『三月のライオン』『無伴奏』の矢崎仁司監督がメガホンをとり、安藤政信が主演を務める『スティルライフオブメモリーズ』が、7月21日より公開中。このほど、8月3日に新宿K’s cinemaにて上映後のトークイベントが行われ、主演の安藤政信、矢崎仁司監督が登壇した。
2006年の『ストロベリーショートケイクス』以来のタッグとなる安藤と矢崎監督。出来上がった作品の感想を聞かれた安藤は「矢崎さん独特の繊細さもありながら、デリケートからは少しはみ出した“強さ”を感じた。現状に怒っているのかと思うほど、『これを見せてやりたいんだ、俺は』という強い意志を感じたし、この人、やっぱり面白いと思いました」と語った。
矢崎監督から「撮影はやっぱり大変でしたよね?」と聞かれた安藤は「矢崎さんの現場は、映画への愛や役者への信用がものすごくあって…。信じられている思いが強い分、大人の言い方をすると“やり甲斐がある”って言うんですかね…」と真面目に話していたが、ひと呼吸置いたあと、「すいません!やっぱりつらいです!」と本音を明かし、会場の笑いを誘った。撮影は、毎日深夜3時にまでおよび、宿舎に1時間かけて帰り、翌朝は早朝から出発するといったハードスケジュールだったようで、安藤が「大変さでいうと、僕の中では、2000年の『バトル・ロワイアル』と並んだかも。深作(欣二)さんはすごくかわいがってくれたんですが、あまりにスケジュールが過酷で、撮影後に不眠症になってしまったんですよ、僕。今回も睡眠不足で本番中に寝ちゃって。初めて白目むきましたからね」と告白し、これには監督も「すみません…」と苦笑いだった。
続けて、「安藤さんは『ストロベリーショートケイクス』の時も、相手役の秋代というヒロインを立たせるために自分の出演シーンを削って欲しいと言ってきた。こんなに映画の全体を考えてくれる俳優さんはいないし、一緒に作っている感じがして嬉しくなる」と矢崎監督。これに対し、安藤も「矢崎さんは、どうして涙が出るのか、どうしてこの言葉が出るのか、前後関係のプロセスをちゃんと説明してくれるから、役者の体も心も動く。僕にとって、ムードを大事にしてくれる監督は大切。僕もまた一緒にやりたいです」と力強く答えていた。最後は、観客による撮影タイムが設けられ、安藤も持参したカメラで客席を“逆撮影”し、会場を盛り上げていた。
安藤は、8月11日に新宿K’s cinemaにて行われる、18:40からの上映回のアフタートークにも登場。劇中写真を手がけた中村早と“写真家対談”が行われる予定だ。
『スティルライフオブメモリーズ』
7月21日(土)より、新宿K’s cinemaほか全国公開中
監督:矢崎仁司
原作:四方田犬彦「映像要理」(朝日出版社刊)
出演:安藤政信 永夏子 松田リマ 伊藤清美 ヴィヴィアン佐藤 有馬美里 和田光沙 四方田犬彦
配給:「スティルライフオブメモリーズ」製作委員会
【ストーリー】 東京のフォトギャラリーで、新進気鋭の若手写真家・春馬の写真展が開催されている。山梨県立写真美術館のキュレーター・怜は、たまたま入ったギャラリーで春馬の写真に心奪われる。翌日、怜は春馬に連絡をとり、撮影を依頼する。怜が撮ってほしいと切り出したのは…。
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