杉咲花「自分を好きになれなくてもいい」『ミーツ・ザ・ワールド』公開記念舞台挨拶で語った“救い”の瞬間

東京・新宿バルト9にて10月25日(土)、映画『ミーツ・ザ・ワールド』の公開記念舞台挨拶が開催された。主演の杉咲花をはじめ、南琴奈、板垣李光人、蒼井優、そして松居大悟監督が登壇。作品の舞台である歌舞伎町を背景に、それぞれが作品への想いや撮影時の裏話を語った。

本作で“腐女子”の主人公・由嘉里を演じた杉咲花は、撮影を振り返りながら率直な心境を語った。「この撮影期間を思い返すと、すごく苦しい日々だったなと思います。あまり個人的な感情を役に持ち込むタイプではないんですが、由嘉里を演じていると、自分を好きになれない部分や他人と比べてしまうところが、他人事ではなく感じてしまって。撮影中は苦しかったんですけど、完成した映画を観た時、そういう部分を面白がってくれる人がいるかもしれないと思えて救われました。自分を好きになれなくてもいい、そう思わせてもらえる作品です。みなさまの心の琴線に触れてくれたら嬉しいです」その言葉に、会場は温かい拍手に包まれた。

イベントでは、映画のテーマにちなんで登壇者たちが“自分にとってのミーツ・ザ・ワールド”を発表する一幕も。杉咲は「山」と書かれたフリップを掲げ、「ずっと登山をしたかったんですが、最近やっと木曽駒ケ岳に登って、山頂で食べたサラミが本当においしかった」と笑顔を見せた。南琴奈は「コーヒー」と答え、「高校卒業後にお仕事の合間で飲んだコーヒーが初めておいしいと思えた」と可愛らしいエピソードを披露。板垣李光人は「海外での仕事」を挙げ、韓国での撮影で受けたカルチャーショックを明かした。蒼井優は「30歳」と書かれたフリップを掲げ、「30歳になった時に、自分の中でしっくりきた感覚がありました。同じ映画界で異業種の仲間がいることの心強さを感じた」と振り返り、監督の松居大悟を思わず感動させた。

松居監督は、「『ミーツ・ザ・ワールド』は、他人と自分を比べて落ち込んだり、人に気を遣いすぎて疲れてしまう時代に、少しでも息がしやすくなってほしいという祈りを込めて作った」と語った。蒼井も「登場人物たちはガチャガチャしていたり異物かもしれませんが、由嘉里が持つ“温かさ”や“ピュアな部分”は、この世界を生きるために必要なものだと感じました」と続け、板垣、南もそれぞれ観客へのメッセージを送った。

■作品情報
『ミーツ・ザ・ワールド』
公開日:全国公開中
監督:松居大悟
原作:金原ひとみ『ミーツ・ザ・ワールド』(集英社文庫刊)
出演:杉咲花、南琴奈、板垣李光人、蒼井優、渋川清彦、筒井真理子、ほか
音楽:クリープハイプ
主題歌:クリープハイプ「だからなんだって話」(ユニバーサルシグマ)
製作・配給:クロックワークス

©金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会