映画『おーい、応為』の公開御礼舞台挨拶が10月30日(木)、TOHOシネマズ新宿で開催され、葛飾北斎役の永瀬正敏、善次郎(渓斎英泉)役の髙橋海人、監督・脚本を務めた大森立嗣が登壇した。

冒頭、永瀬が「実は明日が新暦で北斎さんの誕生日なんです。明日が本番なので、明日もぜひ劇場へお越しください」と呼びかけると、髙橋は「お忙しい中、“おーい、まさみさん”を見に来ていただいてありがとうございます!」と笑顔であいさつ。前回の舞台挨拶で長澤まさみが投げかけた「おーい、海人!」へのユーモラスな“返答”に、会場は和やかな空気に包まれた。大森監督も「今日はまさみちゃんがいないから、いない時だと“まさみちゃん”って言えるんですよね」と笑いを誘い、「男祭りですが、楽しい話ができたら」と続けた。
観客の反響について髙橋は、「映画を観た母親が“色っぽかった”って言ってくれて、母親にそんなこと言われるのは不思議な感覚でした」と照れ笑い。さらに「歳を重ねた善次郎の姿が、昔の父親にそっくりで。もしかしたら母がときめいたのかもしれないです(笑)」と明かし、客席を沸かせた。
撮影現場を振り返ると、大森監督は「初対面のとき“父親が小錦さんに似ていて”と言われて、それからしばらく海人くんの顔をちゃんと見られなかった」と笑いつつ、「現場では俳優自身が選び取っていく空気を大事にしていました」と語る。髙橋も「監督は現場に迷い込んじゃった近所の方みたいで(笑)」と返し、永瀬は「彼の芝居はすごく真っすぐで、どの瞬間も生きている感じがある」と称賛。「海人くんが半歩前に出て挨拶しているのを見ると、可愛いなぁって思ってしまう」と父のようなまなざしを向けた。
北斎と応為の親子に寄り添う善次郎を演じた髙橋は、「絵を描くために生きる2人と、生きるために絵を描く善次郎。真逆なんですけど、2人を見ていて救われた気がします」としみじみ語った。永瀬も「新しい風を吹かせてくれる存在で、そこから生まれる空気感が良くて、ついアドリブも出ちゃいました」と現場の温かな雰囲気を明かした。
大森監督は「スマホばかり見て焦るように生きてしまう現代の中で、この作品はゆったりと包まれるような豊かさを思い出させてくれた」とコメント。髙橋も「浮世絵を通して想像力の幅が広がった。北斎が生きていたら今の日本をどう描くんだろうと想像するうちに、自分も今の日本を描いてみたいと思いました」と語り、俳優としての成長を感じさせた。
最後のあいさつでは、髙橋が「どうか思い思いに楽しんでください。すごく静かな映画なので、ポップコーンを食べる音を気にされる方もいるかもしれませんが、周りに気を配りつつぜひ食べてください(笑)。当時の暮らしをのぞき見するような感覚で、皆さんの生活のお守りみたいなものを見つけてもらえたら嬉しいです」と呼びかけ、会場を優しく包み込んだ。永瀬は「監督や海人くん、まさみさんと出会えたことが幸せ。また“おーい、まさみさん”を含めて皆さんの前に立てる日が来るかもしれません」と語り、温かな拍手の中、舞台挨拶は締めくくられた。



■作品情報
 タイトル: 『おーい、応為』
 監督・脚本: 大森立嗣
 出演: 長澤まさみ、髙橋海人、永瀬正敏、大谷亮平、篠井英介、奥野瑛太、寺島しのぶ
 原作: 飯島虚心『葛飾北斎伝』(岩波文庫刊)、杉浦日向子『百日紅』(筑摩書房刊)より「木瓜」「野分」
 配給: 東京テアトル、ヨアケ
 公開: 全国公開中
©2025「おーい、応為」製作委員会




 
  
  
  
  
  
  
  
  
 