30年間もの間、ほとんど家の外へ出ることなく庭の生命を見つめ描き続け、97歳で没するまで生涯現役であり続けた、伝説の画家・熊谷守一(くまがいもりかず)=モリのエピソードをもとに、沖田修一監督が晩年のある1日をフィクションとして描いた映画『モリのいる場所』が2018年5月に上映される。日本映画の至宝 山﨑努&樹木希林が、結婚52年目、夏の1日に凝縮された老夫婦のあゆみを演じる。このほど、三上博史の出演が発表され、場面写真が公開された。
寺山修司に見いだされ、「君が嘘をついた」「世界で一番君が好き!」「この世の果て」ほか、数々の大ヒットトレンディドラマに主演し、同時に映画でも『スワロウテイル』『私をスキーに連れてって』『孔雀王』『遠き落日』『月の砂漠』ほか数々の名作・話題作で主演をつとめ、舞台俳優としても「ヘドウィグ・アンド・アングリーインチ」を筆頭に圧倒的評価を受ける名優・三上博史。近年は、ドラマW「パンドラ」「下町ロケット」「震える舌」など、重厚な社会派ドラマの主役として活躍を続ける。時代に流されず作品作りに真摯な姿を見せ続ける稀有な名優が、沖田監督『モリのいる場所』に出演を決めた理由を、「山﨑努さんや樹木希林さんに、以前たいへんお世話になったので、もう一度ご一緒したかった」と語る三上。山﨑とは寺山修司の遺作『さらば箱舟』(84)などで、樹木とは中原中也役で主演したドラマ「汚れっちまった悲しみに」(90)などで、共演している。
■三上博史 コメント
俳優はひとりではできない仕事です。いつも仲間たちと一緒に作品を作っています。監督、プロデューサー、スタッフのみなさん。そして、直接やりとりをする共演者たち。ですが、これらは一期一会なんです。「また、一緒に作品作りがしたいなぁ」と思っても、いつのことになるか誰にもわかりません。なので、そんな機会があれば逃すことはできません。今回は特に、山﨑努さんや樹木希林さんに、以前たいへんお世話になったので、もう一度ご一緒したかった。台本にはわずかな出番しかありませんでしたが、自分次第で、しっかりとお二人に撮影現場で、なにかを共有できるのではないかと思ったからです。それに、会いたかった沖田監督とのはじめての出会いも、重要なことのひとつでした。そんな個人的な想いから参加することになった今作ですが、さいごに作品を完成させるのは観てくださるみなさんです。みなさんとの出会いに感謝します。
『モリのいる場所』
2018年5月 シネスイッチ銀座、ユーロスペース、シネ・リーブル池袋、イオンシネマほか全国ロードショー
監督・脚本:沖田修一
出演:山﨑努 樹木希林 加瀬亮 吉村界人 光石研 青木崇高 吹越満 池谷のぶえ きたろう 三上博史
配給:日活
【ストーリー】 自宅の庭には草木が生い茂り、たくさんの虫や猫など、守一の描く絵のモデルとなる生き物たちが住み着いている。守一は30年以上、じっとその庭の生命たちを眺めるのを日課にしていた。普段、守一は妻の秀子と二人の生活をしているが、毎日のように来客が訪れる。守一を撮ることに情熱を燃やす若い写真家の藤田くん、看板を書いてもらいたい温泉旅館の主人、隣人の佐伯さん夫婦、郵便屋さんや画商や近所の人々、そして、得体の知れない男…。今日もまた、モリとモリを愛する人々の、可笑しくて温かな1日が始まる。
(c)2018「モリのいる場所」製作委員会