今年5月に開催された第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にて最高賞のパルムドールを受賞した、是枝裕和監督の長編14作目『万引き家族』が6月8日に公開された。本作は、公開後7日間での興行収入が10億円を突破し、2018年公開の実写邦画としては最速を記録。さらに、6月14日に観客動員数が100万人を突破した。このほど、6月21日にTOHOシネマズ 六本木ヒルズにて、是枝裕和監督が登壇する公開後ティーチインイベントが行われた。
デビュー作からティーチインイベントを続けているという是枝監督。「何度かやるつもりだったんですけど、明日から上海の映画祭に、その後パリに行ってしまうので」と、ティーチインイベントは今回だけになってしまったと説明。「大ロングランになると、夏ごろやれるかも」と期待を込めて笑った。
観客から「花火の場面以外に、キャスト6人が同じフレームに入ってるシーンがないのは意識的か?」という質問が。是枝監督は「意識的」だとうなずき、「あの家を見つけて、スタッフと一緒にあの場所で見上げた時に『花火が上がっても見えないよね?』という話をして面白いな」と感じ、あのシーンを書いたという。
「日本と海外とでは受け取られる感覚に違いはあるか?」という質問には「違わない」と答え、「この作品に限らず、今まで作ってきたもっとドメスティックな日本的なものでも、軸はブレずに伝わる」と、20年の経験から実感していることを述べた。
最後に、6月21日が、ゆり役を演じた佐々木みうの誕生日だということ明かし、「『万引き家族』のLINEグループができていて、皆んなで『誕生日おめでとう』を言い合っている。なんとなくバラけていくのが寂しいみたいで、チャンスがあると皆んなで(LINEに)集まる感じが、離れて暮らしている家族のような気がしております」とほっこりするようなエピソードを明かして、イベントを締めくくった。
『万引き家族』
6月8日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷ほか公開中
監督・脚本・編集:是枝裕和
出演:リリー・フランキー 安藤サクラ
松岡茉優 池松壮亮 城桧吏 佐々木みゆ
緒形直人 森口瑤子 山田裕貴 片山萌美 / 柄本明
高良健吾 池脇千鶴 / 樹木希林
配給:ギャガ
【ストーリー】 高層マンションの谷間にポツンと取り残された今にも壊れそうな平屋に、治と信代の夫婦、息子の祥太、信代の妹の亜紀の4人が転がり込んで暮らしている。彼らの目当ては、この家の持ち主である初枝の年金だ。足りない生活費は、万引きで稼いでいた。社会という海の底を這うような家族だが、なぜかいつも笑いが絶えず、互いに口は悪いが仲よく暮らしていた。冬のある日、近隣の団地の廊下で震えていた幼い女の子を、見かねた治が家に連れ帰る。体中傷だらけの彼女の境遇を思いやり、信代は娘として育てることにする。だが、ある事件をきっかけに家族はバラバラに引き裂かれ、それぞれが抱える秘密と切なる願いが次々と明らかになっていく─。
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