菅田将暉、声だけの出演で“生きることへの渇望”を受け止める『ミーツ・ザ・ワールド』で12年ぶりに松居大悟監督とタッグ

芥川賞作家・金原ひとみが第35回柴田錬三郎賞を受賞した同名小説を、松居大悟監督が映画化した『ミーツ・ザ・ワールド』が全国公開中。主演の杉咲花に加え、俳優・菅田将暉が声の出演で参加していることが明らかになった。

本作は、擬人化焼肉漫画「ミート・イズ・マイン」に熱中するも、自分を好きになれない27歳の主人公・由嘉里(杉咲花)が、歌舞伎町で出会った人々との交流を通して“生きること”を見つめ直す物語。そんな由嘉里が重要な場面で電話をかける相手――希死念慮を抱えるキャバ嬢・ライ(南琴奈)の元恋人・鵠沼藤治を演じるのが菅田将暉だ。

由嘉里がライへの想いをぶつける約6分間の電話シーンで、菅田は声のみで出演。自らの過去と向き合うライへの愛情、そして由嘉里の“生きることへの渇望”を静かに受け止める、作品屈指の名場面となっている。

菅田と松居監督のタッグは、実写映画『男子高校生の日常』(2013)以来12年ぶり。松居監督が別件の打ち合わせで所属事務所TopCoatを訪れた際、偶然居合わせた菅田との再会をきっかけに、今回のオファーへとつながったという。

監督は起用理由について「哀愁を漂わせながら酸いも甘いも呑み込んで第一線で闘っている“ギリギリで生きている感”が藤治と重なった」と語り、「圧倒的に芝居が上手い人にお願いしたいと思い、現代の生きづらさを代弁してもらえないかと菅田くんにお願いした」と明かしている。

菅田は収録前に松居監督と何度も電話で打ち合わせを重ね、実際の撮影現場にも足を運び、杉咲演じる由嘉里の声をリアルタイムで受けながら収録を行った。藤治としての衣装を身につけて臨むというこだわりも見せている。

出演を振り返り、菅田は次のようにコメント。「杉咲さんの声を聞いた瞬間に、これまでの由嘉里の日々がものすごいエネルギーで入ってきたのを覚えています。松居監督たちと作り上げてきた時間が流れ込んできた気がして、震えました。瑞々しく脂っこい登場人物たち、吐き出すように貪る焼肉。ずっとよくわからない自分。香ばしい思い出も愛しく感じてくる映画だと思います。参加できて幸せです。」声だけでありながら、強い存在感と余韻を残す菅田の演技にも注目だ。

■作品情報
タイトル: 『ミーツ・ザ・ワールド』
原作: 金原ひとみ『ミーツ・ザ・ワールド』(集英社文庫刊)
監督: 松居大悟
脚本: 國吉咲貴、松居大悟
出演: 杉咲花/南琴奈/板垣李光人/蒼井優/渋川清彦/筒井真理子 ほか
声の出演: 菅田将暉
音楽: クリープハイプ
主題歌: クリープハイプ「だからなんだって話」(ユニバーサルシグマ)
配給: クロックワークス
全国公開中

©金原ひとみ/集英社・映画「ミーツ・ザ・ワールド」製作委員会