「異類婚姻譚」で第154回芥川賞を受賞した本谷有希子による芥川賞・三島賞候補となった同名小説を、趣里主演で映画化した『生きてるだけで、愛。』が11月9日に公開初日を迎え、11月10日に新宿ピカデリーにて行われた公開記念舞台挨拶に、キャストの趣里、菅田将暉、仲里依紗、西田尚美、関根光才監督が登壇した。
主演の趣里は「一人ひとり感想は違うと思いますけど、聞きたいぐらいです」と本作を鑑賞したばかりの客席へ挨拶。過眠症で引きこもり状態の主人公・寧子を演じ、「一見、表現の仕方が激しかったりしますが、人間は心に何かを持っているのではないかと思って、すごく共感できました」と自身が演じた役への想いを語った。
寧子と3年間同棲を続けている津奈木を演じた菅田は、趣里演じる寧子との関係性について、「知らず知らずのうちに受け止め合って、知らず知らずのうちに拒否し合っている」と説明。撮影については「現場は心地よかったです。熱いものがあって、表情には出さないけど、別に暗いわけではない、そんな感じでした」と振り返った。
また、趣里は菅田との共演について、「菅田さんはこのままでいてくださったので、こちらもそのままいることができました」と明かし、関根監督も「控え室にいても二人(趣里と菅田)が自然体で話していて、菅田さんがみんなの空気感を受け止めていました」と言うと、それを受けて菅田は「そんな“菅田さん、菅田さん”と飛び交われても…(笑)。でも楽しかったです」と笑って答えていた。
菅田演じる津奈木の元恋人・安堂役の仲は、自身が演じたキャラクターについて「不思議なマインドを持った人なので、掴みづらい部分もありました。逆にわかりやすいよりやっていて楽しいのかなと思って、自分なりにやれたかな」とコメント。趣里演じる寧子をあたたかく迎え入れるカフェバーの店員・真紀役の西田は、趣里と仲と共演し、「映像を観ても演技をしている最中も、いきなりアドレナリンを放出することがすごい」と二人を賞賛していた。
ここで、本作のタイトル『生きてるだけで、愛。』にちなみ、キャストと監督が「これだけがあれば、愛を感じられること」をフリップで発表。菅田は「間違えたなぁ…」と少し躊躇しつつも、「“焼売(シュウマイ)には辛子”だけで、愛。最近論争になったのがシュウマイだったんです。俺は絶対辛子だけなので!」と回答し、会場の笑いを誘っていた。一方、趣里は「“お一人様”だけで、愛。」と発表。「一人が好き」でどこにでも行くそうで、「それが楽しい。いろいろなことが考えられる時間がすごく好きです」と普段の生活について明かしていた。
最後に、趣里は「人生は楽しいことじゃなくて、自分で変えたいと思っていても変えられないこと、わかっていてもどうしようもないこと、辛いことや苦しいことがたくさんあると思います。誰かと繋がっていると感じられる時間があるから、少しでも明日に向かっていけるのかなと、この作品を通して感じました。受け取り方は人それぞれだと思うので、自由に楽しんでもらえたら」と本作をアピールし、舞台挨拶は終了した。
『生きてるだけで、愛。』
11月9日(金) 新宿ピカデリーほか全国ロードショー中
監督・脚本:関根光才
原作:本谷有希子「生きてるだけで、愛。」(新潮文庫刊)
エンディング・テーマ:世武裕子「1/5000」(ポニーキャニオン)
出演:趣里 菅田将暉 田中哲司 西田尚美 松重豊 石橋静河 織田梨沙 仲里依紗
配給:クロックワークス
【ストーリー】 生きてるだけで、ほんと疲れる。鬱が招く過眠症のせいで引きこもり状態の寧子と、出版社でゴシップ記事の執筆に明け暮れながら寧子との同棲を続けている津奈木。そこへ津奈木の元カノが現れたことから、寧子は外の世界と関わらざるを得なくなり、二人の関係にも変化が訪れるが…。
©2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会