永瀬正敏、長編映画監督デビューの甲斐監督に「このメンバーで第2弾『青い雪』を作ってほしい」『赤い雪 Red Snow』公開記念舞台挨拶レポート

大ヒット映画『64-ロクヨン-』のプロデューサー浅野博貴が、永瀬正敏、菜 葉 菜、佐藤浩市、夏川結衣を再びキャスティングした、実話が元のミステリー・サスペンス『赤い雪 Red Snow』が、2月1日に公開初日を迎え、2月2日にテアトル新宿にて公開記念舞台挨拶が行われ、永瀬正敏、菜 葉 菜、井浦新、夏川結衣、佐藤浩市、甲斐さやか監督が登壇した。

失踪した少年の兄を演じた永瀬は、これが長編映画監督デビュー作の甲斐監督について「新しい日本映画、新しい才能の誕生の瞬間に立ち会えた。甲斐監督は物凄く温和だが、撮影中は自分の中でヴィジョンがあるので、ニコニコ可愛らしいながらも、ブレない引かない監督だった」と才能を絶賛。誘拐事件容疑者の娘役で、体当たり演技を披露した菜 葉 菜は「憧れの先輩方に囲まれて、プレッシャーもあり、自分の中の負のスイッチが全開。撮影中は孤独感が襲ってきて、もがいていました」と大役への心境を告白しつつ「でも先輩方がそれぞれの形で見守ってくれて、支えてくれた。だから役として駆け抜けることができた」とベテラン勢に感謝しきりだった。

少年失踪事件を追う記者役の井浦は「気づけば現場で若手をまとめる最年長になった中で、大先輩方に胸を借りる気持ちで、久々に夢中で芝居できた。僕が思い切り行ってもいなされる大先輩方でしたが、そこで思い切りぶつかることができたのは幸せだった」と俳優としての原点に立ち返ったような表情。佐藤の初日撮影をコッソリ見学したそうで「モニターに映った浩市さんの表情に背筋ゾクゾクした。それくらい浩市さんの不気味な笑みは怖かった」と佐藤の怪演に縮み上がっていた。

しかし当の佐藤は「正直あまり覚えてない」とはぐらかしつつ「灯油をまくために家を出る場面では、息が切れてしまって大変だった」と苦笑い。極悪人を演じる上で薄汚く見えるようにと、歯を黄ばませるという役作りを行ったそうだが「試写で完成品を観たけれど、なんか嫌な感じがして…。何が嫌なのかと考えたら『これ、三國連太郎だ!』と。“疑似”三國連太郎になっているんですよ。そんな自分が嫌でしたね」と自虐発言で笑わせた。それに永瀬が「恐ろしく素晴らしかった」と感心すると、菜 葉 菜は「ゲスだろうが外道だろうが、自分の初濡れ場が浩市さんで光栄でした!ウチの母親が羨ましがっていました!」とぶっちゃけて、佐藤を照れさせていた。

夏川は「脚本が面白くて一気に読めた。それに監督が女性で、しかも初の長編作品を手掛けるという部分にも興味を持った。そんな現場に身を置きたいと思った」と出演理由を回想。子役を罵倒するシーンでは「本当に自分の娘なの!?というくらいの残酷さ。子役も演技初だったので、本気で何時間も泣いている姿を見て『トラウマになるのでは?』と心配でした」と子役のメンタル面を心配。それに佐藤も「意外にこう見えて僕は肝が小さいので、子役のシーンは辛かった。菜 葉 菜とか大人たちにやるのは全然平気なんだけど、子役は切なかったね」と同調し「作品のトーンが思った以上に陰惨。男が監督するとこうはならないだろうと思った」と女性ならではの演出を分析していた。

最後に甲斐監督は「たくさんの感想を呟いてほしい」と本作の拡散を願い、菜 葉 菜は「撮影地・山形でもたくさんの方に観てもらい、いいスタートが切れました。東京でも沢山広めてほしい」と期待。永瀬も「結末をご自宅に持って帰ってもらえる映画。そこから皆さんで映画を成長させてほしい。甲斐監督はこれが長編映画監督デビュー作ですが、このメンバーで第2弾『青い雪』を作ってほしい」と再会を楽しみにしているようだった。

『赤い雪 Red Snow』
2月1日(金) テアトル新宿ほか全国順次ロードショー
監督・脚本:甲斐さやか
プロデューサー:浅野博貴
出演:永瀬正敏 菜 葉 菜 井浦新 夏川結衣 佐藤浩市 吉澤健 坂本長利 眞島秀和 紺野千春 イモトアヤコ 好井まさお
配給:アークエンタテインメント

【ストーリー】 ある雪の日、一人の少年が忽然と姿を消した。少年を見失った兄・白川一希(永瀬正敏)は、自分のせいで弟を見失ったと思いこみ、心に深い傷を負う。少年誘拐の容疑者と疑われた女の周りでは次々と怪しい殺人事件が起こるが、真実は闇へと落ちていった。30年後。事件の真相を追う記者・木立省吾(井浦新)が容疑者と疑われた女の一人娘・江藤小百合(菜 葉 菜)を見つけ出したことにより、「被害者の兄」と「容疑者の娘」の運命の歯車が大きく動き始める。一つの事件で深い傷を負った人間の、曖昧な記憶を辿る葛藤の中に垣間見えた真実は、それぞれの運命を予想もしない結末へと導いていく。それぞれの記憶が氷解した先に見えたものは何か。全てを信じてはいけない。

©2019「赤い雪」製作委員会