濱口竜介監督の最新作『急に具合が悪くなる』のジャパンプレミアが5月27日、TOHOシネマズ日比谷で開催され、濱口監督をはじめ、W主演を務めたヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代が登壇した。第79回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、ヴィルジニー・エフィラと岡本多緒が最優秀女優賞を共同受賞した話題作。会場には、カンヌ帰りの熱気そのままに、多くの映画ファンが駆けつけた。

本作は、パリ郊外の介護施設「自由の庭」の施設長マリー=ルーと、ステージⅣのがんを患う日本人演出家・森崎真理の出会いを描くヒューマンドラマ。同じ名前の響きを持つ2人が、国籍や言葉を超えて心を通わせていく姿を映し出す。
日本でのプレミア上映を迎え、岡本は「私たちが本当に思いを込めて撮影してきた作品を、こうして今日日本でプレミア上映できるということで、すごく嬉しいです」と笑顔。「彼女も今回のためにフランスから来日してくださって。長塚さん、黒崎くんと、もちろん濱口監督とこうしてこの場に立っている今日が、なんかすごく感慨深いです」としみじみ語り、「今日は楽しんでいってください」と観客に呼びかけた。
フランス語での演技や、がん患者という難役への向き合い方について問われると、「病と向き合うという重いテーマではありましたが、真理という女性の生命力や、演劇に対する情熱をどう表現するかに一番時間をかけました」とコメント。「ヴィルジニーが本当に忍耐強く付き合ってくれて、彼女とのコミュニケーションの中で自然とフランス語が自分の言葉になっていく感覚がありました」と、共演を通じて築かれた信頼関係を振り返った。
イベント中盤には、カンヌ国際映画祭の最優秀女優賞トロフィーがサプライズで登場。岡本は受賞について「実感としては本当にまだまだ湧いておらず、ずっと湧かないままなんだろうなと」と率直な胸中を吐露し、「これはペアとして受賞できたことに意味があるし、それが審査員の方にも伝わったことがすごく嬉しいです」と喜びを噛み締めた。
撮影期間をともに過ごしたヴィルジニーとの関係について聞かれると、岡本は「本当に自然に惹かれていくということが私の中で起こっていました。頑張って好きになろうみたいなことが一切必要なかった」とコメント。「今、横で見ていても『美しいな』と思って見てるんですよ」と照れ笑いを浮かべ、会場を和ませた。ヴィルジニーも「撮影が終わって別れるのが辛かった」と語り、劇中さながらの深い絆を感じさせた。
一方、長塚京三は濱口組について「感情を込めずに台本を読むんです。最初は戸惑いましたが、カメラの前に立つと自然と感情が溢れてくる」と独特の演出方法を明かし、黒崎煌代も「長塚さんのお芝居を間近で見られるだけで毎日が勉強でした」と語った。
最後に岡本は、「病や老い、そして死という少し重いテーマを扱っていますが、決して悲しいだけの物語ではありません。人が誰かを想うことの美しさを感じていただけると思います」と作品をアピール。「ぜひ、エンドロールの最後まで楽しんでご覧ください」とメッセージを送った。






■作品情報
『急に具合が悪くなる』
6月19日(金)TOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
監督:濱口竜介
原作:宮野真生子・磯野真穂著『急に具合が悪くなる』(晶文社)
脚本:濱口竜介、ルディムナ玲亜
出演:ヴィルジニー・エフィラ、岡本多緒、長塚京三、黒崎煌代
配給:ビターズ・エンド
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