歴史の暗部に切り込んだ『アイヒマンを追え!ナチスがもっとも畏れた男』などを手掛けたドイツ映画界を代表するラース・クラウメ監督が、ベルリンの壁建設前夜に東ドイツの高校生たちの身に起こった驚愕の実話を映画化した最新作『僕たちは希望という名の列車に乗った』が、5月17日より公開される。このほど、本作の場面写真がお披露目となり、併せて、各界著名人より本作を絶賛するコメントが寄せられた。
本作は、無意識のうちに政治的タブーを犯してしまった若者たちが、仲間との友情や恋を育みながら、人間としての正しさを模索していく姿を描く青春映画。1956年、東ドイツの高校に通うテオとクルトが、列車に乗って訪れた西ベルリンの映画館で、ハンガリーの民衆蜂起を伝えるニュース映像を目の当たりにする。クラスの中心的な存在である二人は、自由を求めるハンガリー市民に共感し、級友たちに呼びかけ授業中に2分間の黙祷を実行するが、それはソ連の影響下に置かれた東ドイツでは“社会主義国家への反逆”と見なされる行為だった。やがて当局が調査に乗り出し、人民教育相から直々に一週間以内に首謀者を告げるよう宣告された生徒たちは、人生そのものに関わる重大な選択を迫られる。
著名人 絶賛コメント
■浜田敬子(Business Insider Japan編集長/元アエラ編集長)
曇りなき心で声を上げた子どもと、歴史を背負った大人。我が子の未来を守ろうとした母の言葉が忘れられない。私たちが、今観るべき物語。
■武藤将吾(脚本家「3年A組-今から皆さんは、人質です-」)
鋭く盲目な現実を彷徨った。彼らに寄り添い、揺さぶられ、涙した。この感情こそが、私にとっては希望だった。
■姜尚中(東京大学名誉教授)
人間の良心は国家の重圧にどこまで耐えられるのか。家族と別れても守り続けたものは。心に響く傑作。
■宇野重規(東京大学教授)
自分で考えようとしただけで「国家の敵」になる時代。けっして過去の話ではないと思わせる映画です。
■羽賀翔一(マンガ家「漫画 君たちはどう生きるか」)
国や時代は違えど見覚えのある些細な教室のノリによって生まれる大きな葛藤。自分だったらと考えずにいられない。
■池田理代子(劇画家/声楽家)
見終えてすぐには声も出なかった。ただ真っすぐ権力にも逆境にも立ち向かい、友情と信義を重んずる若い日が、我々にも確かにあった。そんなことを静かに思い起こさせてくれる作品だ。
■深緑野分(作家「ベルリンは晴れているか」)
追従の楽を捨てて行動する恐怖。震えながらも抵抗し未来を賭ける若者の姿に、熱いものが込み上げてきた。
■原沙知絵(女優)
まだベルリンの壁が存在していない時代の若者達の姿を見て、あらゆる年齢の人々に感じてほしい。希望を追い求める為の「小さな革命」が私達にも必要だと言うことを。
『僕たちは希望という名の列車に乗った』
5月17日(金)より、Bunkamuraル・シネマ、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国公開
監督:ラース・クラウメ
原作:ディートリッヒ・ガーストカ
出演:レオナルド・シャイヒャー トム・グラメンツ ヨナス・ダスラ― ロナルト・ツェアフェルト ブルクハルト・クラウスナー
配給:アルバトロス・フィルム クロックワークス
【ストーリー】 1956年、東ドイツの高校に通うテオ(レオナルド・シャイヒャー)とクルト(トム・グラメンツ)が、列車に乗って訪れた西ベルリンの映画館で、ハンガリーの民衆蜂起を伝えるニュース映像を目の当たりにする。クラスの中心的な存在である二人は、級友たちに呼びかけて授業中に二分間の黙祷を実行した。それは自由を求めるハンガリー市民に共感した彼らの純粋な哀悼だったが、ソ連の影響下に置かれた東ドイツでは“社会主義国家への反逆”と見なされる行為だった。やがて当局が調査に乗り出し、人民教育相から直々に一週間以内に首謀者を告げるよう宣告された生徒たちは、人生そのものに関わる重大な選択を迫られる。大切な仲間を密告してエリートへの階段を上がるのか、それとも信念を貫いて大学進学を諦め、労働者として生きる道を選ぶのか…。
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