて最高賞のパルムドールを受賞した、是枝裕和監督の長編14作目『万引き家族』が6月8日に公開初日を迎え、6月9日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて行われた公開記念舞台挨拶に、キャストのリリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、池松壮亮、城桧吏、佐々木みゆ、樹木希林、是枝裕和監督が登壇した。

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初めに、カンヌ国際映画祭パルムドール受賞、そして公開を迎えたことについて、是枝監督は「小さく生んで、小さな声で届けていくような作品を作ろうと動き出したのですが、結果的にこんなに広く届くことができたのは、スタッフとキャストがとてもいい形でこの作品を支えてくれたおかげだと思っています。すごく嬉しいです」と感謝の気持ちを述べた。

出演したリリーも「手作りで作っている感じから始まったもの」と本作への想いを述べ、「是枝さんのような奥ゆかしい人は、賞をもらうことに照れがあるような人ですけれども、映画館の館数が増えていったり、たくさん方に観ていただける機会ができたのはいいこと。皆さんに観ていただいて感慨深い」と語った。

是枝組は「納豆ご飯みたい」と例えた安藤。続けて、「監督は、ご飯を食べるお茶碗のように心地よく受け止めてくださる。そういう不思議な時間を過ごしています。日常的で落ち着く時間の中で、いきなり爆発が起きるので混乱しています」と、初参加となった是枝組の撮影を振り返った。

カンヌ映画祭以来の是枝組との再会ということで嬉しかったという松岡は、自身が演じた亜紀が働く店の常連客“4番さん”役を演じた池松に対して、「池松さんはなんで(今日の舞台挨拶に)来てくれるんだろう?と思った(笑)」と会場を笑わせつつ、池松と共に登壇できたことを喜んだ。「今日、ここに来るのがずうずうしいなと思いながら立っています(笑)」と述べた池松は、「観終わった時にものすごく興奮して、是枝さんについ握手を求めて、『カンヌ、とってきてくださいよ!』って言っちゃって。まさか平成の終わりにこんなことが起きるなんて思っていなかったので、平成を生きてきた人間としてはものすごく嬉しかった」とカンヌ最高賞受賞の驚きと喜びを語った。

撮影は、昨年の夏の2日間と年末年始を挟んだ冬の1か月半のみで行われたという本作。樹木は「今年の正月は何をやった?というくらい(撮影に)すぐ呼ばれて。寒い中で、汚い中で、それで夏のシーンも撮るんですよ!」とスピーディーに進んだ撮影には不満げで、是枝監督は「すみません…」と苦笑い。続けて、樹木は「あんなに貧しい家族を撮れるのは偶然じゃないんです。監督が描く貧しさにかけては右に出る人はいない!それが世界に認められたというのは快挙。これが映画の作家性。みんなが感謝しております」と是枝監督を称えた。

イベントの終盤には、佐々木から是枝監督へ手作りのパルムドール像がプレゼントされる場面も。パルムドール受賞を知ってすぐに作ったという佐々木に対し、是枝監督は「本物はプロデューサーにあげて、僕はこっちをいただきます(笑)」と嬉しそうに笑った。最後に、是枝監督は本作について「納豆ご飯のような映画です」と安藤の言葉を借り、「観るたびに味わい方が変わる映画になったのではないかと。大人は切ないかもしれませんが、自分を超えていく子どもたちを遠くに見ながら親になっていく、そういう物語にもみえると思います。気に入っていただけたら、長く公開を続けていきたいと思っていますので、劇場に足を運んでください」と挨拶し、舞台挨拶は終了した。

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『万引き家族』
6月8日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか公開中
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー 安藤サクラ 
松岡茉優 池松壮亮 城桧吏 佐々木みゆ
緒形直人 森口瑤子 山田裕貴 片山萌美 / 柄本明
高良健吾 池脇千鶴 / 樹木希林
配給:ギャガ

【ストーリー】 高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく─。

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