天才振付家モーリス・ベジャールの代表作「第九交響曲」の舞台裏を捉えたドキュメンタリー『ダンシング・ベートーヴェン』新場面写真

天才振付家モーリス・ベジャール没後10周年にあたる今年、ベジャールの代表作「第九交響曲」の舞台裏を捉えたドキュメンタリー映画『ダンシング・ベートーヴェン』が、12月23日より上映される。それに先だち、モーリス・ベジャール・バレエ団の一員として活躍し、この伝説のステージにも出演した大貫真幹、那須野圭右ら日本人ダンサーの貴重な練習風景カットや、ベジャールの世界観と躍動感あふれるステージカットが公開された。

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21世紀のバレエ史上最高傑作と呼ばれながらも、2007年のベジャール亡き後、再演は不可能とされてきた「第九交響曲」。しかし2014年に東京バレエ団創立50周年記念シリーズ第7弾として、東京バレエ団とモーリス・ベジャール・バレエ団の共同制作という一大プロジェクトが実現した。本作は、総数80人余のダンサーに、世界的指揮者ズービン・メータ率いるイスラエル・フィルハーモニー管弦楽団、ソロ歌手、合唱団を加え、総勢350人に及ぶアーティストを結集した、その舞台裏に密着している。  

監督は、『ベジャール、そしてバレエはつづく』のアランチャ・アギーレ。ペドロ・アルモドバル、カルロス・サウラといった映画監督のもとで助監督として経験を積み、自らもベジャールのバレエスクールで学んだ経歴を持つアギーレ監督が、ジル・ロマン芸術監督のもと新たに踏み出したベジャール・バレエ団の様々な文化的背景を持つダンサーたちが織りなす人間ドラマをも描き出す。

公開されたカットは、ベジャール・バレエ団に所属しソリストとして活躍する日本人ダンサー、大貫真幹そして那須野圭右による練習風景。大貫は、佐々木三夏バレエアカデミーで学び、2010年にモーリス・ベジャール・バレエ団に入団。一方、那須野は1997年から99年までモーリス・ ベジャールのバレエ学校ルードラ・ベジャールに学び、2000年9月にモーリス・ベジャール・バレエ団に入団した。ジル・ロマンからの信頼も厚い2人の真剣な表情が稽古場の緊張感を感じさせ、特に本ステージで第2楽章の中心的ダンサーを任された大貫真幹の本番さながらの弾けるような跳躍が目を引く。

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さらに、新たにステージカットも公開された。ベジャールがベートーヴェンの「第九」全4楽章を古代ギリシャで世界を形作るものと考えられた“四大元素”と結び付け、第1楽章を「地」、第2楽章を「火」、第3楽章を「水」、第4楽章を「風」とし、ダンサーたちはそれぞれをイメージした褐色、赤、白、黄色の衣装をまとって躍動している。

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『ダンシング・ベートーヴェン』
2017年12月23日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA他にて公開
振付:モーリス・ベジャール
監督:アランチャ・アギーレ
音楽:ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン作曲「交響曲第9番 ニ短調 作品125」
出演:マリヤ・ロマン モーリス・ベジャール・バレエ団(エリザベット・ロス ジュリアン・ファヴロー カテリーナ・シャルキナ 那須野圭右 オスカー・シャコン 大貫真幹) 東京バレエ団(上野水香 柄本弾 吉岡美佳) クリスティン・ルイス 藤村実穂子 福井敬 アレクサンダー・ヴィノグラードフ 栗友会合唱団 ジル・ロマン(モーリス・ベジャール・バレエ団芸術監督) ズービン・メータ(イスラエル・フィルハーモニー管弦楽団音楽監督)
配給:シンカ

【ストーリー】 スイス、ローザンヌ。「第九交響曲」出演のために過酷な練習に取り組むモーリス・ベジャール・バレエ団のダンサーたち。第二幕のメインをジル・ロマンから任せられた才能豊かなソリスト、カテリーナは踊る喜びに満ち溢れていた。しかしある日、カテリーナは妊娠が発覚し、メインを下ろされてしまう。一方で、お腹の子の父となるオスカーは生まれてくる子のために良き父親になろうとしていた。キャリアが中断されることへの不安と産まれてくる子供への愛情のあいだで揺れ動くカテリーナ。様々な想いを抱えながらダンサーたちは、東京での第九のステージに挑む。

© Fondation Maurice