福山雅治からメッセージ「人間の当たり前の行動に美しさを感じた」『長崎―閃光の影で―』公開記念舞台挨拶レポート

8月2日、映画『長崎―閃光の影で―』の公開を記念し、TOHOシネマズ日本橋にて舞台挨拶が開催された。満員御礼の会場には、主演の菊池日菜子、小野花梨、川床明日香、そして松本准平監督が登壇し、戦後80年という節目の夏に本作が届けられることへの想いを語った。

本作の主題歌「クスノキ ―閃光の影で―」をプロデュース・ディレクションした福山雅治からは、完全サプライズでビデオメッセージが上映された。福山は、自身の長崎出身というルーツを重ねながら、作品への深い感銘をこう語った。

「とても美しいものを観たなという感想です。困っている人を助けたい、優しくしたいという当たり前の行動を命がけで行う姿に、美しさを感じました。人と人との思いやりの連鎖が、この映画を通して広がっていけば、世界がより平和に近づくのではないかと思います」

このメッセージに、主演の菊池日菜子も感激の面持ちで「福山さんの言葉の強さに感銘を受けました」と語り、「悲惨な空間の奥に根付く美しさを拾っていただけたら嬉しいです」と観客に呼びかけた。

主題歌の歌唱を担当した菊池、小野、川床の3人は、福山とのレコーディングを振り返り、それぞれが印象的なエピソードを披露。

菊池は「緊張して固まっていた私を、福山さんが優しくほぐしてくださいました。不慣れすぎて失敗も多かったですが、和やかな雰囲気で録音できました」と笑顔を見せた。

小野は「福山さんが目の前でギターを弾いてくださって、ただただ『カッコいい!』という気持ちしかなかったです」と、夢のような時間を語る。

川床も「音程が難しい箇所で『ここがこうだよ』と丁寧に教えてくださって、本当に貴重な時間でした」と感動を新たにした様子だった。

本作は、1945年の長崎で原爆投下後に被爆者救護に奔走した看護学生たちの姿を描いた作品。監督の松本准平は、自身も被爆三世であることを踏まえ、「この作品が僕の手から離れ、世界中の人々に届くよう願っています」と覚悟を込めて語った。

美輪明宏からは「若い世代の方には、もう二度と戦争を起こさないように、美しい文化にふれて心を豊かにしていただきたい」と、自身の被爆体験に基づく力強いテキストメッセージが寄せられた。映画の冒頭とラストで語りを務めた美輪の声は、長崎の空や港の記憶と共に、観客に深い余韻を残した。

小野は「世界のどこかで戦争が起きている今、こうして人と人をつなぐ作品があれば、明日は今日より少しだけ温かい日になるかもしれない」と、未来への希望を語った。

川床は「本作を通じて、平和のために自分にできることを考えるようになりました」と語り、観客への感謝と共に、作品の広がりに期待を寄せた。

主演の菊池は最後に、「“平和を願う”という言葉にはグラデーションがあります。同じ認識で全員に強制することはできませんが、無差別に命が奪われていいはずがない。恐怖しなくていい日々が続くことを願っています」と力強く語り、「この作品を通じて一緒に何かを変えることができれば」と締めくくった。

戦後80年という節目に届けられた『長崎―閃光の影で―』。その舞台挨拶は、世代を超えて平和への想いを紡ぐ、かけがえのない時間となった。

■映画情報
タイトル: 『長崎―閃光の影で―』
出演: 菊池日菜子、小野花梨、川床明日香、水崎綾女、渡辺大、田中偉登、加藤雅也、有森也実、萩原聖人、利重剛/池田秀一、山下フジヱ、南果歩、美輪明宏(語り)
原案: 「閃光の影で―原爆被爆者救護 赤十字看護婦の手記―」(日本赤十字社長崎県支部)
監督: 松本准平
脚本: 松本准平、保木本佳子
主題歌: 「クスノキ ―閃光の影で―」(作詞・作曲:福山雅治/歌唱:菊池日菜子、小野花梨、川床明日香)
制作: SKY CASTLE FILM、ふればり
配給: アークエンタテインメント

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