山田裕貴「役者として見てもらいたい。どうにかしてこの作品に携わりたかった」 『あゝ、荒野』満員御礼記念舞台挨拶 オフィシャルレポート!

寺山修司が唯一遺した傑作小説を『二重生活』の岸善幸がメガホンをとり再構築し、菅田将暉とヤン・イクチュンをW主演に迎え映画化した『あゝ、荒野』の大ヒットを記念して、10月30日(月)、山田裕貴と岸善幸監督が作品の上映前に登壇し、舞台挨拶が行われた。

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現在公開中の『あゝ、荒野』後篇の満員御礼を記念して、菅田将暉演じる新次の宿命のライバル・裕二を演じた山田裕貴と岸善幸監督が登壇。本年度の映画出演作12本という驚異の活躍を見せ、今ノリにのっている若手実力派俳優が本作へ懸けた並々ならぬ意気込みや死闘を繰り広げた菅田とのボクシングシーンの裏側までを語った。

まずは山田が「今日は『あゝ、荒野』が満員御礼ということで駆けつけてきました。(僕たちの)沢山の人に観てもらいたいという思いが伝わっているんだな、と嬉しく思います」と、そして 岸監督が「前篇、後篇と昨今の流れを無視した上映形態のこの作品にお付き合いいただきありがとうございます。よろしくお願いします」と、それぞれひと言挨拶。 山田は、新次がボクシングを始めるきっかけとなる物語の鍵を握るプロボクサー″山本裕二”役をオーディションで勝ち取った。「(これまで)少女漫画原作の作品などに出演させてもらって、比較的若い方に観てもらえたと思うんですけど、今までと違うこの作品で“役者”として見てもらいたいって思ったんです。どうにかしてこの作品に携わりたかった。本当に必死で懸けていました」と語った山田に、岸監督もその日のことは鮮明に覚えているそうで「裸になって筋肉を見せてもらったんだけど、腹筋も割れていてかなり準備をしてきたなと。体つきがもう運動している人の体でしたね。あと下まつ毛がすごく長くて目力は相当強かったです。アピールが凄かったね(笑)」と明かした。対する山田は「アイライン描いてるんですかってよく言われるんですけど、メイクしてません、僕は!(笑)」と間髪入れずにつっこみ、観客を沸かせた。

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後篇上映前の舞台挨拶ということもあり、これから観る観客を気遣いながらも、合わせて305分ある前後篇のうち約1時間ほどを占めている迫真のボクシングシーンの撮影時の話題に。新次、バリカン(ヤン・イクチュン)、そして裕二と主に3人のボクサーが出てくるが、それぞれ三者三様のボクシングスタイルを採用していて、山田は「僕はヒットマンスタイルで、腕を下ろして足を使って(相手を)翻弄する。漫画『はじめの一歩』に出てくる間柴了がすごく好きで監督に伝えたら、いいよと言ってくれました。トレーニングは過酷でしたね…。そばでトレーニングを見ていたジムの人達にプロになるんですか?って言われるくらいでした(笑)」と役作りの裏側を明かした。

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後篇のクライマックスの1つは菅田将暉演じる新次と裕二の因縁の対決、と語る岸監督は2日間かけてこのシーンを撮ったという。菅田とのガチンコの競演について山田は、「菅田君の俳優としての表現が好きなんです。でも好きな漫画に『憧れは、理解から最も遠い感情だ』という台詞があって、憧れはなしだ、と思ってました。一緒に共演できたのはすごくうれしかったです。試合中に菅田君のフックがあごに入って意識が飛んだ瞬間があったんですけど、その時裕二として膝をついちゃいけないというのがあったし、菅田に負ける!っていう僕が出てきてシンクロしたんです。絶対負けられないと踏ん張りました。岸監督はカットを中々かけない方だからもうそこから先は芝居じゃなくて完全にボクシングでした。裕二としてリングに立って生きていなきゃ死ぬんですよ!(笑)」と熱く語った。 岸監督は、「(その時は)すごく現場の皆に怒られました。でも良いカットがとれたなと…」と言われると、「役者冥利につきます!」と山田は笑顔で応えていた。

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山田は、「『愛されたい』と皆思いながらも、うまくそれを言えない人達が必死に生きているそんな作品です。愛、友情、憎悪、いろんな感情が渦巻きながら荒野は出来ているのではないでしょうか。観終わった後にきっとすごい映画だなと思ってもらえると思います」とアピールした。岸監督は、「ボクシングシーンは本当に誇りを持って作れたと思います。今日はぜひ最後まで観て頂いて気に入って下さったら、ぜひ周りの方へも伝えて頂けるとうれしいです。どうもありがとうございました」と舞台挨拶を締めくくった。

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『あゝ、荒野』
2017年10月7日(土)前篇、10月21日(土)後篇、新宿ピカデリー他 二部作連続公開
監督:岸善幸 原作:「あゝ、荒野」寺山修司(角川文庫)
出演:菅田将暉 ヤン・イクチュン 木下あかり モロ師岡 高橋和也 今野杏南 山田裕貴 でんでん 木村多江 ユースケ・サンタマリア
主題歌:BRAHMAN「今夜」(NOFRAMES recordings/TOY’S FACTORY/TACTICS RECORDS)
配給:スターサンズ

STORY かつて、母に捨てられた新次(菅田将暉)は兄のように慕う劉輝と共に詐欺に明け暮れていた。そんなある日、彼らは仲間の裕二らにより襲撃されてしまう。そして2021年新宿。行き場のないエネルギーを抱えた新次は劉輝を半身不随にした裕二への復讐を誓っていた。一方、同じ新宿で吃音(どもり)・赤面対人恐怖症に悩む“バリカン”こと健二(ヤン・イクチュン)はいつも通り床屋のティッシュ配りをしていると、ひょんなことから新次と共に“片目”こと堀口からボクシングジへと誘われる。言われるがままボクシングジムを訪れた2人は、それぞれの想いを胸にトレーニングを始める。新次はボクシングで裕二への復讐を果たすため。バリカンは内気な自分を捨てるため。試合を重ね、徐々に名を挙げて行く新次に対し特別な感情を抱くようになっていく健二。そのさなか、新次は宿敵・裕二との戦いに挑む。一方、バリカンもまた大きな決断を下し、新次との関係が変わろうとしていた…。

©2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ