将棋界に奇跡をもたらした異色の棋士・瀬川晶司五段の自伝的小説を、豊田利晃監督が実写映画化した『泣き虫しょったんの奇跡』が、9月7日に公開初日を迎え、9月8日に有楽町・TOHOシネマズ シャンテにて行われた公開記念舞台挨拶に、キャストの松田龍平、永山絢斗、渋川清彦、新井浩文、松たか子、窪塚愛流、豊田利晃監督、原作者の瀬川晶司五段が登壇した。
主演の松田は、「無事に公開されて皆様に届けることができて、ただただ嬉しいです」と挨拶。本作がいよいよ公開を迎え、感想を聞かれると「感極まっています。ありがとマンモス」と渋川清彦演じるプロ棋士・山川が劇中で披露するギャグで会場を笑わせた。
撮影の合間でも将棋を指していたようで、「一時たらずとも将棋を忘れてなかった」という松田。一緒に将棋を指していたという渋川は、「龍平は負けるとすごい悔しがるんですよね」と暴露すると、松田は「みんな強かったんですけど、キーくん(渋川)とはいい勝負だったんです。それで絶対負けたくない!と(笑)」と現場の雰囲気の良さを明かしていた。
原作者の瀬川は撮影現場によく訪れていたようで、松田は瀬川を演じるにあたって、「とにかくじっと見ていました。将棋のシーンは大きなアクションがあるわけじゃないので、静かな中での何気ない動作が効いてくるんじゃないかと思って。瀬川さんは頭を触る癖があって、それをやりすぎて豊田さんに『やめてくれ』と言われました」と瀬川の癖も真似ていたという。それを受け豊田監督は、「芝居かなと思っていたら、プライベートでもずっと頭を触っていて(笑)」と撮影の裏話を披露した。
しょったんの子供時代のパートで担任の鹿島澤先生を演じた松は、将棋シーンについて「想像もつかない頭の回転の速さ。とてもその世界には入っていけない」とコメント。小学校のシーンを最初に撮影し、現場で撮影を見ていたという瀬川は、「松さんが『瀬川晶司くん』って呼ぶシーンがあるんですけど、僕も外でモニターを見ながら、呼ばれた!と思って『はい』と(笑)。それが思い出です」と嬉しそうに語っていた。
イベントの終盤には、公益法人日本将棋連盟常務理事の森下卓九段より松田へ、初段免状が贈呈されることに。松田は「全然弱いんですけど…」と会場を笑わせつつ、満面の笑顔で免状を受け取った。初段となった感想について、松田は「松田初段です(笑)」と早速挨拶し、「僕に挑戦したい方がいればどしどし受けてたつので、よろしくお願いします」と意気込み、会場を大きな拍手が包んでいた。
『泣き虫しょったんの奇跡』
9月7日(金)より全国ロードショー中
監督:豊田利晃
脚本:瀬川晶司「泣き虫しょったんの奇跡」(講談社文庫刊)
音楽:照井利幸
出演:松田龍平 野田洋次郎 永山絢斗 染谷将太 渋川清彦 駒木根隆介 新井浩文 早乙女太一 妻夫木聡 松たか子 美保純 イッセー尾形 小林薫 國村隼
配給:東京テアトル
【ストーリー】 26歳。それはプロ棋士へのタイムリミット。小学生のころから将棋一筋で生きてきた“しょったん”こと瀬川晶司の夢は、年齢制限の壁にぶつかりあっけなく断たれた。将棋と縁を切りサラリーマンとして暮らしていたしょったんは、アマ名人になっていた親友の悠野ら周囲の人々に支えられ、将棋を再開することに。プロを目指すという重圧から解放され、その面白さ、楽しさを改めて痛感する。「やっぱり、プロになりたい―」。35歳、しょったんの人生を賭けた二度目の挑戦が始まる―。
©2018『泣き虫しょったんの奇跡』製作委員会 ©瀬川晶司/講談社