『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~』主演 ジェイク・ギレンホール インタビュー

ジェイク・ギレンホールが主演とプロデュースを務め、ボストンマラソン爆弾テロ事件で“ボストンのヒーロー”と呼ばれた男の真実の物語を描いた映画『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~』が5月11日より公開となる。このほど、主演のジェイク・ギレンホールが、自身が演じたジェフ・ボーマンや本作への想いをインタビューで語った。

本作は、2013年に起こったボストンマラソン爆弾テロ事件の被害にあった、ジェフ・ボーマンの実話を映画化。テロに巻き込まれ両脚を失ったジェフは、「ボストンストロング」というテーマの元、ボストン復興の象徴として脚光を浴びる反面、耐えられない傷とプレッシャーを背負いながらも、恋人や家族などの愛する人々に支えられ、困難を乗り越えていく。主人公のジェフを演じるのは、『サウスポー』や『ナイトクローラー』、『ライフ』など、メジャー大作からインディペンデント映画まで活躍するジェイク・ギレンホール。本作では、プロデューサーとしても深く関わり、実際にジェフと交流を深めて撮影に臨んだ。

ジェイク・ギレンホール インタビュー

Q:主人公のジェフ・ボーマンについて。

ジェイク:この出来事を最初に聞いて、ジェフの写真を見たのは、もちろんニュースでだった。僕らの人生が交差するとは思わなかったよ。僕はジェフと会って話す時間をたくさんとった。彼にはとても少年のようなところがあるから、すぐに好きになった。僕たちみんながね。どうしてジェフが好きなのかずっと話せるよ。彼は考えられないほどの生存能力と謙虚さを持っている。予期せぬことが起きても優雅なんだ。カリスマがあるだけじゃなくて、とても愛情にあふれていて、ユーモアのセンスもある。同時に奥底に深い闇もあるね。彼の肉体的適応力に、ジェフという人間を知るための大きな手掛かりを見つけた。あと特にユーモアのセンスは、どん底の自分を救ったのだと思う。(ボーマン一家は)信じられないくらい強い結束力がある人々だ。ジェフは1日たりとも家族に会ったり話したりしないで過ごすことはない。

Q:ボストンについて。

ジェイク:ボストンで撮影を行うことが重要だったんだ。他の場所は考えられなかった。できることは全てやったし、ボストンが素晴らしい場所で、ボストンの人々が素晴らしい心の持ち主だと世界中に伝わればいいな。

Q:これまで複雑で難しい役柄を沢山演じてきたと思いますが、今回の役はどこに位置しますか?

ジェイク:ボストンの人間、特に男は気持ちをあまり言わない。だから気持ちを話させるのではなく、彼のペースや様々な問題に対するやり方から感情の手掛かりを見つけなければならなかった。演技の話をするときに、難しいというときに「大変」という言葉を使うのは好きではないけれど、今回の役は人生で一番変革的(斬新)だった。仕事を通じて周りの世界を学ぶことが大好きだし、それが役者の一番の醍醐味だけど、彼のストーリーを知って、彼の友人になって…ジェフを知っているみんなが言うように、彼自身の想い(spirit)というものがあって、その想いは周囲を動かすほど力のあるもので、しかし彼自身は恐らくそれをいつも快く思っているわけではないと思うが、そういった部分もこの映画で描かれる内容の一部になっている。当然、彼は僕に対してもその部分を見せてくれた。だから今回の旅は、これまでの僕の役者人生の中でも一番素晴らしい旅になったと思ってるよ。

Q:ジェフ・ボーマン本人に話を聞いて知ること以外に、この役を演じるにあたって準備したことはありますか?

ジェイク:もちろん。ジェフの周りにはチームがあって、彼を取り囲む人たちの世界があって、ジェフが一人で乗り越えたのではなく、彼を助けた人たちも一緒に乗り越えたんだ。その人たちに会うこと―ボストンのスポールディング・リハビリ・センターで彼を助けた人たち、ユナイテッド・プロステティクス社(人口装具、義足の会社)や、そこのジェフの義足の半分をデザインしたマーティーニ兄弟、アーロン、アーロンの母、彼の友達、カルロスに会ったり、チェルムスフォードに行ってジェフが育った地域を訪ねたり、沢山の準備をしたよ。回復についての一般知識に関するリサーチ、今回のようなシチュエーションを乗り越える精神面を理解することなど…本当に沢山の調査をしたよ。あとはその中で生きる、その空間に入ろうとすること。

Q:この映画を作るにあたって、個人的に何を学びましたか?

ジェイク:僕が気付いたのは、みんな自分のキャリアの中で伝えたいと思うストーリーがいくつかあって、観客から一人ひとり特有の感想を引き出したりすることだ。昔関わった作品の一つ『ブロークバック・マウンテン』で、人々がストーリーを聞かせてくれた。僕のところに来て、いろんなストーリーを、彼らが乗り越えてきたこと、映画が彼らに気付かせたことを。プレミアの前に何度も行った試写の後や予告ができたときに、人々のそれぞれ特有のストーリーを聞いた。一人ひとりが何かに苦しんでいる、もしくは誰か愛する人が何かにもがいていると知ること、ジェフのような人やそのストーリーが僕たちに希望を与えてくれること、(その希望は例えば)次の日も生きてゆけるとか、きっと大丈夫とか、もしくは経験からきっと強くなれる、だったり、それが僕がこの映画を通して学んだことで、今でも毎日学んでいることだよ。

Q:ギレンホールたっての願いで実現した、英国女優ミランダ・リチャードソンについて。

ジェイク:ジェフにとって母の壁を破るのは容易ではない。ミランダ演じるパティとの場面をひとつひとつ演じるのは、素晴らしいゲームだった。

Q:エリン役を演じたタチアナ・マスラニーについて。

ジェイク:タチアナは隠れたヒーローで、彼女の演技は最高だと思う。

Q:最後に本作が伝えたいこととは?

ジェイク:ジェフ・ボーマンの物語を聞いた人はまず、このテロ事件の特殊な点に気づくはずだ。でも、この映画はそれ以上にもっと大切なことを伝えようとしている。困難な状況をどのように克服していくかについて描いた映画だ。絶望的な環境の中でも、僕たちは乗り越えることができる。ジェフがそれを証明してくれている。それがこの映画のテーマだよ。

『ボストン ストロング ~ダメな僕だから英雄になれた~』
5月11日(金)、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
監督:デヴィッド・ゴードン・グリーン
脚本:ジョン・ポローノ
出演:ジェイク・ギレンホール タチアナ・マスラニー ミランダ・リチャードソン クランシー・ブラウン
配給:ポニーキャニオン

【ストーリー】 ボストンに暮らすジェフ・ボーマンは元彼女のエリンの愛情を取り戻すため、彼女が出場するマラソン会場に応援に駆け付けるが、ゴール地点付近で爆弾テロが発生。巻き込まれたボーマンは爆発で両足を失ってしまう。意識を取り戻したボーマンは爆弾テロリストを特定するために警察に協力。ボーマンの証言を基に犯人が特定されると、ボーマンは一躍、“ボストンのヒーロー”として世間の脚光を浴びるが、彼自身の再生への戦いはまだ始まったばかりだった―。

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