映画『エルネスト』邦画上映&日本人登壇初!阪本順治監督登壇 キューバ大使館主催試写会レポート

今年2017年に没後50年を迎えるキューバ革命の英雄“エルネスト・チェ・ゲバラ”。革命家、反帝国主義のカリスマとして、また、革新を想起させるシンボルとして今もなお世界中でゲバラの存在は明確に息づいている。そんな彼の“意志”に共感し、ボリビアの軍事政権との戦いで、1967年8月に25歳の若さで散った実在の日系人、フレディ前村ウルタードの知られざる生涯を、日本・キューバ合作で描く映画『エルネスト』が10月6日(金)に公開される。キューバと日本の合作となる本作を、キューバ大使館主催の下スペイン語圏文化の日本での普及を目的にスペイン政府が設立したセルバンテス文化センターにて、本日試写会が実施された。今回、キューバ大使館が主催する試写会では邦画作品の上映と日本人の登壇は初の試みだ。

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上映前に、本作で広島を訪問した際に、ゲバラの通訳をした県庁外事課矢口役を演じた、田中幸太朗にスペイン語の指導も行ったというセルバンテス文化センター館長のヴィクトル・ウガルテ氏、本試写会の主催であるキューバ大使館特命全権大使カルロス・M・ペレイラ氏と、本作の監督を務める阪本順治が登壇した。キューバ大使のカルロス・M・ペレイラ氏は、「チェ・ゲバラ作品の多くは、ゲリラ戦士としての側面に焦点を当てたものが多かったが、『エルネスト』は、フレディ前村の物語を通じてチェの生涯の一幕を取り上げている」と本作の特徴を語り、「今作は、観る者の感情を呼び覚ます働きをもっている、若きフレディの行動に日本人の特性を見出す方もいるのではないか」と本作の魅力を語った。続いて、「映画監督の阪本順治です」とスペイン語の挨拶で阪本順治監督が登場。監督自身が、フレディ前村氏の姉、マリー氏とお会いした際、「弟は、人を助けるためにキューバに行ったのに、銃をもって人を殺めるかもしれない、きっとその狭間で苦しんでいたのではないか」と仰っていたことを聞いて、「この映画を作るにあたり、戦闘シーンに重きをおくのではなく、彼がキューバに渡ってからの誰にでもある学生生活を中心に映画を製作した」と製作秘話を語った。

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また、来日予定だった本作の原案書『チェ・ゲバラと共に戦ったある日系二世の生涯~革命に生きた侍~』の著者であるエクトル・ソラーレス前村氏からのメッセージもいただき、「フレディ前村の生き方は、まっすぐでありながら、強い情熱に包まれていた、人の役に立ちたいという気持ちが、貧しい人々のための医者になる夢をフレディに抱かせるようになった。彼は、幼い頃から社会の不正義に反応してきた、その記憶が、ゲリラに身を投じる動機づけになった。その人生は、正義感に溢れ、気高く、確固たるものでした。人間とその美徳を信じたからこその人生でした」とフレディ前村氏に対する熱い思いが届けられ、これから作品を観る来場者たちの期待を高めるメッセージとなった。

『エルネスト』
2017年10月6日全国ロードショー
監督・脚本:阪本順治
出演:オダギリジョー 永山絢斗 ホワン・ミゲル・バレロ・アコスタ
配給:キノフィルムズ

STORY 50年前、チェ・ゲバラに“エルネスト”と名付けられ、行動をともにした、ひとりの日系人がいた。キューバ革命の英雄、エルネスト・チェ・ゲバラ。自らの信念を突き通した生き方、その比類なきカリスマ性によって、今なお世界の人々を魅了し続けているこの男は、1967年、ボリビア戦線で命を落とした。同じ頃、ボリビアでゲバラと共に行動し、ゲバラからファーストネームである<エルネスト>を戦士名として授けられた日系人がいた。その名は、フレディ前村。日系二世として生まれたフレディは、医者を志し、キューバの国立ハバナ大学へと留学する。そしてキューバ危機のさなかにチェ・ゲバラと出会い、その深い魅力に心酔し、ゲバラの部隊に参加。やがてボリビア軍事政権へと立ち向かっていく。

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