映画『50年後のボクたちは』渚のアデリーヌなんて今さら…!?ダサカッコいい主人公×懐メロで最高にクールな青春!

ドイツの大ベストセラー小説を、『ソウル・キッチン』『消えた声が、その名を呼ぶ』の名匠ファティ・アキンが実写化した『50年後のボクたちは』がいよいよ今月16日(土)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次公開となる。

50年後のボクたちは

本作は原作から音楽とは切っても切れない関係がある。無断借用したオンボロ車の中から見つけた古ぼけたカセットテープ。「…リシャール・クレイダーマン」。カセットデッキにセットして流れ始めたピアノの緩やかな音色にチックは絶句!その一方でマイクは「サイコーだな」と満足気。2人の旅の始まりから幾度となく流れてくるのはリチャード・クレイダーマンの「渚のアデリーヌ」(原題:Balladepour Adeline)。1976年にリチャード・クレイダーマンの演奏で発売されたこの曲は、世界各国で大ヒット、日本でも78年に「渚のアデリーヌ」という邦題が付き今までに何度も発売されている。原作本でも同じように登場するこの曲を、現代っ子のマイクとチックは知る由もなく、でも旅の友に聞くものも他になく、何度も聞いているうちに最後は車内で大熱唱!

さらに、本作のメガホンを執ったファティ・アキン監督は、DJ としての顔を持ち、選曲のセンスも抜群!「渚のアデリーヌ」だけ古ぼけて浮いてしまわないように劇中に忍ばせたのはトム・トム・クラブの「悪魔のラヴ・ソング」(原題:Genius of Love)!1991年に活動を休止したトーキング・ヘッズのメンバーの中でリズム隊を担当していたティナ・ウェイマス(B)とクリス・フランツ(Ds)夫妻が組んでいた派生バンドが81年に発表した曲。当時ビルボードのホットダンスクラブプレイチャートの1位を獲得した。ポスト・ディスコの軽快なリズムと電子音が特徴のこの曲は、昔を思い出す一曲!

劇中で使用される曲は古めかしいものだけじゃない。主人公マイクが庭仕事をしながら聴く曲はザ・ホワイト・ストライプス。エッジの効いたロックにノリノリで身体をゆらす。そしてビヨンセ。マイクは本当はビヨンセを聞きたい訳じゃないけれど、学校一番の美女で恋するタチアナが好きなので聞いている。そんなマイクの外見について監督は「私は彼がオルタナ系ロックにはまっていると思いました。今90年代のリバイバルがファッションやヘアスタイルの分野であって、コムチュームとメーキャップのチームに『僕のマイクはグランジ・ロッカーのようにしてくれ。フランネル地の服を着て、カート・コバーン風のヘアカットに』と言いました」と語り、オタクではなくロッカーを追求したという。

そんなロッカー風の少年は、大好きなタチアナが来ているドラゴン柄の入ったタンクトップに合わせて、ドラゴン柄のスカジャンを着たり、粋な誕生日プレゼントしようと思いついたのは彼女の自画像。果たしてそれがセンスがあるのかないのかは人ぞれぞれだとしても、映画の中では少々的外れな、他とは違う感覚を持った少年に映る。

前出の「渚のアデリーヌ」のカセットテープを発見するシーンを本邦初公開!名前にピンと来なくても、聞いてみたらきっと「あ!この曲知ってる!」と思うはず。このシーン以外にもどこで使用されているかは劇場でチェックしてほしい。

『50年後のボクたちは』
9月16日(土)より、ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿シネマカリテほか全国順次ロードショー
監督・共同脚本:ファティ・アキン
原作:ヴォルフガング・ヘルンドルフ(「14歳、ぼくらの疾走」)
出演:トリスタン・ゲーベル アナンド・バトビレグ・チョローンバーダル
配給:ビターズ・エンド  

STORY 14歳のマイクはクラスのはみだし者。同級生からは変人(=サイコ)扱い、両親の仲もうまくいっていない。そんなある日、チックというちょっと風変わりな転校生がやって来た。夏休み、2人は無断で借用したオンボロ車ラーダ・ニーヴァに乗って南へと走り出す。旅の途中で訪れる、いくつもの出会いと別れ。やがて無鉄砲で考えなしの旅は、マイクとチックにとって一生忘れることのできないものになっていく――。

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