【ご当地映画】地味な県なんかじゃねえ! 富山を舞台にした映画&アニメ5選!

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皆さん、はじめまして。富山で珍スポットライターをやっておりますピストン藤井と申します。「地味」で名高い我が富山ですが、2015年3月に開通した北陸新幹線によって多くの観光客が足を運んで下さるようになりました。とはいえ隣県の金沢駅の降車率と比較すると、まだまだ富山をスルーし金沢に直行する不届き者がわんさかいるのが現状。我ら富山県民は夜な夜なホタルイカの素干しを奥歯で噛みしめ、悔しさを紛らわす日々を送っています。確かに加賀百万石の後光はまぶしいが、富山にだって名峰・立山はあるし黒部ダムもあるし、寒ブリも白エビもいるし、完全無欠のロックンローラー・高原兄もいる。おまけにウォシュレットの所有台数は全国1位だし! そのトイレに使う水道水もモンドセレクション3年連続金賞だし! ってことは富山県民のケツの穴は日本一キレイだし! そんな誇らしい勲章を持つ我が郷土をPRすべく、富山を舞台にした映画&アニメをご紹介します。

『黒部の太陽』

男は黙って黒部ダム! そんな気骨溢れる、日本映画史に燦然と輝く一大スペクタクル。昭和30年代に関西電力が総工費513億、延べ一千万人の作業員を動員し、7年かけて建設した「黒四ダム」(通称・黒部ダム)。171名もの尊い命と引きかえに、立山連峰の山地を切り開いた世紀の難工事を、石原裕次郎、三船敏郎の二大スター競演で描きます。何度も山崩れに見舞われる本編も壮絶ですが、撮影現場も同じく過酷。最大の難所である地下水を大量に含む破砕帯の突破シーンでは、約420トンもの濁流にのみ込まれた裕次郎が大ケガを負いました。難攻不落に挑む男たちの物語と、その映画化に奔走した映画バカたちの情熱に心震えること必至。石原プロ公認の「黒部の泡水」(サイダーだよ)も富山土産にどうぞ!

『トラック野郎 熱風5000キロ』

エロ! バカ! ウンコ! の三拍子が揃った痛快娯楽シリーズ。男気あふれるが単細胞、好物は酒と女とレバニラ定食のトラック運転手・桃次郎(菅原文太)と、女は母ちゃんオンリーの子だくさん“やもめのジョナサン”(愛川欽也)の迷コンビが、ド派手なデコトラを駆りながら珍騒動を繰り広げます。長野・富山を舞台にした本作では、男勝りのヒロインと桃次郎のドブロク一気飲み対決や、牛の乳搾りでムンムンに発情する桃次郎のお下劣描写、ジョナサン一家の点呼といった鉄板ネタに加え、男たちの熱き友情やお涙頂戴ストーリーも展開される出血大サービスぶり。ラストでは桃次郎のギンギラギンのデコトラ「一番星」号が、富山の魚津港を目指し、雪に囲まれた立山・黒部アルペンルートを大暴走します!

『疑惑』

社会派ミステリーの大家・松本清張の原作を映画化した傑作サスペンス。富山湾で起きた資産家水死事件をめぐり、殺人容疑をかけられた後妻(桃井かおり)と国選弁護人(岩下志麻)が不利な裁判に挑みます。元ホステスの後妻がすさまじく粗暴で、しかも名前が反キラキラネームの鬼塚球磨子(くまこ)! そりゃ誰だって逮捕したくなるよ。かたや弁護人はクール極まりない冷徹女。相反する二人は、熱々の激辛麻婆豆腐にキンキンの氷水をぶっかけるようなキャットファイト(桃井VS岩下の演技バトルも強烈!)をしながらも、田舎社会特有の偏見に立ち向かいます。清張曰く「北陸は陰鬱だからこそロマン」。全く褒められてませんが、鬱々とした北陸の曇天は確かにミステリーにぴったり。富山駅や警察署、新港埠頭など80年代の富山の風景も見ものです。

『劔岳 点の記』

名カメラマン・木村大作の初監督作にして、『黒部の太陽』と並ぶ一大スペクタクル富山映画。明治末期を背景に、日本地図を完成させるべく、前人未踏の剣岳山頂を目指した測量手たちの過酷な道のりを圧巻の大自然と共に描きます。浅野忠信、香川照之、松田龍平、仲村トオル、役所広司、宮﨑あおいら豪華キャスト集結に県民大熱狂! その名優たちを標高2999メートル、最低体感温度が氷点下40度の“死の山”にガチでぶっ込んだとか、CG・空撮に一切頼らない撮影方式だとか、木村監督のところだけ「モーセの十戒」のように雪崩が割れただとかの武勇伝が満載。ちなみにソフトクリームを求め、監督が足繁く通ったという「立山サンダーバード」は、ベビースターラーメンを無理くり挟んだ珍サンドイッチが名物です(わりと美味)。

『クロムクロ』

富山に本拠地を置くアニメ制作会社・P.A.WORKSが手掛けたメカアクション・アニメ。現代に蘇った侍が、黒部ダムから発掘された巨大ロボット「クロムクロ」を駆り、突如襲来した謎の敵たちと激闘します。SFと時代劇をミックスした世界観や、ロボット殺陣が斬新。しかし何より特筆すべきは、敵のロボットが地球上でひたすら富山しか攻撃しない点です。なんてニッチ! 富山の市街地がボコボコに荒らされ、地元新聞社や放送局も容赦なくボカーン! 日本初の方言空港「富山きときと空港」も、「きときと」(「新鮮」)のネオンを重点的にドカーン! 県民の希望の星☆北陸新幹線や市内電車もグワッシャー! 故郷が破壊されまくる絵を見て、妙な爽快感を抱くという倒錯した郷土愛が生まれます。県が作成したクロムクロ破壊MAPも必読!(ピストン藤井