『メアリと魔女の花』(2017)、『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』(2018)を発表したアニメーション制作会社スタジオポノックと国際オリンピック委員会(IOC)が、東京2020オリンピックに繋ぐかたちで、オリンピズムの精神に基づく芸術記念作品として、オリンピック短編アニメーション映画を共同制作することが発表された。
日本時間6月11日にフランスのアヌシーで開幕したアヌシー国際アニメーション映画祭にて、ポノック短編劇場『ちいさな英雄―カニとタマゴと透明人間―』のフランスプレミア上映がスクリーニングイベントとして行われ、監督らによるティーチイン後にオリンピック短編アニメーション映画の制作発表が行われた。
短編アニメーション映画は、オリンピズムの精神である「Excellence/卓越」、「Friendship/友情」、「Respect/尊重」をテーマに制作される。作品完成後は、スイス・ローザンヌのオリンピック・ミュージアムに収蔵されるほか、来年のアヌシー国際アニメーション映画祭、東京2020オリンピック開催期の上映を検討し、今後開催される各オリンピック開催地において様々な機会で上映される予定だ。
■フランシス・ガベ(オリンピック文化遺産財団ディレクター) コメント
アニメーション制作会社である、スタジオポノックを知ると同時に、創造的才能溢れる制作陣と共に短編アニメーション映画を制作することに興味を抱き、彼らがオリンピックの価値である「Excellence/卓越」「Friendship/友情」「Respect/尊重」をどのような美的、物語的視点で再解釈するか、世界で評価されている美しい手描きアニメーションで如何に表現するかに興味を持ちました。この映画は、人類に関する世界的にも普遍的なテーマに焦点をあて、東京2020大会への興奮に寄与するだけでなく、これからの未来を担っていく子どもたちや若い世代に多大なる影響を与えるものになるはずです。
■西村義明(スタジオポノック代表取締役/プロデューサー)
世界で初めてオリンピズムをアニメーション映画として表現する貴重な機会に恵まれ、大変光栄です。昨年夏に、国際オリンピック委員会の方々とお会いし、お話をいただいた当初は、お引き受けするのを躊躇しました。僕たちのアニメーションと、あのオリンピックの光景、アスリート達の姿が結びつかなかったからです。しかし、彼らの提案は違いました。描くのはオリンピズムであり、オリンピック競技を描いて欲しいわけではない、子ども達に向けて作って欲しい、という熱のある提案でした。世界的行事のイズムを表すという分を超えた仕事に、重圧はありますが、オリンピックを楽しみに待つ世界の子どもたちの顔を思い浮かべながら、美しく、楽しく、そして歓びをもって、競争の末にオリンピックが見せてくれる「もうひとつの価値」を真正面から描きたいと思っています。