芥川賞作家・村田沙耶香のベストセラー小説を実写映画化した『消滅世界』が全国公開中。公開翌日の11月29日、池袋シネマ・ロサにて主演の蒔田彩珠をはじめ、栁俊太郎、恒松祐里、結木滉星、そして川村誠監督が登壇する公開記念舞台挨拶が行われた。満員の観客を迎え、キャスト陣は撮影秘話から作品への想いまで、ここでしか聞けないトークをたっぷりと披露した。

主人公・雨音を演じた蒔田彩珠は、観客を前に明るく挨拶。「撮影中も終わってからも、どんな作品になっているのか楽しみ半分、不安半分でした。昨日から公開されて、たくさんの方が観てくださっているのが嬉しい」と胸の内を明かし、「公開後は感想をXでずっと調べています！」と笑顔で報告。作品への反応を真摯に受け止める姿が印象的だった。

雨音の夫・朔を演じた栁俊太郎は、撮影現場を振り返り「現場は淡々としていて、深い話はあまりしなかったかも」と述懐。続けて蒔田について「悪戯好きで、ボソッと人をいじるような面白いことを言う人」と魅力を語ると、会場は温かな笑いに包まれた。雨音の同級生・水内役の結木滉星は「僕、後輩からいじられることが多いので、蒔田さんにいじられるのは心地よかった」と笑い、蒔田も「同じ事務所の先輩ですから…！」と照れながら感謝していた。

雨音の親友・樹里役を務めた恒松祐里は、完成した映像を観た感想として「こんなにも美しく映像化されていたのかと衝撃でした」と絶賛。川村監督も「原作の美しさにフォーカスを当て、本質を見失わないよう心がけた」と制作への姿勢を明かし、キャストと監督の“美意識の共有”が伝わるコメントとなった。

イベント後半では、劇中の“理想的世界・エデン”にちなみ、登壇者それぞれが思い描く「理想の世界」を発表。結木滉星は「悪口がなく、ポジティブな世界」、恒松は「花粉症の消滅した世界」を切望。栁は「動物と人間がバランスよく共存する世界」と語った。そして蒔田彩珠は、印象的なメッセージを届けた。「自分の好きなものや人を、胸を張って誰にも否定されずに公言できる世界になったらいい」栁に「何が好きなの？」と聞かれると、「猫とか？」と照れ笑いを浮かべ、会場からは思わず温かな笑いが起きた。

イベントの最後、蒔田は観客に向けて「私も本作を観終わって色々考えて、最終的に辿り着いたのは“自分のことは自分が信じるべき”ということでした」とメッセージ。「ゴチャゴチャする気持ちも含めて、観終わった後にたくさん語り合って楽しんでもらえたら嬉しい」と呼びかけ、舞台挨拶は温かく締めくくられた。

■作品情報
タイトル： 『消滅世界』
原作：「消滅世界」（村田沙耶香著／河出文庫）
監督・脚本： 川村誠
出演： 蒔田彩珠、栁俊太郎、恒松祐里、結木滉星、富田健太郎、清水尚弥、松浦りょう、岩田奏、山中崇、眞島秀和、霧島れいか
劇場公開： 11月28日（金）
配給： NAKACHIKA PICTURES

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