「皆さんの前に立つと……中村、緊張しております!」中村雅俊、念願の初監督作に感謝と決意『五十年目の俺たちの旅』完成披露上映会

放送開始から半世紀——昭和の青春ドラマの金字塔「俺たちの旅」が、ついに初映画化。2026年1月9日(金)公開の『五十年目の俺たちの旅』の完成披露上映会が12月8日、TOHOシネマズ 六本木ヒルズで行われ、カースケ役の中村雅俊、グズ六役の秋野太作、オメダ役の田中健、真弓役の岡田奈々が登壇。50年の時を経て再び集ったオリジナルキャストが、作品への深い思いと当時の想い出を熱く語った。

大勢の観客が詰めかけた会場に、中村雅俊が少し緊張した様子で登場。「監督という大役を仰せつかって、正直言って大変でした。でもこうやって皆さんが目の前にいて、なんだかホッとした気持ちです。同時に中村、緊張しております。皆さんがこの作品をどう見てくれるのか、すごく気にしています」と率直な胸の内を語った。

50年前のドラマ撮影を振り返り、「ただただ楽しい番組だった」と語る中村。「まさか後々“青春ドラマの金字塔”と呼ばれるとは思わなかった。50年たっても愛し続けてくれた皆さんのおかげです」と深い感謝を示した。

さらに、脚本家・鎌田敏夫氏から監督を任された経緯についても触れ、「『雅俊、お前が監督をやれ』と言われた時、妙に素直に『やります』と言ってしまった(笑)。大変でしたけど、やって良かった」と笑みを交えて語った。

秋野太作は「今年82歳になりました。まだ生きております」と会場を沸かせる挨拶からスタート。さらに作品について「この作品は大変ですよ。2時間、じいさんの顔しか映ってないんだから(笑)。そういう映画を皆さんに耐え忍んで観ていただこうと思います」と茶目っ気たっぷりにコメントした。

ファンから寄せられた「グズ六に人生相談をして救われた」という投稿には、「少なくとも真似しようとしない方が良かったね」と照れくさそうに返しつつ、キャスト陣から「芝居を包み込んでくれた存在」と称えられると、柔らかな笑顔を見せた。

田中健は「僕としては同窓会の気持ちで演じました。皆さんも同窓会の気持ちで観ていただければ」と、温かな言葉を送り、「中村監督は素晴らしいです。楽しみにしてください」と信頼を寄せた。中村との昔話も披露され、「吉祥寺の喫茶店で初めて会った時、下駄を履いていたんですよ」というエピソードに、会場もほっこり。

岡田奈々は、当時を振り返りながら「私がデビューした頃のドラマに、50年たってまた出演できるなんて、本当に夢のようです」と感慨深く語った。さらに中村監督の現場での苦労について、「監督と役者の切り替えが一番大変だったと思います」とコメント。中村は自身の演技チェックを振り返り、「自分の芝居だけ甘くなっちゃう(笑)。編集で見て“失敗!”って叫んでました」と会場を笑わせた。

イベントでは、ファンからの熱い投稿も紹介。「男同士の友情に憧れた」「画面の言葉をノートに書き写していた」など、青春時代の思い出が語られると、登壇者たちは深く頷き、時に笑い、時に胸を熱くしていた。とりわけ中村の衣装への憧れを語るメッセージに対し、「あの格好、自前なんですよ」と明かし、当時の自分がキャラクターに投影されていたことをしみじみと語った。

最後の挨拶で中村は、「今日がゴールであり、スタート。皆さんの支えがあってこその作品です」と感謝を述べ、「70を過ぎた老人二人と、80を過ぎたおじいちゃんと、年齢不詳の女性が立っていますが、ちゃんと青春ものになっています」とユーモアを交えて作品をアピール。ラストは、ドラマ最終回の散文詩にちなみキャストが「カースケはカースケのままで」「グズ六はグズ六のままで」と読み上げ、最後に「心はひとつ」と中村。会場全体で「俺たちの旅!」を大合唱し、温かな空気の中でイベントは幕を閉じた。

■作品情報
『五十年目の俺たちの旅』
2026年1月9日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか全国ロードショー
出演:中村雅俊 秋野太作 田中健 / 前田亜季 水谷果穂 左時枝 福士誠治 / 岡田奈々
原作・脚本:鎌田敏夫
監督:中村雅俊
主題歌:「俺たちの旅」歌:中村雅俊
配給:NAKACHIKA PICTURES

©「五十年目の俺たちの旅」製作委員会