キャスリン・ビグロー監督最新作『デトロイト』暴動発生当時と現在のデトロイトを伝える特別映像

イラク戦争を舞台にした『ハート・ロッカー』で女性初のアカデミー賞監督賞を受賞し、続く『ゼロ・ダーク・サーティ』ではオサマ・ビンラディン殺害を描いたキャスリン・ビグロー監督の最新作で、1967年に発生したアメリカ史上最大級の暴動の渦中に起きた凄惨な事件を描く映画『デトロイト』が、2018年1月26日より上映される。これに先がけ、暴動発生当時の状況と現在のデトロイトを伝える特別映像が公開された。

1967年、自動車産業で栄えたデトロイトは、アメリカで5番目の都市として繁栄していた。180万人が暮らすこの都市は音楽も盛んで、モータウン・レコードの発祥の地としても知られる。第一次世界大戦後、世界中から集っていたアメリカの移民が激減。デトロイトも同様で、自動車産業界はその不足した労働力を南部の黒人たちに求めた。しかし、人種差別が蔓延し、低所得者である黒人労働者との格差社会は改善されず、黒人たちの居住区は西部の限られた地域に集中した。日々の不満が積み重なり、デトロイトはいつ爆発してもおかしくない状況となっていた。

1967年7月23日の深夜、デトロイト市警が、ベトナム帰還兵を祝うパーティーが行われていた酒場で強引な手入れを行った。黒人への不当な捜査に地元住民たちが反発したことをきっかけに、大規模な略奪、放火、銃撃が各地で勃発する。警察だけでは対処できないこの非常事態にミシガン州は軍隊を投入、遂には連邦軍空挺部隊が展開するに至り、デトロイトの街は戦場と化した。市の秩序は5日間にわたって崩壊し、死者は43名、逮捕者は約7000名に及ぶ、アメリカ史上最大級の暴動となった。

sub9

sub22

映像は、暴動勃発当時のデトロイトをとらえた報道映像で幕を開け、立入禁止になった街の西側150ブロックにわたる地域が炎上する。街路でパトカーに石を投げつける黒人たちの姿に重なり、「1967年当時黒人は差別され、地位の低い職にしか就けなかった」と元デトロイト警察署長のアイク・マッキノンが証言する。本編に実名で登場し、ジョン・ボイエガ演じるメルヴィン・ディスミュークスは「見えない人種差別があった」と回想する。「当時の警官はほとんどが白人だった」という現在のデトロイト警察署長ジェームズ・グレイグのコメント通り、1967年当時、街を守る警官は実に98%が白人だった。

main

『デトロイト』
2018年1月26日(金)、TOHOシネマズ シャンテ他全国公開
監督:キャスリン・ビグロー
出演:ジョン・ボイエガ ウィル・ポールター ジャック・レイナー アンソニー・マッキー
配給:ロングライド

【ストーリー】 1967年7月、米デトロイト。史上最大級の暴動発生から3日目の夜、若い黒人客たちで賑わうアルジェ・モーテルに、銃声を聞いたとの通報を受けた大勢の警官と州兵が殺到した。すると、警官たちは偶然モーテルに居合わせた若者へ暴力的な尋問を開始。やがて、それは異常な“死のゲーム”へと発展し、新たな惨劇を生むのだった…。

© 2017 SHEPARD DOG, LLC. ALL RIGHTS RESERVED.