歴史の闇に埋もれた幻の邸宅<E.1027>の謎を紐解く! 映画『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』国立西洋美術館で来日トークイベント開催

近代建築の巨匠ル・コルビュジエと、彼が生涯で唯一才能を羨んだと言われる女性建築家・デザイナー、アイリーン・グレイの間に隠された波乱万丈のストーリーを美しき映像で描く極上のドラマ『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』が、10月14日(土)よりBunkamuraル・シネマ他にて全国順次公開する。

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フランスで活動を続けたアイリーン・グレイですが、生まれ育ったのは、アイルランドでした。今年はアイルランドと日本の外交関係樹立60周年記念の年でもあることから、このたび、本作はアイルランド大使館の後援のもと、昨年、世界遺産に登録された国立西洋美術館にて、貴重な試写会付きトークイベントを開催する。

↑国立西洋美術館
↑国立西洋美術館

イベントのために、アイルランドから世界的なアイリーン・グレイ研究者である、アイルランド国立博物館キュレーターのジェニファー・ゴフ氏の来日が決定。今年、生誕130年を迎えるル・コルビュジエが建築し、彼が掲げた<近代建築の5つの要点>が随所に息づく建物の中で、映画と、そして同時開催のジェニファーさんを始めとした豪華ゲストを招いてのトークを楽しむ、またとない贅沢な機会である。

南仏の海辺に立つ、建築史上に残る傑作建築<E.1027>。そこはアイリーンが手がけながらも、長らくル・コルビュジエの作とされてきた。本作は、歴史の闇に埋もれてきた幻の邸宅<E.1027>の謎を紐解き、5年に渡る念密なリサーチの元、ル・コルビュジエとアイリーンの知られざるドラマを浮かび上がらせる。

↑ジェニファー・ゴフさん
↑ジェニファー・ゴフさん

【イベント概要】
9月29日(金)18:00~20:30(開場 17:30)
会場:国立西洋美術館 講堂 ※企画展示館地下2F 
(〒110-0007台東区上野公園7−7)
ゲスト:ジェニファー・ゴフ 他
※参加方法は、国立西洋美術館ホームページ(http://www.nmwa.go.jp/)をご覧ください。

ジェニファー・ゴフ Jeniffer Goff プロフィール
ユニバーシティ・カレッジ・ダブリンで文化政策、芸術学の博士号を取得。国内で大学講師やギャラリーのキュレーターを務め、2007年よりアイルランド国立博物館のキュレーターとして活動。世界有数のアイリーン・グレイ研究の専門家であり、同館ではアイリーン・グレイのコレクションを担当している。2014年に出版された研究書「Eileen Grey Her Work and Her World」がアイルランドの権威ある文学賞アイリッシュ・ブック・アワードにノミネートされ、アイリーン以外にも、様々な芸術家の研究論文を発表している。

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『ル・コルビュジエとアイリーン 追憶のヴィラ』
10月14(土)よりBunkamuraル・シネマほか、全国順次公開
監督・脚本:メアリー・マクガキアン 
出演:オーラ・ブラディ ヴァンサン・ペレーズ ドミニク・ピノン アラニス・モリセット
配給:トランスフォーマー

STORY モダニズム華やかなりし1920年代、のちの近代建築の巨匠ル・コルビュジエは、気鋭の家具デザイナーとして活躍していたアイリーン・グレイに出会う。彼女は恋人である建築評論家のジャン・バドヴィッチとコンビを組み、建築デビュー作である海辺のヴィラ<E.1027>を手掛けていた。陽光煌めく南フランスのカップ=マルタンに完成したその家はル・コルビュジエが提唱してきた「近代建築の5原則」を具現化し、モダニズムの記念碑といえる完成度の高い傑作として生みだされた。当初はアイリーンに惹かれ絶賛していたル・コルビュジエだが、称賛の想いは徐々に嫉妬へと変化していく。そして1938年、事件は起こる。ル・コルビュジエは、アイリーンの不在時に何の断わりもなく、邸内に卑猥なフレスコ画を描いてしまう。これを知った彼女はル・コルビュジエの行為を「野蛮な行為」として糾弾し、彼らの亀裂は決定的なものになった。その後、大戦とともに、E.1027は人々から忘れられ、打ち捨てられてしまう。戦後、すっかり荒れ果てた物件は、競売にかけられる。海運王アリストテレス・オナシスも参加したこの物件を買い戻すために奔走したのは、他でもない――ル・コルビュジエだった。

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