『湯を沸かすほどの熱い愛』の中野量太監督が、蒼井優、竹内結子、松原智恵子、山﨑努の共演で、直木賞受賞作家の中島京子による同名小説を映画化する『長いお別れ』が、5月31日より公開される。このほど、本作のメイキング画像がお披露目となり、併せて、キャスティング秘話や、家族にとって欠かせない“家”にまつわる撮影エピソードが明かされた。
本作は、認知症の父と過ごす7年間の日々を、時に泣き、笑い、悩みながら前に進んでいく“東(ひがし)家”の物語。父、昇平の70歳の誕生日会で、久しぶりに集まった娘たちに告げられたのは、厳格な父が認知症になったという事実だった。日に日に記憶を失っていく昇平の様子に戸惑いながらも、向き合うことで自分自身を見つめ直していく家族たち。そしてある日、家族の誰もが忘れかけていた“愛しい思い出”が昇平の中に今も息づいていることを知る。
過去の中野監督作品では、『チチを撮りに』や『湯を沸かすほどの熱い愛』だけでなく、短編『琥珀色のキラキラ』においても、<家>が“もうひとつの主人公”といえる重要な役割を担ってきた。今回、東家の撮影場所に選ばれたのは千葉県郊外にある一軒家。実はこの家、つい最近まで実際に人が住んでいたという家屋になっていて「まだ人の気配がある」という点が、美術による作り込みだけでは生まれない“生きた家”の空気感を感じさせる。「居間からキッチンが見える」という間取りも、中野監督の過去作から散見される共通点だが、「母親のいる場所」=「キッチン」だとすれば、そこから「家族のいる場所」=「居間」が見えるという位置関係は、本作においても欠かせない要素だったのだとか。
▲東家
また、メイキング写真には、山﨑と中野監督とのショットや、蒼井、竹内、松原の女性陣3人が中野監督を中心に談笑している和やかな場面が収められている。蒼井は、中野監督が蒼井の出演を切望し実ったキャスティングであり、竹内は、長女・麻里役として、自然とキャスト間の“和”を作り出していたという。さらに、松原は、チャーミングさを保ちながら、娘たちが気付いていないことにひとりだけ気付いているという繊細さを併せ持つ重要な役どころを演じており、山﨑は、映画化のオファーをもらう前に原作を読んでおり、「これが映画化されるとしたら、昇平役は自分のところにオファーが来るのではないか?」との、不思議な予感を感じていたという。
『長いお別れ』
5月31日(金) 全国ロードショー
監督・脚本:中野量太
原作:中島京子「長いお別れ」(文春文庫刊)
脚本:大野敏哉
主題歌:優河「めぐる」
出演:蒼井優 竹内結子 松原智恵子 山﨑努 蒲田優惟人 中村倫也 北村有起哉 杉田雷麟 松澤匠 清水くるみ 倉野章子 不破万作 おかやまはじめ 池谷のぶえ 藤原季節 小市慢太郎
配給:アスミック・エース
【ストーリー】 父、昇平(山﨑努)の70歳の誕生日。久しぶりに集まった娘たち、芙美(蒼井優)と麻里(竹内結子)に母・曜子(松原智恵子)から告げられたのは、厳格な父が認知症になったという事実だった。それぞれの人生の岐路に立たされている姉妹は、思いもよらない出来事の連続に驚きながらも、変わらない父の愛情に気付き前に進んでいく。ゆっくり記憶を失っていく父との7年間の末に、家族が選んだ新しい未来とは―。
©2019『長いお別れ』製作委員会 ©中島京子/文藝春秋