孫娘と祖母が結婚式のバージンロードを歩くという目標に向けて奮闘し、家族の絆と生きる希望を描く映画『ばぁちゃんロード』が4月14日に公開初日を迎え、有楽町スバル座にて舞台挨拶が行われ、文音、草笛光子、三浦貴大、桜田通、鶴見辰吾、篠原哲雄監督が登壇した。
海辺の静かな町を舞台に、幼馴染の大和(三浦)からプロポーズされた夏海(文音)が、施設で暮らすばぁちゃん・キヨ(草笛)を元気づけるために、ある計画を立てる。それはキヨと一緒にバージンロードを歩くという事だった。
結婚を控える根っからのばぁちゃん子・夏海役の文音は、「昨日の夜からドキドキしていましたが、ちゃんと公開を迎えたことにホッとしています」と10年ぶりの主演映画に感慨。プライベートでも親交のある草笛との共演に、「撮影中は役とプライベートが重なるところもあって、草笛さんだったからできたことが沢山あった」と気心知れた仲に感謝し、「バージンロードのシーンは最後に撮影したこともあって、今までの気持ちを思い出したりして、心にグッとくるものがあった」と振り返った。
施設で暮らす夏海のばぁちゃん・キヨ役の草笛は、「文音さんのウエディングドレス姿が本当に綺麗で…。でも今日は私が白いドレスを着ているので、今は私が花嫁です」と自らのコーディネートをチャーミングに紹介。本作のタイトルを友人に教えたところ、「おばあちゃんが高速道路をバイクで走るのね?と言われて、私ってそんなにお転婆に見えるのかしらと思った」と笑わせつつ、「これまでは派手な役や人を誘惑するような役、おどろおどろしい役などが多かったですが、今回は何でもないおばあちゃん役。篠原監督には『芝居はしません』と宣言しました。とにかく好き勝手にやりました」と等身大をアピールした。
夏海の幼馴染の婚約者・大和役の三浦は、「実は文音さんとは事前の打ち合わせもせずに演じました。でも自然に楽しくできた。何の打ち合わせもしないのによくできたと思う。ありがとうございます」と文音に敬礼。文音から、「ウエディングドレス姿は人生初だし、結婚式も初めて。凄く新鮮だった」と言われると、三浦は、「ラッキー!凄く綺麗だったので、一緒に写真も撮ってしまいました」と喜んだ。
ちなみに文音は、女優・志穂美悦子と歌手・長渕剛の娘。一方、三浦も山口百恵さんと俳優・三浦友和の息子。リアルに2人が結婚したら、まさにビッグカップルだが…。文音が、「撮影が終わった後にそれに気づいて、『私たちが結婚したら、両家の顔合わせはめっちゃ豪華だね』と言った」と振り返ると、三浦は、「それは大騒ぎですよ。顔合わせの場には行きたくない。欠席するわ!」と苦笑いだった。
夏海の父親役の鶴見は、「三浦君がお婿さんなら、もう上の上」と盛り上げながら、「でも役の上では夏海の父親ということなので、内心は嬉しいけれど父親として素直に喜べない感じを醸しだそうと演じました。実際に僕が結婚するときのシチュエーションに近い部分もあったので、家内のお父さんからヒントを得て演じた部分もあります」と役作り秘話を告白。リハビリ介護士役の桜田は、草笛との共演を回想し、「草笛さんの足をストレッチするシーンでは、草笛さんの体が柔らかすぎて、どこまで行くの!?と思うくらい。『止まらない!どうしよう!監督!』と焦った」と役とは真逆な草笛の身体能力に舌を巻いていた。
本作公開に篠田監督は、「家族の静かな温かい話ですが、俳優の皆さんに人間の普通の営みを自然体に振舞ってもらうことができたので撮れた作品。あまり目立たないような小規模な作品かもしれませんが、今の日本映画界にこそ、こういった映画は大切です。幅広く広まっていくことを期待します」とアピール。文音も、「愛には様々な形があります。愛とは形もなく、言葉でも伝わらないもの。感じることが全てです。そんな愛が溢れてる作品になりました。観ていただいた皆さんが、自分の大切な人のことを考えるきっかけになれば嬉しいです」と期待を込めた。
『ばぁちゃんロード』
4月14日(土)より有楽町スバル座ほか全国順次ロードショー中
監督:篠原哲雄
脚本:上村奈帆
主題歌:大貫妙子「この道」
出演:文音 草笛光子 三浦貴大 桜田通 鶴見辰吾
配給:アークエンタテインメント
【ストーリー】 ガソリンスタンドで働く夏海(文音)は、父の跡を継ぎ一人前の漁師を目指す高校時代からの友達・大和(三浦貴大)にプロポーズされる。結婚を決めたことを報告するため、2人はまず、夏海の両親のもとへ、そして施設で暮らす夏海のばぁちゃん・キヨ(草笛光子)のもとへ出向く。夏海は、両親が共働きだったことで、幼い頃からキヨに育てられたばぁちゃんっ子だった。自宅の庭で足を骨折してしまったことで歩けなくなってしまい、車椅子の生活をしているキヨ。久々に施設で再会した夏海は、なんとかキヨを励まし、元気を取り戻してほしいと悩む。そんな彼女が思いついたこと、それは「結婚式のバージンロードをばぁちゃんと歩く」ということ。ひたむきな夏海の想いが、キヨに“歩く”という目標を与え、次第にその目標がキヨの希望へと変化していくのだった…。
©2018「ばぁちゃんロード」製作委員会