米国の闇を描いた衝撃作『デトロイト』キャスリン・ビグロー監督がコメント「人種問題を語るきっかけに」

イラク戦争を舞台にした『ハート・ロッカー』で女性初のアカデミー賞監督賞を受賞し、続く『ゼロ・ダーク・サーティ』ではオサマ・ビンラディン殺害を描き、一作ごとに世界に衝撃を与えてきたキャスリン・ビグロー監督の最新作で、1967年に発生したアメリカ史上最大級の暴動の渦中に起きた凄惨な事件を描く映画『デトロイト』が、2018年1月26日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほかで全国公開となる。それに先がけ、ビグロー監督が本作のテーマである人種問題ついてコメントを寄せた。

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1967年7月23日未明、デトロイトの黒人居住区で起こった小競り合いをきっかけに、権力や社会に蔓延する人種差別などに不満を抱く黒人たちが暴徒化し、死者43名、負傷者1100名以上となる米史上最大規模の大惨事を引きおこした“デトロイト暴動”。暴動発生から3日目の夜、一発の銃声がアルジェ・モーテルから放たれたと通報があり、デトロイト市警官やミシガン州兵が現場に急行するが、やがて3人の白人警官が現場に偶然居合わせた若者たちに暴力的で容赦ない尋問を始める。「今回は、観客の皆さんをアルジェ・モーテルの中へと誘います。リアルタイム感覚でストーリーを体験してほしいです」と語るビグロー監督は、その凄まじい暴動を、アドバイザーとして現場に招いた実在の被害者の証言のもと、ドキュメント映像を交えながらリアルに再現し、圧倒的な臨場感で描き出す。

ビグロー監督は、「本作のように現実のストーリーを語る場合には、語り手として歴史とそれに関わった人々、生存者にも亡くなった人たちにも、自ら責任を持つ心構えが必要です。我々はドキュメンタリーではなく、フィクションのエンターテイメント作品を製作しているので、配慮と誠意を込めて、過去の出来事に対して敬意を払わなければなりません」とし、現場に居合わせた黒人警備員メルヴィン・ディスミュークスらの想像を絶する体験に耳を傾けた。

本作には、人種差別や格差社会など、50年の時を越えても変わらない現代社会への普遍的なテーマとメッセージが込められている。ビグロー監督は、「映画の目的が変化を求めて闘うことなら、そして人々がこの国の人種問題に声を上げる用意があるなら、私たちは映画を作る者として、喜んでそれに応えていきます。 この映画が、少しでも人種に関する対話を促すための役に立つこと、そしてこの国で長きにわたって根強く残っている傷を癒すことができることを願ってやみません」とコメントした。

本編でも実名で登場するディスミュークスを演じているのは、『スター・ウォーズ』新シリーズや『パシフィック・リム:アップライジング』(原題)など、ハリウッド超大作への出演が続くジョン・ボイエガ。そして童顔で無軌道な差別主義者の白人警官クラウスを、幼い頃から子役として活躍し、近年も『レヴェナント:蘇えりし者』などへの出演が記憶に新しい英国出身の個性派俳優ウィル・ポールターが演じる。鬼気迫る怪演にオスカーへの期待も高まっている。

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『デトロイト』
2018年1月26日(金) 全国ロードショー
監督:キャスリン・ビグロー
出演:ジョン・ボイエガ ウィル・ポールター ジャック・レイナー アンソニー・マッキー
配給:ロングライド

STORY 1967年7月、米デトロイト。史上最大級の暴動発生から3日目の夜、若い黒人客たちで賑わうアルジェ・モーテルに、銃声を聞いたとの通報を受けた大勢の警官と州兵が殺到した。すると、警官たちは偶然モーテルに居合わせた若者へ暴力的な尋問を開始。やがて、それは異常な“死のゲーム”へと発展し、新たな惨劇を生むのだった…。

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