『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督が、蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山﨑努の共演で、直木賞受賞作家の中島京子による同名小説を映画化する『長いお別れ』が、5月31日に公開初日を迎えた。このほど、6月1日にTOHOシネマズ 日比谷にて公開記念舞台挨拶が行われ、キャストの蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山﨑努、北村有起哉、蒲田優惟人、中野量太監督が登壇した。
イベントの初めに、登壇予定だった山﨑努の欠席が伝えられ、MCから手紙が代読された。山﨑は手紙で「封切りを祝うお祭りに参加できず残念です。『長いお別れ』は、小説を読んだ時、これは映画化されるのではないか? とすれば、昇平役は僕に来るのではないか? という変な予感があった」と、奇妙な体験談を明かした。
壇上に山﨑の等身大パネルが運び込まれてトークがスタート。次女の芙美役を演じた蒼井は「山﨑さんと舞台挨拶を一緒にできなかったことは残念」としながらも、「私は演技を知らないままこの世界に飛び込んで、なにか学べるものがないかと思った時に手にしたのが、山﨑さんが書かれた『俳優のノート』という本」だったことを告白。「10代後半に買って、一生懸命、線を引きながら学んできて、10年以上の時を経て大先生と共演できた感じがしました」と感慨深げに話した。
時代が変わっても変わらない家族の姿を描いた本作にちなみ、時代が変わっても変わらないでほしいことは? という質問が。長女の麻里役を演じた竹内は「この作品中の、お父さんとお母さんのアレだったり、旦那さんとのやり取りの、ンー!だったり、変わって欲しくないことがたくさん」と、ネタバレしないように作品をアピールしつつ、「いつまでも健康的に、ご飯を美味しく食べて、お酒を美味しく飲めたら」と語った。
同じ質問に蒼井は「ハンバーガーやアイスクリームが、値段は変わらないのにサイズが小さくなっているのが切ない(笑)」と冗談まじりに話しつつも、「誠実な映画作りは無くならないでほしい」とコメント。「本当に良い時代に、映画の世界に入れてもらったので、自分が感じた10代半ばの興奮を、次の世代の人にも味わい続けて欲しい」と笑顔で語っていた。
『長いお別れ』
5月31日(金) 全国ロードショー
監督・脚本:中野量太
原作:中島京子「長いお別れ」(文春文庫刊)
脚本:大野敏哉
主題歌:優河「めぐる」
出演:蒼井優 竹内結子 松原智恵子 山﨑努 蒲田優惟人 中村倫也 北村有起哉 杉田雷麟 松澤匠 清水くるみ 倉野章子 不破万作 おかやまはじめ 池谷のぶえ 藤原季節 小市慢太郎
配給:アスミック・エース
【ストーリー】 父、昇平(山﨑努)の70歳の誕生日。久しぶりに集まった娘たち、芙美(蒼井優)と麻里(竹内結子)に母・曜子(松原智恵子)から告げられたのは、厳格な父が認知症になったという事実だった。それぞれの人生の岐路に立たされている姉妹は、思いもよらない出来事の連続に驚きながらも、変わらない父の愛情に気付き前に進んでいく。ゆっくり記憶を失っていく父との7年間の末に、家族が選んだ新しい未来とは―。
©2019『長いお別れ』製作委員会 ©中島京子/文藝春秋