行定勲、辛酸なめ子、松本潤演じる葉山の「自分からいかないズルさ」に共感!? 映画『ナラタージュ』恋愛トークショー付試写会レポート

今回、観客からの恋愛相談を実施。「結婚と恋愛は違うんですか?」という質問に対し、行定監督は「違う!」と断言。本作で原作と映画との設定の違いの一つとして、小野の夢が「靴」職人ということ。それは、「靴は恋愛と似ているから」という脚本家の提案で、「小野君は靴を作るけど与えて強いている役割、泉は裸足になる権利もあって」と、登場人物の立ち位置の違いも表しているという。そこから、「靴はサイズがあってピッタリと思っていても、必ず靴ずれをする。靴ずれをしても気に入った靴は履き続けるけど、気に入らなかったら捨ててしまう。気に入ったものを履き続けるっていうことが「結婚」にあたるんです」と分かりやすく解説すると、会場全体から感嘆の声があがった。さらに、「大人の恋愛は、お互いが依存しあわない=自立している関係と思っているのですが、どう思いますか?」という質問が飛ぶと、辛酸さんは「自立して、お互い波動があって高め合える、人道的な関係じゃないですかね」と言うと、行定監督も「自立しているとそれはうまくいきますし、そうでないとうまくいかない気はします」と言うも、「映画は障害があるほどドラマチックになる。苦しい想いをしたら、そこから逃れようと、変化しようとするのですが、変化することって難しい。『ナラタージュ』は『変化しないこと』を描いています。それがリアルなんです。なかなか変化できないから、ズルズルとした関係になってしまう。縁があってはじまったことはなかなか終わらせられないのが大人の恋愛だと思います」と現実の恋愛について自論を述べた。

最後に、辛酸さんは「湿度が高い作品。水分によって、観ていると女性ホルモンが高まってくる。枯れていたのが蘇りました。映画を観てて思ったことは、女性は自分から追ってはいけないということです。男性の嫉妬とかズルさとか業が渦巻いた作品で、生態が理解できました」、行定監督は「いま見て理解できなかったとしても、時間をおいて見ると、見る度に分かってくる。それは成長したということです。映画を観て、似たような感情にふれたとき、きっと大人になったって分かるんじゃないかと思います。映画はきっかけを作っているだけで、観た後に考えてくれることが一番嬉しいです。分かりやすい映画が多い中で、分かりにくい映画ということで心に残る、考えさせられる映画もあるということを広めてもらえればと思います」と、力強くアピールし、イベントは終了した。

行定勲監督
『ナラタージュ』

2017年10月7日(土)全国ロードショー
監督:行定勲 
原作:島本理生(「ナラタージュ」角川文庫刊) 
出演:松本潤 有村架純 坂口健太郎 大西礼芳 古舘佑太郎 神岡実希 駒木根隆介 金子大地 市川実日子 瀬戸康史
配給:東宝=アスミック・エース

(C)2017「ナラタージュ」製作委員会

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