【猫クリスマス】飼い猫をなでなでしながらクリスマスに観たい映画5選

どうも。物心ついた時から実家に猫がいるライターの平井です。子供の頃は、本気でムツゴロウ王国のスタッフになることを目指し、初めて観た映画も『子猫物語』(ムツゴロウさん監督作)でした。今でも街中でノラ猫を見つけては、時間を忘れて口説き落とすのがマイ・ルーティン。友人からも「また始まった……」と呆れられています。
それはそうと、いま、空前の猫ブームですよね。ここで勝手に持論を申し上げますと、再ブームで人気の「なめ猫」をはじめ、CMで洋服を着て擬人化(?)されている猫ちゃんをよく見かけますが、猫のかわいらしさはそこではないと思うのです。丸みを帯びた体のフォルム、美しい毛並み、そして肉球のついたまんまるの四本足……そう、猫はあくまでも猫として存在していてほしい! そして何より「暮らしの一部に猫がいる」という状況に萌えてしまうのは私だけでしょうか? 

そこで、これからのクリスマスシーズン、自分の部屋で飼い猫をなでなでしながら観たい猫映画を選んでみました。

『ペット』

大ヒット作『ミニオンズ』のスタッフが再集結し、バナナマンが日本語吹き替えを担当したアニメーション。散歩中に迷子になってしまった2匹の犬マックス&デュークが、飼い主の家に戻るまでの冒険をアクション満載で描きます。「飼い主がいない間、ペットたちは何をしているのか?」というテーマのもと、さまざまな動物が登場しますが、やはり猫好きの注目は、主役2匹の相談相手になる、いい感じにまるまる太ったロシアンブルーのクロエ。気まぐれで無愛想な性格や、絶体絶命のピンチでもコロコロ動くものにはつい反応してしまうなど猫ならではの習性が、笑いを誘います。

『猫侍』

コワモテの剣豪・久太郎と愛らしい白猫、玉之丞の同居生活。この作品、「猫を飼ったことがない人が猫を飼うとどうなるか?」というドキュメントでもあります。まず、玉之丞に何を食べさせればいいか分からずオロオロ。さらに、部屋の障子をビリビリに破かれるなど傍若無人な行動に激怒するも、そのつぶらな瞳に骨抜きにされ、つい許してしまう。そんな久太郎の姿に心当たりのある人も多いのでは? ちなみに劇中の玉之丞は、あなご、さくら(若)、さくら(大人)という3匹の猫が演じ分けています。筆者もあなご様を取材させていただいたことがありますが、カメラを向けられると、きちんと目線をくれる“ザ・女優”でした。

『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』

ジョエル&イーサン・コーエン兄弟が監督し、第66回カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したヒューマン・ドラマ。不運続きの冴えないフォーク歌手が、ギターケースと茶トラの猫を抱え、街をさすらうストーリー。この猫がとにかくおとなしい……。地下鉄の音にもちっとも動じない……。実家のインターフォンが鳴るだけで押し入れに逃げ隠れてしまうビビリな猫を飼っている身としては、信じがたい光景です。そのあまりの存在感に、アメリカのメディアでは「猫が主役を食っている」なんて評もあったそう。そして人間に忠実な犬とは違って、邪魔されることを嫌い、自分の世界を持っている猫だからこその、主人公との絶妙な距離感を生み出しています。

『こねこ』

大都会に迷い込んだ子猫チグラーシャと仲間たち、子猫を捜す家族を描いたロシア映画。メガホンをとったのは、ロシア最大の映画撮影スタジオの技術スタッフだったイワン・ポポフ監督。突然出くわすドーベルマンやモスクワの街並みなどを猫と同じ高さのカメラワークでとらえ、「猫が見る世界」をみごとに再現しています。そしてもうひとつ驚くべきは、人間顔負けの猫たちによる演技力。それもそのはず、猫たちの演技指導は、世界唯一の猫サーカスとして有名なアンドレイ・クズネチョフ。氏の演出により、猫たちの自然な仕草や表情がローアングルで映し出され、まるで目の前で猫が動いている感覚が味わえます。あなたの飼い猫も思わず画面に飛び込んでしまうかも!?

『グーグーだって猫である』

大島弓子原作の同名漫画を小泉今日子主演で映画化。愛猫を亡くし傷心の少女漫画家が、新しくやって来たグーグーとの生活をきっかけに、再び生きる活力を見いだしていく。『猫侍』が猫を飼い始めた人の暮らしを綴った映画なら、本作は、猫との暮らしにつきまとう喪失感や、いつか自分が先に死んでしまうかもしれない不安を描いた、ちょっと切ない映画でもあります。猫好きの人たちはみんな、命と向き合う「覚悟」が必要。いろいろあるけれど「それでも一緒にいよう」というグーグーの声が聞こえてきそうなラストが、涙腺を刺激します。言葉は発せずとも、猫は雄弁———そういう意味で、未DVD化のためこのラインナップには入れていませんが、森達也監督のドキュメンタリー『FAKE』も立派な猫映画だということを最後に記しておきたいと思います。(平井万里子)