史上初!新宿路上で映画祭「あゝ、デンジャラス祭り」 in 新宿ど真ん中『あゝ、荒野』爆音サイレント上映報告レポート

今もなおカルチャーアイコンとして注目され続けている寺山修司が、唯一遺した傑作小説を『二重生活』の岸善幸がメガホンをとり再構築して映画化。『キセキ -あの日のソビト-』『帝一の國』の若手実力派俳優の筆頭格菅田将暉と韓国映画『息もできない』で世界各国の映画賞を総なめした名優ヤン・イクチュンをダブル主演に迎えた『あゝ、荒野』が10月7日(土)前篇、10月21日(土)後篇2部作連続公開となる。9月21日、新宿のど真ん中(モア4番街・アルタ横道路)を1日封鎖して、この秋公開の2本の話題作コラボレーション特別イベント「あゝ、デンジャラス祭り」が開催された。

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新宿駅のすぐ近く、新宿モア4番街に突如設けられた会場。“デンジャラス祭り”と銘打ち、バリケード風の演出の会場に、異様な雰囲気がイベント前から漂っていた。まずオープニングではフラメンコギター界のレジェンド・高橋秀夫氏による生演奏が。いよいよイベントがスタートし、9月下旬の新宿には似つかわしくない雪の演出に、どよめく会場。そして“新宿ど真ん中”で始まった史上初の<爆音サイレント上映>!!Bluetoothで音声を飛ばせる特殊なヘッドフォンを受け取ったイベント参加者は本編の映像をクリアな音とともに楽しめ、それ以外の一般観客は静寂のなか映像のみが楽しめるという画期的なシステムの今回のイベント。突如新宿のど真ん中に現れた静かすぎる無音の群集。見慣れない光景に夕方の新宿の街を行く人々も思わず足を止めていた。

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当日上映されたのは、映画『あゝ、荒野』の冒頭45分のダイジェスト版だが、新次とバリカンが、なぜその後の彼らの運命を変えるボクシングに挑戦するのかが明かされる重要なシーンの連続。音楽、会話、映像など、様々な要素を含むが故に芸術の頂点とも言われる映画だが、あえて実施した“爆音サイレント上映”は、ヘッドフォンのない観客にとってはその定義を正面からぶち壊すもの。音のない、映像だけの映画にどれだけの人が足を止め、目を奪われるのか・・・それは主催者たちにも未知数の挑戦だったが、蓋を開けてみれば、一度足を止めると会場を離れる人はまれ。参加者からは「初めての体験ですごく面白かった!」という声も寄せられ、『あゝ、荒野』が持つ映像の力を感じさせる<爆音サイレント上映>となった。なお、続いてデンジャラスなドキュメンタリーの傑作を集めた映画『デンジャラス・ドッグス』の中から、「渦」も<爆音サイレント>で上映された。

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『あゝ、荒野』(劇場版)
2017年10月7日(土)前篇、10月21日(土)後篇、新宿ピカデリー他 二部作連続公開
監督:岸善幸 原作:「あゝ、荒野」寺山修司(角川文庫)
出演:菅田将暉 ヤン・イクチュン 木下あかり モロ師岡 高橋和也 今野杏南 山田裕貴 でんでん 木村多江 ユースケ・サンタマリア
主題歌:BRAHMAN「今夜」(NOFRAMES recordings/TOY’S FACTORY/TACTICS RECORDS)
配給:スターサンズ

STORY かつて、母に捨てられた新次(菅田将暉)は兄のように慕う劉輝と共に詐欺に明け暮れていた。そんなある日、彼らは仲間の裕二らにより襲撃されてしまう。そして2021年新宿。行き場のないエネルギーを抱えた新次は劉輝を半身不随にした裕二への復讐を誓っていた。一方、同じ新宿で吃音(どもり)・赤面対人恐怖症に悩む“バリカン”こと健二(ヤン・イクチュン)はいつも通り床屋のティッシュ配りをしていると、ひょんなことから新次と共に“片目”こと堀口からボクシングジへと誘われる。言われるがままボクシングジムを訪れた2人は、それぞれの想いを胸にトレーニングを始める。新次はボクシングで裕二への復讐を果たすため。バリカンは内気な自分を捨てるため。試合を重ね、徐々に名を挙げて行く新次に対し特別な感情を抱くようになっていく健二。そのさなか、新次は宿敵・裕二との戦いに挑む。一方、バリカンもまた大きな決断を下し、新次との関係が変わろうとしていた…。

©2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ