映画『尖閣1945』2026年公開!戦後80年を経て語られる、魂の記憶

太平洋戦争末期、石垣島から台湾を目指した2隻の疎開船が米軍の攻撃を受け、ひとつは沈没、もうひとつはエンジン損傷により尖閣諸島・魚釣島に漂着した――。この実際に起きた「尖閣列島戦時遭難事件」を題材に、作家・門田隆将の同名ノンフィクションを映画化した『尖閣1945』が、石垣島でクランクインした。監督は『島守の塔』(2022)などを手がけた五十嵐匠。主演は、映画『サバイバルファミリー』(2017)や主演作『i ai』(2024)で注目を集めた若手俳優・富田健太郎が務める。

戦争そのものではなく、極限状態の中で「命をつなぐ」人々の姿を描く本作。魚釣島には食料もなく、餓死者が出るなか、仲間を救うため木造船を作り決死の航海に挑んだ者たちの勇気と愛の物語が紡がれる。

主人公・金城嘉吉を演じる富田は、「石垣島の海に触れていると、どこか自分の遠い記憶を優しく撫でられているような感覚になる」と語り、「彼らが生きた日々の重さと尊さを身体に刻みながら演じたい」とコメントしている。

監督を務める五十嵐匠は、『地雷を踏んだらサヨウナラ』(1999)や『島守の塔』(2022)など、戦争と人間の尊厳を描き続けてきた名匠。五十嵐監督は、「戦後80年を迎えるいま、風化しつつある戦争とその記憶を100年遺る映画として若い世代に伝えたい」と語る。尖閣諸島で実際に撮影することは不可能なため、石垣市の全面協力のもと、歴史的事実とそこに生きた人々をスクリーンに再現する。

原作は、『なぜ君は絶望と闘えたのか』や『死の淵を見た男』などで知られるノンフィクション作家・門田隆将。2023年刊行の著書『尖閣1945』(産経新聞出版)はベストセラーとなり、「尖閣戦時遭難事件」を通して“尖閣とは何か”を問う一冊として大きな反響を呼んだ。門田は「尖閣には今も多くの日本人の遺骨が眠っている。この島には日本人の魂が宿っている」と語り、映画化に向けて全面協力したという。

本作の映画化を推進したのは、石垣市の中山義隆市長。「この映画を通じて、尖閣諸島で起きた史実を一人でも多くの方に知っていただきたい」と語り、ガバメント・クラウドファンディングなどを活用して制作を実現した。撮影はすべて石垣島で行われ、11月下旬にクランクアップ予定。2026年に沖縄県で先行公開され、その後全国ロードショーとなる。

■作品情報
タイトル:『尖閣1945』
監督:五十嵐匠(『島守の塔』(2022)、『地雷を踏んだらサヨウナラ』(1999))
原作:門田隆将「尖閣1945」(産経新聞出版)
プロデューサー:菊池淳夫(『剱岳 点の記』(2009)、『妻と飛んだ特攻兵』(2015))
主演:富田健太郎(金城嘉吉役)
配給・宣伝:彩プロ
公開:2026年 沖縄県先行/全国ロードショー

©️2026「尖閣1945」製作委員会/配給:彩プロ