トミー・リー・ジョーンズ、永瀬正敏らが登壇! 第30回東京国際映画祭コンペティション国際審査委員&受賞者記者会見レポート

<最優秀男優賞>
ドアン・イーホン(『迫り来る嵐』)
Q:雨での撮影はどうでしたか?
「正直大変辛かったです。役者としては映画の出来栄えが非常に気になりますが、役者であることを一旦忘れて、この雨の中でどういった表情を出せるのかを探していました」

<最優秀監督賞>
エドモンド・ヨウ(『アケラット-ロヒャンギャの祈り』)
Q:ロヒャンギャについての前知識がなくとも、マレーシアの人々には作中の問題などは伝わるのでしょうか?
「私は説教くさい映画を作りたくはなかったので、あえて情報は排除して作っています。この映画では歴史的に説明することはやりたくなく、問いを投げかけることをしたかったのです」

<審査委員特別賞>
『ナポリ、輝きの陰で』
シルヴィア・ルーツィ(監督/脚本/プロデューサー/編集)
ルカ・ベッリーノ(監督/脚本/プロデューサー/編集)
Q:作り込まれた世界ではなく、あえて素人を起用することでリアリティを出すという意図がありましたか?

ルカ・ベッリーノ
「これは意図的なものでしたが、ある意味で実験的な仕事の仕方をしたと思います。私たちの最初のアイデアは非職業俳優を起用することでしたが、ただ彼らを使うだけではなく、脚本を書くことにも彼らを入れることにしました。特に父親役には脚本に非常に参加してもらい、一緒に作品を作りました。この作品は時系列に沿って作られていますが、最初の僕たちのオリジナルのアイデアから、彼らの演技の仕方を見ながら一緒に作っていくという方法をとりました。そこで非常に大事だったのは、彼らが純粋さを持っているからこそできるものでもありました」

シルヴィア・ルーツィ
「もちろん、これからも今回と同じメソッドで仕事をしたいですが、これからはワンステップ上がった感じでやりたいと思います」

<東京グランプリ/東京都知事賞>
『グレイン』
セミフ・カプランオール(監督/脚本/編集/プロデューサー)
Q:作品名が呼ばれた時の気持ちは?
「賞はもらうものではなく、与えられるものだと思っています。私は私の映画を理解していただけると希望を持っていました。そして実際評価をして頂けたので、そういうことなんだろうと思いました」

Q:トルコは今、映画業界的に注目を集めていますが、映画の制作はしやすい環境でしょうか?
「コマーシャルやコメディについていうと、撮影の機会は多く、容易に見つけることが可能です。しかし人間の存在性や生きることへの態度などといった問題についての映画というと簡単ではないです。資金源を見つけることはなかなか難しいのです。
ただ、私の場合は前作の『蜂蜜』(2010)がベルリン国際映画祭で金熊賞をとったことで、世界40カ国で配給が実現しました。それにより本作を作ることが可能になりました。一方で、トルコの文化観光相がかなり広範囲での映画製作のサポートを用意していて、短編も長編もドキュメンタリーもフォローしてくれる場合もあります」

Q:本作のテーマはどのように考えましたか?
「現在の世界はひどい状況です。気候変動や文化間の問題、各国の間では所得の差が激しく、貧困などもあれば浪費も激しい。病気もあれば土壌汚染、難民、戦争、テロ、CO2などがあり、そういったものの中で私たちは生活をしているのです。そのなかで自分たちはどこから来てどこにいくのか、私たちは何なのか?そういったことを模索するようになったのが、この作品のルーツになりました」
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